メタバースのことをゼロから知りたいという人から、メタバースを今の仕事やビジネスに活かしたい人、本格的にメタバースで生きていきたいという人に向けて、個人および企業として蓄積された経験と実績をもとに、すぐに使える実践的な知識とアイデアを解説している本です。
メタバースを実践する上での知見が事例をもとにして豊富に書かれている唯一の本なので、メタバースに興味・関心がある個人から企業の人まで一読をおすすめします。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書誌情報
著者紹介
動く城のフィオ
世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」創設者。株式会社HIKKYのCVO(Chief Virtual Officer)。
2018年2月、バーチャル空間に転生してアバター姿で活動開始。バーチャル空間に出会う前は、うつ病と対人恐怖を患って引きこもる生活を送っていた。現在も外出は苦手。バーチャルで生きていくためにバーチャル空間に経済圏を作ることを目指している。(著者紹介より引用)
著者が伝えたいこと
著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。
「この本では、メタバースのことをゼロから知りたいという方から、メタバースを今の仕事やビジネスに活かしたい方、あるいは本格的にメタバースで生きていきたいという方に向けて、個人および企業として蓄積された経験と実績をもとに、すぐに使える実践的な知識とアイデアを提供しようと試みています。」
「本書全体を通じて、今のメタバースのビジネスはどう作られているのか、どう作ったらいいのかということを具体的に理解できる内容にしたつもりです。」
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- はじめに
- Chapter1 メタバース転生
- Chapter2 メタバースとは「空間のインターネット」である
- Chapter3 バーチャル空間の技術環境とカルチャー
- Chapter4 クリエイターが集結する「バーチャルマーケット」とは
- Chapter5 メタバースのビジネス活用のポイント
- Chapter6 メタバース上の職種と働き方
- Chapter7 さあメタバースに行こう
- おわりに
もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。
注目点
この本はどのような内容なのか、読んでみて注目した点を3つ紹介します。
ワールドの探し方は今後の課題
1つ目に注目した点は「Chapter3 バーチャル空間の技術環境とカルチャー」に書かれている「ワールドの探し方は今後の課題」です。
著者は、バーチャル空間を楽しむために、自分に合ったワールド探しが課題であり、現状を以下のように述べています
- ツイッターなどのVRとは別のツールを活用する
- ユーザー同士で人のつながりを作って、口コミなどで集客する
- イベント情報をまとめて発信するような試みも多数あるが、毎日一覧にしきれないほどのイベントが開かれている
プラットフォームごとに検索やピックアップ機能もあるのですが、ユーザー数が増え、ワールド数が増えれば増えるほど、検索で探すのは難しくなります。
現に、今最もユーザー数の多いVRChatでは、プラットフォーム内の機能だけで自分の興味に合ったワールドにたどり着くのは、ほぼ不可能といっていいでしょう。
(中略)
今後メタバースが発展していくために、メタバース内だけでも完結できるような、バーチャル空間ならではの情報の探し方が発展していくことを期待しています。
動く城のフィオ. メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.787-797). Kindle 版.
自分のアバターの動いている様を眺める
2つ目に注目した点は「Chapter5 メタバースのビジネス活用のポイント」に書かれている「自分のアバターの動いている様を眺める」です。
著者は、Vket4でソフトバンクが出展した「5G LAB」というブースの事例を紹介しています。
- ユーザが着ているアバターのデータを読み込んでダンスを踊らせるというギミック
- プロのダンサーのようなスピード感ある動きも可能になる
- 「自分」がキレッキレのダンスを踊る様子を見られるのは、とても楽しい体験と好評だった
このように、ユーザーのアバターを動かし、それを鑑賞できるようにするという仕掛けにはさまざまな応用方法が考えられます。
現実世界の自分ではできない動きをしてくれたり、お気に入りのアバターのかわいい動きやかっこいい動きを見られる体験は、「はずさない企画」の一つといえるでしょう。
動く城のフィオ. メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1660-1663). Kindle 版.
