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【注目点・感想】Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井聡彦,鈴木雄大,赤澤直樹(著)

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Web3というインターネットの転換点と、その背景にあるDAOという新しいコミュニティについて、概要・本質・哲学を、インターネットの歴史を振り返りながら解説している本です。

Web3やDAOに興味をもった人、いまWeb3やDAOをはじめる理由が知りたい人、インターネットや社会がどう変わるのかを知りたい人に一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書誌情報

亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)けんぞう, 田所 未雪(ナレーション)かんき出版(出版社)2022/7/6(発売日)240P(ページ数)

著者紹介

この本の「著者紹介」から一部引用して紹介します。

亀井 聡彦(かめい・としひこ)

Fracton Ventures Co-Founder
Web3のスタートアップエコシステムに貢献するべく2021年に、Fracton Ventures株式会社を共同創業。

鈴木 雄大(すずき・ゆうだい)

Fracton Ventures Co-Founder
2021年に、Fracton Ventures株式会社を共同創業。日本暗号資産ビジネス協会DeFi部会副部会長、一般社団法人イーサリアムステーキング協会の理事を務める。

赤澤 直樹(あかざわ・なおき)

Fracton Ventures Co-Founder / CTO
2021年に、Fracton Ventures株式会社を共同創業。同社でWeb3社会、DAOの普及・到来に向けて啓蒙を含めた活動を行う。

著者が伝えたいこと

著者は「はじめに」で読者に以下のように語りかけています。

今後世界を覆い、社会的な大変化を引き起こす「Web3」というインターネットの転換点と、その背景にある「DAO(ダオ)」というブロックチェーンによって可能となった新しいコミュニティについて、概要と本質を、インターネットの歴史を紐解きながら1冊にまとめたものである。(中略)

こうして本書を手にとっていただいたあなたにとっても、今が学び、行動を起こす「その時」なのである。

Web3は単なる「今までのインターネットの次のトレンド」というようなレベルの話ではない。インターネットの歴史の一つになりうる出来事であり、またこれを機に、社会も我々も価値観すべてが変わる新分野なのである。(中略)

さあ、Web3の世界へ飛び込んでみよう。

亀井聡彦,鈴木雄大,赤澤直樹. Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」 (Japanese Edition) (p.3). Kindle 版.

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • はじめに
  • 第1章 Web1.0で叶わなかった夢が、Web3で叶う
  • 第2章 Web3のある生活
  • 第3章 Web3の全体像
  • 第4章 個人がオーナーシップを持つ世界
  • 第5章 「競争」から「共創」へ
  • 第6章 DAOとイノベーションの破壊的加速
  • 第7章 DAOの入り方、DAOの作り方
  • 第8章 すべてのサービスが「プロトコル」になる未来
  • 第9章 世界はいずれDAOになる
  • おわりに

もっとくわしく見たい場合は、本の目次(詳細版)が記事の最後にあります。

注目点

この本を読んで注目した点を3つ紹介します。

Web2.0型組織とWeb3型組織の比較

「第6章 DAOとイノベーションの破壊的加速」の中で、現在の株式会社とWeb3時代における新しいパラダイムである「DAO」を比較して説明しています。

Web2.0(一般的な会社組織)Web3(DAO)
ガバナンス取締役会による決議(株式型)コミュニティドリブン(トークン型)
プロダクト自社のアセットパブリックプロトコル(=コモンズ)
ソースコード非公開オープンソース
利益競争主義による独占共創
データ内部データベースに格納されてアクセス不可検証可能性(verifiability)
参加機会閉鎖的、排他的誰でもコミュニティへ参加可能
亀井聡彦,鈴木雄大,赤澤直樹. Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」第6章より引用

「プロダクト」について著者は以下のように説明しており、「公共財を作っている感覚」という言葉が印象に残った。

Web3スタートアップは、自社のプロダクトやサービスを作っているのではなく、パブリックなプロトコルを作っている。

社会的に意味のあるデジタル空間の公共財を作っている感覚なのである。

亀井聡彦,鈴木雄大,赤澤直樹. Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」 (Japanese Edition) (p.148). Kindle 版.

インフラこそがキャッシュエンジンになる

「第8章 すべてのサービスが『プロトコル』になる未来」の中で、「インフラこそがキャッシュエンジンになる」について述べています。

著者は、ユニオン・スクエア・ベンチャーズのアナリスト、ジョエル・モグレロが2016年に提唱した「ファット・プロトコル」と呼ばれる概念(インターネットが「厚い」プロトコルレイヤーと「薄い」アプリケーションレイヤーの構図になる)を紹介しています。

著者は、金融領域を分散化しているDeFi、クリエイターエコノミーの元となるNFTなどのWeb3プロジェクトが起こしているムーブメントや、社会のインフラがどのように変わるかを以下のように説明しています。

今、世界中の各Web3プロジェクトが行っていることは、まさに、あらゆる社会システムを、プログラマブルであるコード群に、プロトコル層から置き換え直していっていると言っても過言ではない。

つまり、Web3は世の中のすべての独占されたシステムを、分散型で、中央集権的ではない公共財に変えていこうとするムーブメントなのだ。

今後あらゆるトークンがさまざまなプロトコルを経由し、流動していく。

トークンは、「価値の保全」なので、プロトコルを通して、別のコミュニティ同士が価値交換できるようになっていく。

価値交換の媒介となるプロトコルたちは、すなわち社会のインフラであると言える。

亀井聡彦,鈴木雄大,赤澤直樹. Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」 (Japanese Edition) (p.196). Kindle 版.

