書籍「1on1コミュニケーション入門」は、職場や家庭が変わる「1on1」を身につけるために、自分の心を変える・相手の心を動かすメソッドや、聴く・質問する・伝えるスキル、そして具体的なエクササイズをプロカウンセラーが解説している本です。
ビジネスやプライベートでのコミュニケーションに悩んでいる人、1on1に興味を持っている人、1on1の効果をより高めたい人、などに一読をおすすめします。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書籍情報
タイトル | プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門 |
著者 | 諸富 祥彦、島田 友和、青木 美帆 |
出版社 | 清談社Publico |
発売日 | 2022/3/20 |
単行本ページ数 | 256 |
著者紹介
諸富 祥彦(もろとみ・よしひこ)
明治大学文学部教授。教育学博士。
日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事。
Twitter: @morotomiyoshi
島田 友和(しまだ・ともかず)
1on1や心理的安全性、アサーティブコミュニケーション、ストレスマネジメントについて研修を行う「ワ☆ノベーション」代表。
Twitter: @H_TRIBE
青木 美帆(あおき・みほ)
企業や学校での研修講師や、経営者、マネージャー、外資系企業の営業職に対するメンターなど幅広く活動中。
産後のメンタルヘルスケアや夫婦関係の悩みについてのカウンセリングも行っている。
著者が伝えたいこと
著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。「はじめに」より一部引用。
1on1を学ぶと、職場と家庭は変わる。1on1は「魔法のような方法」でも「怪しいもの」でもありません。「学ぶのが難しい方法」でもありません。
1on1を身につけるためには、基本、この本一冊読めばそれでOKです。この本には、具体的なエクササイズがたくさん載っています。それにひとりで取り組むだけでもできるようになっていきます。
1on1で自分、職場、家庭が変化します。1on1をすることで自分に向き合い、自分の心の声を聴き、本当の自分になれます。相手に向き合い、相手の心の声も聴けるようになります。
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- 入門編
- 第1章 はじめての1on1コミュニケーション
- 第2章 プロカウンセラーが解説する1on1「11のメソッド」
- 第3章 プロカウンセラーが実践する1on1「16のスキル」
- 第4章 1on1の効果を高める「5つのエクササイズ」
- 実践編
- 第5章 実践! 1on1コミュニケーション[ビジネス編]
- 第6章 プライベートにも効く! 1on1「6つのルール」
- 第7章 実践! 1on1コミュニケーション[プライベート編]
もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。
注目点
この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。
上司は部下に「教えてもらう姿勢」が基本
1つ目に注目した点は「第1章 はじめての1on1コミュニケーション」の「1on1コミュニケーションに必要な基礎知識」に書かれている「上司は部下に『教えてもらう姿勢』が基本」です。
著者は、上司が1on1に取り組む中で、どういうことに気をつければいいのか、その基本姿勢について以下のように述べています。
- まずは「白紙で臨む」ということ
- 1on1を行うにあたって極めて重要な前提は、「その部下はその部下自身についての一番の専門家である」という考え
仕事一般についてではなく、「その部下自身」のことについていちばんよく知っているのは部下自身なのです。本人よりも、その人自身のことについてよく知っている人は誰もいません。
1on1では、「その部下自身のことについて、本人に教えてもらう」という姿勢で接します。これが1on1の基本姿勢です。
諸富祥彦,島田友和,青木美帆. プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門 (p.21). Kindle 版.
「課題の分離」で問題点をシンプルにする
1つ目に注目した点は「第2章 プロカウンセラーが解説する1on1『11のメソッド』」の「『自分の心』を変えるメソッド」に書かれている「『課題の分離』で問題点をシンプルにする」です。
著者は、「部下Aさんは週に1度のペースで始業時間に遅刻してくる」という例題をあげて、「さて、これは誰の課題でしょうか?」と問いかけています。
アルフレッド・アドラーは”課題の分離“という考え方を提唱していて、「これは誰の課題か」という視点に立つことで自分の課題と相手の課題を仕分けることだと、説明しています。
なぜ、課題の分離をするのかと言うと、対人関係の問題のほとんどは誰かが自分の課題に土足で踏み込んでくることや、自分が誰かの課題に許可なく土足で踏み込んでしまうことで発生するからです。
そして、課題の分離を行うことができるようになると、自分の課題は自分自身が、他人の課題はその人自身が自分ごととして解決していくことができるようになるのです。
諸富祥彦,島田友和,青木美帆. プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門 (p.72). Kindle 版.
