【広告】本ページはプロモーションが含まれています

【注目点・感想】ゴースト・ワーク:Mary L. Gray , Siddharth Suri(著)柴田裕之(翻訳)

本「ゴースト・ワーク」アイキャッチ画像

書籍「ゴースト・ワーク」は、Amazon、Microsoft、Uberなど企業が提供する自動化されたサービスの裏側に潜む「見えない労働者=ゴーストワーカー」について、文化人類学者とコンピュータ社会学者が、テクノロジーと人間の協同の歴史、現地のフィールドワーク調査、そして解決策の提案をしている本です。

スタートアップや新規事業で働いている人、企業でサービスを開発・運用している人、政治・行政の政策立案者、社会課題に関心がある人、などに一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書籍情報

日本語版

メアリー・L・グレイ, シッダールタ・スリ(著)柴田 裕之(翻訳)成田 悠輔(監修)晶文社(出版社)2023/4/25(発売日)448(ページ数)
\本のまとめ買いキャンペーン/
Amazonでみる
\ポイント最大11倍!/
楽天でみる
タイトルゴースト・ワークーーグローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか
著者メアリー・L・グレイ, シッダールタ・スリ
翻訳柴田 裕之
出版社晶文社
発売日2023/4/25
単行本ページ数448

原著(英語版)

Mary L. Gray , Siddharth Suri(著)Harper Business(出版社)2019/5/7(発売日)288P(ページ数)
\本のまとめ買いキャンペーン/
Amazonでみる
\ポイント最大11倍!/
楽天でみる

著者紹介

Mary L. Gray(メアリー・L・グレイ)

マイクロソフトリサーチの上級主任研究員で、ハーヴァード大学の「インターネットと社会のためのバークマン・クライン・センター」のファカルティ・アソシエイト。

人類学者とメディア学者としての教育を受け、テクノロジーの日常的な使用が人々の労働やアイデンティティや人権をどのように変えるかに的を絞っている。

Twitter: @marylgray

Siddharth Suri(シッダールタ・スリ)

マイクロソフトリサーチの上級主任研究員で、コンピューター社会学者。

マイクロソフトリサーチのニューヨーク市研究所の創設メンバー。

Twitter: @ssuri

著者が伝えたいこと

著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。

スマートフォンのアプリやウェブサイトや人工知能(AI)システムの数々を作動させている人間の労働は、なかなか目につかない。じつは、意図的に隠されていることがよくあるのだ。この見えづらい世界での労働のことを、本書では「ゴーストワーク」と呼ぶ。

本書は、私たち(人類学者とコンピューター科学者、そして、二人が編成した研究チーム)が、急成長中ではあるが依然としておおむね姿の見えないこの経済部門を詳しく調べた、五年に及ぶ研究を拠り所としている。

本書はAIの構築でゴーストワークが果たす役割に光を当て、目に見えないけれど、インターネットの機能や自動化の未来にとって欠かせないワーカーの暮らしを明らかにする、前例のない作品だ。

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。

  • 序 機械の中の幽霊
  • 第1部 自動化のラストマイルのパラドックス
    • 第1章 ループ(作業工程)の中の人間たち
    • 第2章 出来高払いの仕事からアウトソーシングへーー自動化のラストマイルの略史
  • 第2部 苛酷な仕事
    • 第3章 アルゴリズムの残虐とゴーストワークの隠れたコスト
    • 第4章 お金(以上のもの)のために熱心に働く
  • 第3部 ロボットにやり返す
    • 第5章 見ず知らずの人の優しさと協同の力
    • 第6章 ダブルボトムライン
  • 結論 目下の課題
  • 解説:彼らは幽霊じゃない 成田悠輔

注目点

この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。

Mタークーーマイクロタスクの代表的プラットフォーム

1つ目に注目した点は「第1章 ループ(作業工程)の中の人間たち」の「ゴーストワークの範囲ーーマイクロタスクからマクロタスクまで」に書かれている「Mタークーーマイクロタスクの代表的プラットフォーム」です。

Mタークというのは、「アマゾン・メカニカルターク」の略称で、アマゾン・ドットコムが所有・運営している市場です。

著者は、Mタークで働く人々の状況について調査した結果を述べています。

  • Mタークで働く人のほぼ7割が学士号以上を持っている。
  • Mタークのワーカーは、76.9%が18〜37歳である。
  • Mタークの研究者パノス・イペイロティスによると、どの時点でも2000〜5000人のワーカーがMタークで働いていると推定している。
  • Mタークのワーカーの75%が、他にも最低一つは収入源を持っている。