「寄付3.0」としてのギットコイン

「第9章 世界はいずれDAOになる」の中で、「『寄付3.0』としてのギットコイン」について述べています。

著者は具体的なWeb3プロトコルの例としてギットコイン(Gitcoin)を以下のように紹介しています。

  • ギットコインでは誰でもオープンソースなプロジェクトに対して寄付が可能になる
  • ギットコインで寄付を募るプロジェクトは寄付の貰い方において、変動的に寄付受取額が増額されるメカニズムを採用する

寄付の集まり方として、大きな額を少人数から集める場合と、少ない額を大人数から集める場合があり、ギットコインのプロトコル設計について以下のように説明しています。

ギットコインでは後者の「少ない額を大人数から集めるという方向に人々を向かわせる」ことを目的にインセンティブ設計を行った。

どのように行ったのかと言うと、ギットコインではギットコイン・ファンドと呼ばれる、寄付額に上乗せで寄付をするための財源プールを設置し、その財源プールの分配方法について、クアドラティック・ファンディングと呼ばれる手法を採用して、その分配を決定することにしたのである。(中略)

ギットコインは今までの寄付にある種のゲーム性を加えたものだ。

本来あるべき寄付の姿をギットコイン側が制定でき、かつインセンティブとなるギットコイン・ファンドの追加寄付という手段によって、人々の行動を変化させられるプロトコルである

亀井聡彦,鈴木雄大,赤澤直樹. Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」 (Japanese Edition) (p.204). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

DAOについて詳しく書かれている第6章から第9章は、他のWeb3本には書かれていない内容が多かったので、特に前のめりでアンダーラインをいっぱい引きながら読みました。

「第2章 Web3のある生活」では、今後ところどころの会社の職場でおきそうな出来事がフィクションの対話形式で書かれていて面白く読みました。第9章あたりで、数年後を想定して「その後のWeb3のある生活」が描かれても面白いかと感じました。

注目点として3つ挙げた以外に特に印象的だったのは、「Web3スタートアップのイグジットは、IPOでもM&Aでもなく、会社を清算して、分散型組織であるDAOになりきることがデファクトスタンダードなのだ。」という言葉です。この本を最後まで読んでみて、改めてこの言葉の意味がよく理解できました。

Web3はWeb2.0の延長で理解することが難しく、第6章の最後に書かれていた「まずはWeb2.0の価値観をアンラーンしていく必要がある」という注意点は重要だと思いました。

この本オリジナルの図や表が多く、効果的に描かれていて、文章では分かりにくいことの理解を助けてくれました。

Web3やDAOに興味をもった人には、Web3の哲学、Web3の本質、いまWeb3やDAOをはじめる理由を知るために、ぜひ一読してほしい一冊だと感じました。

亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)けんぞう, 田所 未雪(ナレーション)かんき出版(出版社)2022/7/6(発売日)240P(ページ数)

口コミ

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書評記事

Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」 (亀井聡彦, 鈴木雄大, 赤澤直樹)の書評 | 起業家・経営者のためのビジネス書評ブログ!

『Web3とDAO』はWeb3的な思考をインストールするための最適な本|吉田基紀|note

参考文献

この本の参考文献や関連する本と、この本に登場する用語「DeSci」「ReFi」「Gitcoin」について、参考になるリンクを紹介します。

人新世の「資本論」:斎藤 幸平(著)

「第6章 DAOとイノベーションの破壊的加速」の中で、経済成長の限界と持続可能性の議論があることについて引用されています。

斎藤 幸平(著)集英社(出版社)2020/9/17(発売日)384P(ページ数)

DeSci(ディーサイ)分散型サイエンス

DeSciとは、Decentralized Scienceの略で、分散型サイエンス

「DeSciは、クリプトの技術や知見を生かして、資金調達、研究へのアクセス、出版仲介業などにおける科学界のこれまでの課題を解決することを目指している領域だ。」と著者は説明しています。

(参考)分散型サイエンス - DeSci — Fracton Ventures

(参考)DeSci (分散型サイエンス)を求める科学者の背景 ver 1.0|濱田太陽|note

VitaDAO(ビータダオ)

