メタバースの歴史やWeb3と関係といった最新動向から、3DCG・プログラミング・サーバー・デバイスといった仕組み、ビジネスでの活用法や未来予測まで、幅広い範囲の内容についてポイントを簡潔に解説している本です。
ニュースでメタバースを知って興味を持った人、ビジネスでメタバースに取り組むことを検討している人、クリエイターやエンジニアでこれからメタバースを仕事にしたい人にとって、最初に手にとって読んでもメタバースの全体像がつかめる内容になっています。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書誌情報
著者紹介
波多間 俊之(はだま・としゆき)
株式会社ビーライズ 代表取締役社長。
3DCGクリエイターを経て、2012年にVR/ARの専門企業としてビーライズを設立し、さまざまなXRシステムの開発に従事。近年では大企業やスポーツ球団向けのメタバース開発などを積極的に展開。事業の軸をメタバースへの移行している。
著者が伝えたいこと
著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。
「本書では、今の技術での”現実的なメタバース”と、技術や法整備などの観点から”今は現実的ではないが未来のメタバース”という予測も交え、さまざまな技術の集合体であるメタバースのしくみを解説しています。」
「ニュースを見てメタバースが気になった方、これからビジネスとして参入を検討されている方、またエンジニアやクリエイターとして活躍の場を求めている方などを対象にしています。」
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- はじめに
- 第1章 メタバースの基本 〜メタバースの語源と歴史〜
- 第2章 GAFAMやゲーム業界とメタバース 〜メタバースをめぐる市場争い〜
- 第3章 メタバースとWeb3.0 〜ブロックチェーンの技術とメタバースの関わり〜
- 第4章 メタバースを表現するグラフィック 〜3DCGとデザインによる世界観の表現〜
- 第5章 メタバースを作るプログラミング 〜プラットフォームによる開発手法の違い〜
- 第6章 オンライン通信とサーバー 〜メタバースを支えるサーバー〜
- 第7章 メタバースを体験する方法とそのしくみ 〜さまざまなデバイスの種類と特徴〜
- 第8章 ビジネスにおけるメタバースの活用法 〜自社のビジネスにメタバースを活用するには〜
- 第9章 メタバースのこれから 〜メタバースの未来を想像しよう〜
- 用語集
- おわりに
- 索引
もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。
注目点
この本を読んで注目した点を3つ紹介します。
IT業界vs.ゲーム業界vs.ブロックチェーン業界
1つ目に注目した点は「第2章 GAFAMやゲーム業界とメタバース」の「IT業界vs.ゲーム業界vs.ブロックチェーン業界」です。
著者は、メタバースに関して積極的な動きを見せている業界を大きく3つに分類し、業界ごとに強みとポジショニングを以下のように解説しています。
業界名 | 強みとポジショニング |
---|---|
IT業界 例)メタ社、マイクロソフト社 | SNSやITサービスなどで多くのユーザを抱えていることに加え、多額の資本を持っており、積極的な投資活動や人材採用によってメタバース市場を狙える |
ゲーム業界 例)エピックゲームズ社、スクウェア・エニックス社 | 多人数参加型のオンラインゲームなどを開発してきたノウハウや、既存ゲームのユーザ数などをそのままメタバースで活かせる可能性がある |
ブロックチェーン業界 例)アニモカブランズ社 | 暗号資産やNFTなどのしくみを活用することで、メタバース内での経済活動を支える可能性がある。また、今までのゲームなどとは違う取り組みが期待されている |
メタバースで使用されるプログラミング言語
2つ目に注目した点は「第5章 メタバースを作るプログラミング」の「最も使用されているゲームエンジン」です。
著者は、「UnityはアメリカのUnity Technologies社が提供するゲームエンジンです。現在のメタバースの開発で最も使われているゲームエンジンです。」と述べ、ゲームエンジンのシェア率を図で説明しています。
その図によると、Unityは55.0%、Unreal Engineは20.0%、会社独自のゲームエンジンは20.0%、その他が5.0%となっています。
著者は、Unityのプログラミング方法について以下のように解説しています。
UnityのプログラミングにはC#とVisual Scriptingの2種類があります。
(中略)
2つとも同じ機能を実装できますが、実装が速く実際に動いている状態を可視化しやすいのがVisual Scripting、幅広くパフォーマンスよく機能を自由に実装できるのはC#です。どちらにもメリットがあるため状況に応じて選ぶとよいでしょう。
波多間 俊之. 図解まるわかり メタバースのしくみ (Japanese Edition) (p.172). Kindle 版.
ブロックチェーン技術を活用したアプリケーション
3つ目に注目した点は「第7章 メタバースを体験する方法とそのしくみ」の「ブロックチェーン技術を活用したアプリケーション」です。
著者は、「VRデバイスで体験できるブロックチェーンアプリも登場しています。」と述べ、主要なブロックチェーンアプリを以下のように解説しています。
サービス名 | The Sandbox | Decentraland | Cryptovoxels | Somnium Space |
ブロックチェーン | イーサリアム | イーサリアム | イーサリアム | イーサリアム |
使用通貨 | SAND | MANA | イーサリアム | Cubes |
主な特徴 | 世界で4,000万DLを記録したモバイルゲームのブロックチェーン版 | 最も古いとされるブロックチェーンプロジェクト | ブロックチェーンベースとしては初のVR対応プロジェクト | この中では最もVRにフォーカスしたプロジェクト |
感想・口コミ・書評記事
感想
メタバースの歴史やWeb3との関わりといった最新動向から、3DCG・プログラミング・サーバー・デバイスといった仕組み、ビジネスでの活用法や未来予測まで、とても幅広い範囲の内容について、ポイントを簡潔に解説している本です。
著者がこの本の対象者として述べているように、ニュースでメタバースを知って興味を持った人、ビジネスでメタバースに取り組むことを検討している人、クリエイターやエンジニアでこれからメタバース関連の仕事を考えている人にとって、最初に手にとって読むとメタバースの全体像がつかめる内容になっている。
この本を読んだあとに、用語集に載っているキーワードの中から自分の興味・関心に応じて、他の本やインターネットを調べていくと、さらに知識を深めることができるので、そのような読者を想定して参考文献が役に立つのであるが、記載されていなかったのは残念である。
私自身としては、すでに数冊メタバースの本を読んでいるので既知の内容が多かったが、メタバースについて改めてポイントとなる知識を整理・復習できたことと、注目点に挙げたVRデバイスで体験できるブロックチェーンアプリのCryptovoxelsやSomnium Spaceについて初めて知ったので、読んで良かったと感じた。
口コミ
書評記事
Coming Soon...