Mタークは、従来のような雇用者と被雇用者の関係ではなく、以下のように説明しています。

ワーカーはおおむね匿名で、たいてい自律的に働く。つまりリクエスターは、仕事を実行する人を指定できないし、いったんワーカーがタスクを請け負ったら、それをどうやり遂げるかを指示することもできない。一方、Mタークからの収入にかかる税の処理は、ワーカーがいっさいの責任を負う。(中略)

だがリクエスターには、仕事を素早くやってもらえる上に従業員を正式に雇うコストを払わずに済むという利点がある。そしてワーカーにも、タスクを終えてしまえば同じ仕事をやり続けなくても済むという利点がある。

メアリー・L・グレイ,シッダールタ・スリ. ゴースト・ワーク (pp.72-73). Kindle 版.

臨時労働の人間コンピューターがアメリカを月に送り込む

2つ目に注目した点は「第2章 出来高払いの仕事からアウトソーシングへーー自動化のラストマイルの略史」に書かれている「臨時労働の人間コンピューターがアメリカを月に送り込む」です。

著者は、ヴァージニア州ラングレーのラングレー記念航空研究所の人間コンピュータープールを例にあげて説明しています。

  • 「コンピューター」という用語は、手計算をする人を指して1600年台から使われていた。
  • ラングレー初の女性コンピュータープールは1935年に置かれて、女性の大多数は、戦後数年間、依然として給与の低い「準専門職」と呼ばれていた。
  • 2016年の人気映画『ドリーム』(アマゾンPrime Video)の主人公で、後にアポロ13号の発射時限を計算することになるアフリカ系アメリカ人のキャサリン・ジョンソンもいた。

1946年までに、何千もの若い女性がアメリカ各地で、ラングレー空軍基地のもののような研究センターで募集され、合衆国人事委員会のために「人間コンピューター」として働くべく訓練された。

彼女たちは、ナチスドイツが送る暗号文の解読から、試験用ロケットエンジンの生み出す推力や、その速度を上げるための重量と高さの調節の計算まで、あらゆることを陰で支える「計算プロセッサー」だった。

メアリー・L・グレイ,シッダールタ・スリ. ゴースト・ワーク (Kindle の位置No.1842-1847). Kindle 版.

オフィスで身動きが取れなくなるーー「ワークライフバランス」の神話を粉砕する

3つ目に注目した点は「第4章 お金(以上のもの)のために熱心に働く」の「暮らしを仕事に合わせるのではなく、仕事をくらしに合わせる」に書かれている「オフィスで身動きが取れなくなるーー「ワークライフバランス」の神話を粉砕する」です。

著者は、「ワーカーの誰もが、オンデマンドワークを昇進や、さらにはもっと安定した(最終的にはフルタイムの)仕事への足掛かりと見ているわけではない。」と述べ、ワーカーがオンデマンドワークをする理由を以下のように説明しています。

アメリカ以外のワーカーは、オンデマンドワークをする最大の理由として金銭的な報いを挙げる率が低いことを、私たちの調査データは示している。お金を稼ぐことが最優先ではないときには、ワーカーは、経験を積んだり新しいスキルを身に付けたりといった自己改善と、空き時間を活用したり、物事を自分の好きなようにしたりといった自己決定の両方の理由からゴーストワークをする。

メアリー・L・グレイ,シッダールタ・スリ. ゴースト・ワーク (pp.210-211). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

「Amazon、Microsoft、Uberなど企業が提供する自動化されたサービスの裏側に潜む、数えきれない『見えない労働者』の存在と実情とは。」と書かれている紹介文に興味を感じて読んでみました。

読む前には、見えない労働者(ゴーストワーカー)の実情をフィールドワークした内容だけだと思っていましたが、読み終えてみると、仕事の歴史から、現在の自動化サービスの裏側の仕事、そして未来の仕事に向けた提案まで書かれている書籍で、とても読み応えがありました。

初めて知って衝撃的だったのは、「コンピューター」という用語が、手計算をする人を指して1600年台から使われていたということです。今まで「IBMが初めてコンピューターを発明した」という理解だったので驚きました。

ゴーストワークの事例としては、前日ヒゲを剃ったUberのドライバーの本人確認をするために、インドにいるオンデマンドワーカーが、ヒゲがある本人確認写真と目視で見比べるタスクをしているというのが、印象的なエピソードでした。