「高齢化による社会経済的負担という深刻な社会課題を解決するために生まれた、自律分散型の研究DAO。」と著者は説明しています。

(参考)VitaDAOへようこそ

(参考)長寿研究の民主化を目指す「VitaDAO」 - 分散型科学の先端事例|柴藤亮介(アカデミスト株式会社代表取締役CEO)|note

ReFi(リーファイ)再生金融

ReFiとは、Regenerative Financeの略で、再生金融

「自然の資本をないがしろにせず、自然資本の破壊に関するコストと、自然資本の保存と回復に関する利益を内部化するような通貨システムをどうやって作っていくべきか、経済成長が生態系の再生につながるような通貨システムをどのように考案していけるか、そういったミッションに取り組んでいくプロジェクトがReFiだ。」と著者は説明しています。

(参考)ReFiとは?パート1 ー気候変動に関するクリプトの未知の世界を巡る旅 — Fracton Ventures

(参考)【DeFiの未来】地球を救う金融システム「 ReFi 」をリサーチ!【KlimaDAOも紹介】 | さいとうDeFiぶろぐ。

Klima DAO(クリマダオ)

「先進国間で取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明を指す”カーボンクレジット”市場の流動性・透明性・資本効率性を改善するDAO型のプロジェクト。」と著者は説明しています。

Gitcoin(ギットコイン)

「ギットコインは言わば『Web3 x 寄付』のプロトコルである。」と著者は説明しています。

(参考)Gitcoin (ギットコイン) – オープンウェブプロジェクトをサポートする

(参考)オープンソースプロジェクトへの資金援助を最適化したCLRマッチングとは? | by Mayato Hattori | Medium

Web3がわかる本おすすめ

DAOがわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

Web3というインターネットの転換点と、その背景にあるDAOという新しいコミュニティについて、概要・本質・哲学を、インターネットの歴史を振り返りながら解説している本です。

Web3やDAOに興味をもった人、いまWeb3やDAOをはじめる理由が知りたい人、インターネットや社会がどう変わるのかを知りたい人に一読をおすすめします。

亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)けんぞう, 田所 未雪(ナレーション)かんき出版(出版社)2022/7/6(発売日)240P(ページ数)

本の目次(詳細版)

この本の目次をくわしく引用して紹介します。

  • はじめに
  • 第1章 Web1.0で叶わなかった夢が、Web3で叶う
    • 古くて新しいWeb3
    • インターネット前夜:コンピューターの発明
    • インターネットの誕生
    • WWWの誕生と情報の民主化:Web1.0
    • デジタル技術のスペックアップとビジネスの躍進:Web2.0
    • インターネットは誰のためのもの?
    • 人々の人々による人々のためのインターネットへ:Web3
    • インターネットの物語、新章へ
  • 第2章 Web3のある生活
    • 「後輩」との面談
    • そんなことができるようになっているの?
    • Web3への挑戦
  • 第3章 Web3の全体像
    • Web3における7つのバズワード
    • バズワード(1) NFT
    • バズワード(2) メタバース
    • バズワード(3) DeFi
    • バズワード(4) GameFi
    • バズワード(5) ソーシャルトークン
    • バズワード(6) DeSci
    • バズワード(7) ReFi
    • Web3を支えるパブリックブロックチェーンという存在
    • Web3の価値観
  • 第4章 個人がオーナーシップを持つ世界
    • 個人がエンパワーされた2010年代
    • オーナーシップエコノミーへの転換により、ユーザー主導の社会ができる
    • プラットフォーマーの都合で、ユーザーが排除されない
    • オーナーシップを軸にしたインターネット社会
  • 第5章 「競争」から「共創」へ
    • 社会から見たWeb3
    • インターネットという公共財
    • オープンソースという文化
    • IT革命と空前のビジネスチャンス
    • 競争が生む価値とインターネット
    • 共創が生む価値とインターネット
    • コラボレーション革命:ヒト、モノ、カネ、情報の流れが変わる
  • 第6章 DAOとイノベーションの破壊的加速
    • オープンなスクラッチ&ビルドの「0→1」加速化ムーブメント
    • DAOによる組織のイノベーション
    • 資本効率、流動性によるイノベーションサイクルの革命
    • 格差の不平等に抗える「エンパワーメント」される社会
  • 第7章 DAOの入り方、DAOの作り方
    • DAOのエコシステム
    • DAOのエコシステムの歴史
    • DAOの入り方
    • DAOシステムの作り方
    • DAOの内部コミュニケーション
    • DAOの乗っ取り
    • DAOの解散
  • 第8章 すべてのサービスが「プロトコル」になる未来
    • 企業主導のインターネットサービスの限界
    • 市販の飲料水ではなく、水道管を作る
    • ファットプロトコルという新概念
    • インフラこそがキャッシュエンジンとなる
    • Web3で追求すべきインターネットの姿
  • 第9章 世界はいずれDAOになる
    • DAOが社会にもたらす価値
    • 「寄付3.0」としてのギットコイン
    • DAOによる世界変革を夢見る若者たち
  • おわりに

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