参考文献
この本には参考文献の記載がなかったので、私が読んだ本の中から次に読むといい本を紹介します。
世界2.0 メタバースの歩き方と創り方:佐藤航陽(著)
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)
Web3というインターネットの転換点と、その背景にあるDAOという新しいコミュニティについて、概要・本質・哲学を、インターネットの歴史を振り返りながら解説している本です。
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
メタバースがわかる本おすすめ
VRがわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
メタバースの歴史やWeb3と関係といった最新動向から、3DCG・プログラミング・サーバー・デバイスといった仕組み、ビジネスでの活用法や未来予測まで、幅広い範囲の内容についてポイントを簡潔に解説している本です。
ニュースでメタバースを知って興味を持った人、ビジネスでメタバースに取り組むことを検討している人、クリエイターやエンジニアでこれからメタバースを仕事にしたい人にとって、最初に手にとって読んでもメタバースの全体像がつかめる内容になっています。
本の目次(詳細版)
この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。
- はじめに
- 第1章 メタバースの基本 〜メタバースの語源と歴史〜
- メタバースとは?
- メタバースの語源
- メタバースが注目されるようになった理由
- メタバースの歴史 1980〜2000年
- メタバースの歴史 2000〜2010年
- メタバースの歴史 2010年〜現在
- メタバースは誰が作るのか?
- メタバースとSNSの関係性
- メタバースとUGCの関係性
- 第2章 GAFAMやゲーム業界とメタバース 〜メタバースをめぐる市場争い〜
- メタバースはビジネスとして成立するのか?
- メタバースはどのように普及していくか?
- IT業界 vs. ゲーム業界 vs. ブロックチェーン業界
- IT業界とメタバース
- ゲーム業界とメタバース
- ブロックチェーン業界とメタバース
- メタバースを支える企業たち
- VTuberとメタバース
- 日本はメタバースの波とどう向かい合うべきか?
- 第3章 メタバースとWeb3.0 〜ブロックチェーンの技術とメタバースの関わり〜
- Web3.0の誕生
- ブロックチェーンの技術
- イーサリアムのしくみ
- NFTの基礎
- クリエイターとNFT
- コミュニティとNFT
- デジタルアイデンティティとNFT
- メタバースの関係性
- メタバースにおける組織形態の変化
- 第4章 メタバースを表現するグラフィック 〜3DCGとデザインによる世界観の表現〜
- メタバースを表現するには?
- メタバースを開発する技術
- メタバースの企画立案
- 企画書の作成と仕様書
- メタバースのUX/UI
- メタバースの空間デザイン
- アバターの作り方
- アバターの感情表現
- リアルタイムレンダリングとローポリ
- 第5章 メタバースを作るプログラミング 〜プラットフォームによる開発手法の違い〜
- メタバースを作るためのプログラミング
- デスクトップアプリの開発
- スマホアプリの開発
- Webアプリの開発
- メタバースで使用されるプログラミング言語
- ゲームエンジンを利用した開発
- 最も使用されているゲームエンジン
- Webにおける開発
- WebGLという技術
- 第6章 オンライン通信とサーバー 〜メタバースを支えるサーバー〜
- メタバースを支えるしくみ(1)
- メタバースを支えるしくみ(2)
- サーバーの種類
- シングルプレイとマルチプレイの違い
- マルチプレイを行うには?
- ユーザー同士のデータ通信を行う
- コミュニケーションを行う(1)
- コミュニケーションを行う(2)
- 第7章 メタバースを体験する方法とそのしくみ 〜さまざまなデバイスの種類と特徴〜
- メタバースが体験できるデバイス
- メタバースで使用されるVRゴーグルの種類
- VRのしくみと技術
- スタンドアロンでの体験
- PCでの体験
- スマートフォンでの体験
- ARデバイスはメタバースに使えるのか?
- ブラウザでの体験
- ブロックチェーン技術を活用したアプリケーション
- ブロックチェーンアプリの課題
- 第8章 ビジネスにおけるメタバースの活用法 〜自社のビジネスにメタバースを活用するには〜
- withコロナとメタバース
- 仮想空間を活用したビジネスの展開
- 仮想空間とオンラインとの違い
- メタバースでビジネスになるもの
- デジタルツインとしてのメタバース
- O2O・OMOとしてのビジネス活用
- データをビジネスとして活用する
- 自社でメタバースを内製する必要はない
- 自社とメタバースの関わり方を考える
- 第9章 メタバースのこれから 〜メタバースの未来を想像しよう〜
- メタバースの今後の課題
- VR/ARデバイスの進化
- 移動する必要がない世界
- テレイグジスタンスの進化
- ムーンショット目標から見るメタバース
- メタバースでの生活
- 新たなコミュニティでの出会い
- 超越した世界
- 用語集
- おわりに
- 索引