アカウント不要で出入り自由の「オープンメタバース」
3つ目に注目した点は「Chapter7 さあメタバースに行こう」に書かれている「アカウント不要で出入り自由の『オープンメタバース』」です。
著者は、「Vket Cloudでは、垣根のない開かれた宇宙、『オープンメタバース』と呼ばれるあり方を独自の方法で実現することを目指している」と述べ、以下のように説明しています。
- Vket Cloudでは、ウェブブラウザでバーチャル空間を描画することができる
- 各バーチャル空間がURLを持っている
- スマホでツイッターを見ている人が、ツイートに貼られたURLのリンクからそのままバーチャル空間に飛ぶことができる
- 気軽にバーチャル空間で遊ぶことができるという、ユーザ体験の最初にステップを作ることができる
VketCloudで作るメタバースは、囲い込むことをせず、お互いのメタバースを緩やかにつなげることができるようにしようという発想です。
さらにVketCloudでは、誰でも自分の「ホームメタバース」を持つこともできます。
ホームメタバースは自分の世界観を反映して、自分の好きなものを置いて、EC機能で自分の作ったモノを売ってもいいし、友達のメタバースとも自由に行き来ができます。
動く城のフィオ. メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2389-2394). Kindle 版.
感想・口コミ・書評記事
感想
メタバース時代を先取りした「バーチャルマーケット(Vket)」を始めた著者が、経験と知見を書いている本ということで購入して読みました。
この本を読んでみてバーチャルマーケットの様子や面白さが伝わってきて、次回は行ってみようと思いました。
特に、面白さを感じたのは「ギミック」です。ギミックは例えば、ボールを投げ合うだけでなく、ボールが当たったら相手が別の場所にテレポートするといった「魔法」のような演出です。まさにバーチャル空間ならではの演出で、リアルを超えた体験ができることに面白さを感じました。
バーチャルマーケットを題材にして、どうやって始めたのか、どうやって作るのか、どういう人たちが関わっているのか、どのような仕組みなのか、がわかりやすく解説されていて、いろいろな観点からメタバースを知ることができました。
メタバース上の職種としてアバターやワールドのクリエイターだけでなく、世の中の人にわかりやすく伝えるPR・営業の仕事も重要であり、エンジニアだけでなく、あらゆる職種や経験をもった人材が活躍できる可能性があるというのは新たな気づきでした。
これまで企業とコラボしてバーチャルマーケットに出展したコンテンツについて幾つも説明されていて、出展企業とどのような意図を持ってそのコンテンツを出展したのかが分かり興味深かったです。
例えば、「株価連動ジェットコースター」は、証券・株というものに親しみを持ってもらうために、株価というものを3D空間に落とし込んで体験できるようにしたという話や、アウディ車を実際の設計データを参照して外観や内装を再現して、気軽に試乗体験できるようにした話がありました。
メタバースを実践する上で、工夫や課題などの知見が事例をもとにして豊富に書かれている唯一の本なので、これからメタバースというバーチャル空間で何かやってみたい、と思っている個人から企業の人まで一読をおすすめします。
口コミ
書評記事
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参考文献
この本の参考文献に記載されている本、メタバースに関連する本、出版記念セミナー動画、を紹介します。
私とは何か「個人」から「分人」へ:平野 啓一郎(著)
「Chapter3 バーチャル空間の技術環境とカルチャー」の「アバター文化と『分人』」の中で引用されています。
この本の注目点や感想などをブログ記事で紹介しています。
ミライをつくろう! VRで紡ぐバーチャル創世記:GOROman(著)
「Chapter1 メタバース転生」の「『バーチャル空間に国を作る」発言との出会い」の中で引用されています。
この本の注目点や感想などをブログ記事で紹介しています。
スノウ・クラッシュ〔新版〕:ニール・スティーヴンスン(著)
「Chapter2 メタバースとは『空間のインターネット』である」の「『メタバース』の源流はVR」の中で引用されています。
出版記念セミナー
2022年9月21日に開催された、出版記念セミナーの動画がYouTubeで公開されています。
本の内容を踏まえて書かれていない内容について著者が語っていますので、本を読んだ後にみるとより理解が深まります。
メタバースがわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