著者は「結論」の中で、「テクノロジーは臨時労働の需要を消し去りはしない」、「2055年までには、今日の全世界の雇用の6割が何らかの形のゴーストワークに変わる可能性が高い」と述べ、ゴーストワークを「オンデマンドワーク・エコノミー」にする技術的解決策と社会的解決策を提案しており、とても興味深い内容でした。

スタートアップや新規事業で新しいサービスを考えている人、すでに企業でサービスを開発・運用している人、政治・行政の政策立案者などにおすすめする本です。

最新の事例としてChatGPTについてのウォール・ストリート・ジャーナルの記事を見つけました。ChatGPTによる要約は以下の通りです。

  • 記事のタイトルは「Cleaning Up ChatGPT Takes Heavy Toll on Human Workers」で、OpenAIのチャットボット、ChatGPTの調整に関与したケニアの契約労働者が、暴力や性的虐待の描写を取り除く作業によりトラウマを経験したと述べています。これらの労働者は、ChatGPTから暴力や虐待の内容をフィルタリングするために、何千ものグラフィックテキストをレビューしました。
  • また、OpenAIはケニアの労働者を時間当たり2ドル未満の賃金で雇用し、ChatGPTから有害な内容を取り除く作業を行わせていたとの情報もあります。
  • ChatGPTなどの新しい人工知能チャットボットは、カスタマーサービスの代表から脚本家まで、人間の仕事を置き換える可能性を秘めています。しかし、その一方で、AIの調整と管理に関与する人間の労働者に対する影響も考慮する必要があります。
メアリー・L・グレイ, シッダールタ・スリ(著)柴田 裕之(翻訳)成田 悠輔(監修)晶文社(出版社)2023/4/25(発売日)448(ページ数)
\本のまとめ買いキャンペーン/
Amazonでみる
\ポイント最大11倍!/
楽天でみる

口コミ

書評記事

匿名労働者が担う、細切れの「ゴースト・ワーク」 『ゴースト・ワーク』など書評4冊 | ブックレビュー | 東洋経済オンライン

5月1日に考えるゴースト・ワーク|銀河鉄道の夜|大竹高史

レビュー『ゴースト・ワーク』|ホ・ヴィンチ

MIT Tech Review: 自動化が生む新たな貧困 「ゴーストワーク」は 他人事ではない

その記事は誰が分類したか AI化の影にある膨大な労働|日経BizGate

参考文献

この本には、多くの論文が参考文献として記載されていますので、本書を手にとって確認してください。

書籍の参考文献に特筆するものはありませんでした。

本ブログサイトの関連する記事を紹介します。

アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか:ハンナ・フライ(著)

この本の概要や注目点、感想・口コミ、目次などをブログ記事で紹介しています。

生成AI(ジェネレーティブAI)がわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

書籍「ゴースト・ワーク」は、Amazon、Microsoft、Uberなど企業が提供する自動化されたサービスの裏側に潜む「見えない労働者=ゴーストワーカー」について、文化人類学者とコンピュータ社会学者が、テクノロジーと人間の協同の歴史、現地のフィールドワーク調査、そして解決策の提案をしている本です。

スタートアップや新規事業で働いている人、企業でサービスを開発・運用している人、政治・行政の政策立案者、社会課題に関心がある人、などに一読をおすすめします。

メアリー・L・グレイ, シッダールタ・スリ(著)柴田 裕之(翻訳)成田 悠輔(監修)晶文社(出版社)2023/4/25(発売日)448(ページ数)
\本のまとめ買いキャンペーン/
Amazonでみる
\ポイント最大11倍!/
楽天でみる

本ブログサイトでは以下の記事も紹介しています。

本の目次(詳細版)