「変えられないこと」を理解するエクササイズ
1つ目に注目した点は「第4章 1on1の効果を高める『5つのエクササイズ』」に書かれている「『変えられないこと』を理解するエクササイズ」です。
著者は「私たちは、ときとして容姿や過去の出来事といった『変えられないもの、どうしようもないこと』をどうにかしようとし、それについてグルグル考えて時間を浪費してしまう場合があります。」と述べています。
そして「1on1をする前にほんの2、3分でいいので、定期的に変えられることと変えられないことに分けて、変えられることにフォーカスし直すことをおすすめします。」とアドバイスしています。
◎変えられるもの
自分、言葉、思考、態度、行動、イメージ、現在、未来◎変えられないもの
諸富祥彦,島田友和,青木美帆. プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門 (p.241). Kindle 版.
他人、容姿、感情、生理反応、世の中、天気、過去
感想・口コミ・書評記事
感想
1on1について学ぶために書籍を探していたところ、副題に「ビジネスもプライベートも」という言葉が含まれていたことが気に入って、読んでみました。
前半の「入門編」では、平易な文章や図表で書かれていながら、「自分の心を変える」「相手の心を動かす」といったメソッドや、「聴く」「質問する」「伝える」といったスキルなど、プロカウンセラーからの幅広いメソッドやスキルを学ぶことができます。
私にとっては、「相手の心を動かすメソッド」と「質問するスキル」が初めて学ぶ内容が多かったので、特に印象的に残りました。
これらのメソッドやスキルは一度読んだだけですべて実践することは難しいですが、これから1on1を実践していく中で、上手くいかなかった場合やより効果を高めたい場合に、この本を振り返って実践していきたいと思いました。
後半の「実践編」では、ビジネスとプライベート全部で11ケースについて、具体的なよくある会話の「BAD 1on1」と「GOOD 1on1」が対比して書かれており、1on1を実践する場面を具体的にイメージできるようになっています。
第6章では、プライベートでの1on1は「安心、安全の場」を守るルールをつくることを推奨しています。そのルールの中で「価値観の違いを尊重する」や「自分の安全基地を守る」が特に印象に残りました。
ビジネス(上司・部下・同僚)やプライベート(夫婦・親子)でのコミュニケーションに悩んでいる人、1on1に興味を持っている人、1on1の効果をより高めたい人、などにおすすめできる書籍です。
口コミ
書評記事
【要約・感想】『プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門』部下との良好な関係はこの一冊で! - まだ見ぬ世界と自分に出会えるブログ
参考文献
この本の参考文献に記載されている本や関連する本を紹介します。
カール・ロジャーズ カウンセリングの原点:カール・ロジャーズ(著)
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え:岸見 一郎 , 古賀 史健(著)
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす:エイミー・C・エドモンドソン(著)
科学的に幸せになれる脳磨き:岩崎一郎(著)
1on1がわかる本おすすめ
心理的安全性がわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
書籍「1on1コミュニケーション入門」は、職場や家庭が変わる「1on1」を身につけるために、自分の心を変える・相手の心を動かすメソッドや、聴く・質問する・伝えるスキル、そして具体的なエクササイズをプロカウンセラーが解説している本です。
ビジネスやプライベートでのコミュニケーションに悩んでいる人、1on1に興味を持っている人、1on1の効果をより高めたい人、などに一読をおすすめします。
本ブログサイトでは以下の記事も配信しています。
本の目次(詳細版)
この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。
- はじめに
- 入門編
- 第1章 はじめての1on1コミュニケーション
- 1on1コミュニケーションとは何か?
- 1on1って何ですか?