メタバースのことをゼロから知りたいという人から、メタバースを今の仕事やビジネスに活かしたい人、本格的にメタバースで生きていきたいという人に向けて、個人および企業として蓄積された経験と実績をもとに、すぐに使える実践的な知識とアイデアを解説している本です。
メタバースを実践する上での知見が事例をもとにして豊富に書かれている唯一の本なので、メタバースに興味・関心がある個人から企業の人まで一読をおすすめします。
本の目次(詳細版)
この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。
- はじめに
- Chapter1 メタバース転生
- 人を楽しませる仕掛け作りに熱中した少年時代
- うつ病を発症、ひきこもりに
- 「バーチャル空間に国を作る」発言との出会い
- 2014年に出会っていたVR
- アバターを手探りで自作
- バーチャル空間では元気でいられた
- バーチャル経済圏を作りたい
- これからも、バーチャルで生きていく
- Chapter2 メタバースとは「空間のインターネット」である
- 「メタバース」の源流はVR
- とうとう現実化したメタバース
- ザッカーバーグ発言のインパクト
- メタバース市場の将来予測
- 多義的になったメタバース
- VR系メタバースの面白さ
- Chapter3 バーチャル空間の技術環境とカルチャー
- VRゴーグル〜バーチャル空間への入り口
- グラフィック技術〜バーチャル空間を描く
- バーチャル空間向け3Dモデルを作れる人材が不足
- 急増するプラットフォーム
- プラットフォーム選びはコミュニティ選び
- ワールドはSF、ファンタジー何でもあり
- ワールドの自作を楽にする新技術
- 落ち着く自室としてのワールド
- 会話やゲームなど、交流を楽しむためのワールド
- ワールドの探し方は今後の課題
- 衣服よりも自由度が高いアバターという体
- アバターにも流行はある
- アバター文化と「分人」
- 自分だけの「ワンオフアバター」を手に入れる
- アバターの盗用と対策
- アバター同士の独特なコミュニケーション
- バーチャル空間の生活に欠かせない「ギミック」
- 体験の質を向上させる
- ギミック使いは魔法使い
- Chapter4 クリエイターが集結する「バーチャルマーケット」とは
- 日本発、世界一になったバーチャルイベント
- ワールドはあえてコンセプト強めに
- 個人のクリエイターには自由度高く
- 企業はパラリアルな世界へ
- バーチャルマーケットの成り立ち
- 「試しにやってみよう」という気軽な気持ちで企画を始めた
- 大企業の出展に衝撃が走った
- ビジネスモデルの構築へ
- 今後もクリエイターを応援し続ける
- バーチャルと日常の融合
- クリエイターファーストの重要性
- Chapter5 メタバースのビジネス活用のポイント
- バーチャル空間ならではの広告手法
- 街を丸ごと占拠した「東京事変」
- 巨大怪獣に巨大ロボ
- 「身体性の伴う体験」ができる
- 株価に連動して動くジェットコースター
- バーチャル空間で高級車に試乗する
- 秋葉原駅と山手線が再現
- バーチャルで使える「モノ」を販売する
- キャラクターの着せ替え衣装を販売
- まだまだあらゆるモノが足りない
- リアルとのタッチポイントをつくる
- バーチャル接客を生み出したBEAMS
- バーチャル食品で食欲を刺激する
- 3D「イカ焼き」を無料配布
- 自分のアバターで遊べるというユーザー体験
- 自分のアバターの動いている様を眺める
- アバターの巨大化・小人化メタバース上の職種と働き方
- Chapter6 メタバース上の職種と働き方
- 優れたアバタークリエイターが求められている
- バーチャルの世界を作るワールドクリエイター
- ワールドクリエイターはこれから有望な職業
- 光と影をゼロから作るライティング
- ワールドのBGMを作るコンポーザー
- ギミック制作者は不可欠に
- 遊びクリエイターが作るさまざまなゲーム
- ワールドの収益化が課題
- 新しい音楽表現を実現する、VRライブ演出家
- バーチャルユーチューバー・バーチャルライバー
- 世の中の人にわかりやすく伝えるPR・営業
- VRについて説明する企画・営業の重要性
- 求められるメタバース人材とは
- 歴史が浅い分野なので、若い世代が活躍できる
- 年齢を重ねた人は、他業種での経験が活かせる
- 「やりたい」という熱量が人々を動かす
- 実際に働いている人にインタビュー‼︎
- コラム 知っておきたい「ブロックチェーン系」メタバース
- Chapter7 さあメタバースに行こう
- 日本はメタバースの最先端にいる
- 在野のクリエイターの活かし方
- メタバースプラットフォームを誰でも作れるようにする
- アカウント不要で出入り自由の「オープンメタバース」
- 「オープンメタバース」に共感する企業
- メタバースを始めてみよう
- イベントに参加する、VRゴーグルを手に入れる
- DoではなくBeをする場である
- おわりに