この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。

  • 序 機械の中の幽霊
    • ゴーストワークはどのようにして成立するのか?
    • いずれ万能ロボットが登場するかもしれないが、まだその日は来ていない
    • ゴーストワークと雇用の未来
  • 第1部 自動化のラストマイルのパラドックス
    • 第1章 ループ(作業工程)の中の人間たち
      • ゴーストワークの始まり
      • APIを使って業務を委託する
      • ゴーストワークと機械学習とAIの台頭
        • ImageNetの構築
      • ゴーストワークの範囲ーーマイクロタスクからマクロタスクまで
        • Mタークーーマイクロタスクの代表的プラットフォーム
        • ユニヴァーサル・ヒューマン・レリヴァンス・システム(UHRS)ーー企業のファイアウォールの陰で行われるマイクロタスク・ゴーストワーク
        • リードジーニアスーーマイクロゴーストワークとマクロゴーストワークの境を曖昧にする
        • アマラーー翻訳をゴーストワークする
        • 仕事をアップロードするーーフルタイムの従業員がマクロタスクを管理するとき
      • 武器にされた無知
        • あなたの仕事が当てはまるカテゴリーがないとき
    • 第2章 出来高払いの仕事からアウトソーシングへーー自動化のラストマイルの略史
      • ワグナー法以前ーー初期の資本主義を活気づけた使い捨て可能な労働力
      • 産業革命の双子のエンジンーー組立ラインと出来高払いの仕事
      • 「週末」の発明ーーフルタイムの仕事が優先されると、請負業務が割りを食う
      • 臨時労働の人間コンピューターがアメリカを月に送り込む
      • 使い捨て可能な労働の次の波ーーアウトソーシングと契約社員
      • 契約社員の増加
      • 雇用形態の分類の曖昧さ
  • 第2部 苛酷な仕事
    • 第3章 アルゴリズムの残虐とゴーストワークの隠れたコスト
      • 無頓着なデザインとその意図せざる結果
      • ビジネスを行なうコスト
        • 仕事をリクエストするーー取引コスト
      • ゴーストワークの隠された痛みの尺度
        • ペインスケール1〜3ーー融通性、じつは極度の神経集中
        • ペインスケール4〜6ーー自主性、じつは孤独とガイダンスの欠如
        • ペインスケール7〜10ーー不正行為、じつは技術的不具合あるいは善意の努力のせいで報酬をもらえない
      • 完璧な上司などいないし、完璧なソフトウェアもない
    • 第4章 お金(以上のもの)のために熱心に働く
      • 選択肢を天秤にかける
      • キャリアアップの各段階が失われたとき
        • なぜプランBよりもゴーストワークを選ぶのか?
      • 仕事がブッククラブのように見えるとき
      • 暮らしを仕事に合わせるのではなく、仕事をくらしに合わせる
        • オフィスで身動きが取れなくなるーー「ワークライフバランス」の神話を粉砕する
        • 奮闘
        • ガラスの天井
      • すべてバラ色というわけではない
  • 第3部 ロボットにやり返す
    • 第5章 見ず知らずの人の優しさと協同の力
      • 職場に溶け込む
      • 協同して取引コストを減らす
      • 仕事をやり遂げる
      • 仕事の社会的側面を再構築する
      • 連携の効果
        • 集団行動を考え直す
      • 休憩室2.0
    • 第6章 ダブルボトムライン
      • ソフトウェアに何なりとお申し付けを!
      • ワーカーを顧客に変えるシングルボトムライン
        • ダブルボトムライン
      • 意図的なダブルボトムライン
        • ビジネス戦略としてのスキャフォールディング
        • ボランティアがワークチームになるとき
      • ダブルボトムラインを実現している多様なゴーストワーク
        • 認可制度の創出
        • CO-OP2.0
      • 善意と優れた構想だけでは足りないとき
      • コモンズの悲劇
  • 結論 目下の課題
    • 構築中のゴーストワーク
    • ゴーストワークの過去から学ぶ
      • 半自動化された未来
      • 自動化vs人間の労働というのは偽りの二分
    • 労働の未来に向けて仕事をアップデートするために次にできること
    • 社会的変化を起こすための技術的解決策
      • 解決策1:協同
      • 解決策2:オンデマンド休憩室
      • 解決策3:企業が提供する共有の職場
      • 解決策4:コンテンツモデレーションも含め、あらゆる種類のゴーストワークをフラッシュチームができるようにする
      • 解決策5:履歴書2.0とポータブル評価システム
    • 技術的な専門知識を必要とする社会的解決策
      • 解決策6:ワーカーの立場に立つ
      • 解決策7:ゴーストワークのサプライチェーンのために、責任の所在を明確にし、企業全体の「グッドワークコード」を確率する
      • 解決策8:コモンズにふさわしい雇用分類
      • 解決策9:新たな商事改善協会としての労働組合とプラットフォーム協同組合
      • 解決策10:未来のワーカーたちのためのセイフティーネット
        • セイフティーネット【パートA】:オンデマンドビジネスに国民皆保険制度、有給の家族休暇、市町村のコワーキングスペース、継続教育が必要な理由
        • セイフティーネット【パートB】:成人労働者全員に被雇用者としての基本給を払う
        • 私たち全員のための解決策:消費者行動
  • 謝辞
  • 方法に関する付録
  • 註一覧
  • 解説:彼らは幽霊じゃない 成田悠輔

「本の概要」にもどる