- なぜ、「話を聴くこと」は難しいのか?
- カウンセリングやコーチングとはここが違う
- 1on1は夫婦にも子育てにも使える
- 1on1コミュニケーションに必要な基礎知識
- 上司は部下に「教えてもらう姿勢」が基本
- 上司は「ありのままの自分」で大丈夫
- 部下の話をしっかり聴く「3つの条件」
- いちばん話を聴くべき「上位2割」の人とは?
- 社員の創造力思考力を活性化する「1on1ディープ・リスニング」
- まずは、この「4つのテクニック」から始めよう
- 1on1コミュニケーションとは何か?
- 第2章 プロカウンセラーが解説する1on1「11のメソッド」
- 「自分の心」を変えるメソッド
- 「心理的安全性」で不安をゼロにする
- 「4つの動機」でモチベーションを高める
- 「自己開示」で心理的距離感を縮める
- 「学習性無力感」を克服して限界を破る
- 「課題の分離」で問題点をシンプルにする
- 「相手の心」を動かすメソッド
- 「12の禁句」でモチベーションを下げない
- 「NVC」で悪循環をストップする
- 「ストレスマネジメント」で心の状態を知る
- 「アンガーマネジメント」で心の限界を知る
- 「アンガーマネジメント」で感情に呑まれないようにする
- 「ピグマリオン効果」で相手の能力を引き出す
- 「自分の心」を変えるメソッド
- 第3章 プロカウンセラーが実践する1on1「16のスキル」
- 「聴くスキル」を高める
- 自分の「聴き方」をチェックする
- 「安心して話せる人」になる
- 「心の状態」をクリアにする
- 「心の声」を聴く
- 「おもてなし」する気持ちを持つ
- 「相手キーワード」を繰り返す
- 「あなたの味方」という姿勢で接する
- 「いいね!」で承認欲求を満たす
- 「伝え返し」で相手の心を言語化する
- 「質問するスキル」を高める
- 「2つのクエスチョン」で聴きやすい空気をつくる
- 「3つのシンプルな質問」で気づきを引き出す
- 「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」で解決策を引き出す
- 「GROWモデル」で解決策をリストアップする
- 「伝えるスキル」を高める
- 「アサーション」でお互いの立場を尊重する
- 「Iメッセージ」「Youメッセージ」で感じたことを伝える
- 「DESC法」で伝えたいことを整理する
- 「聴くスキル」を高める
- 第4章 1on1の効果を高める「5つのエクササイズ」
- 「雑談力」をつけるエクササイズ
- 「感謝の心」を育てるエクササイズ
- 「質問力」をつけるエクササイズ
- 「変えられないこと」を理解するエクササイズ
- ベストな距離感をとるエクササイズ
- 第1章 はじめての1on1コミュニケーション
- 実践編
- 第5章 実践! 1on1コミュニケーション[ビジネス編]
- [CASE1]やさしくなりすぎるとき
- [CASE2]自分の考えを押しつけてしまうとき
- [CASE3]ルーティン業務の話ばかりになってしまうとき
- [CASE4]部下をどう指導したらいいかわからないとき
- [CASE5]優秀な部下を引き止められないとき
- 第6章 プライベートにも効く! 1on1「6つのルール」
- 人間関係を「メンテナンス」する
- 「安心、安全の場」を守るルールをつくる
- 「価値観の違い」を尊重する
- 自分の「安全基地」を守る
- 「求めていること」を率直に伝える
- 「DESC法」で相手への不満を整理する
- 第7章 実践! 1on1コミュニケーション[プライベート編]
- [CASE1]妻の体調が悪いとき
- [CASE2]仕事の愚痴を聞いてほしいとき
- [CASE3]帰りが遅くなるのに連絡がないとき
- [CASE4]家族がなかなか起きてこないとき
- [CASE5]子育ての意見が合わないとき
- [CASE6]家族が勝手にスマホをいじったとき
- おわりに
- 付録 プロカウンセラーが使っている1on1の「4つのツール」
- 参考文献
- 第5章 実践! 1on1コミュニケーション[ビジネス編]