DAO(分散型自律組織)の基本的な概念や、世界や日本の代表的なDAOの事例、そしてDAOへの参加方法、DAOを立ち上げる上でのポイント・注意点・ツール、DAOのメリット・リスクについて、ひと通り解説している本です。
ネット記事などでDAOのことを知って、さらにDAOについて知識を学びたい人、DAOに参加したりDAOを立ち上げてみたいと考えている人に一読をおすすめします。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書籍情報
著者紹介
小澤 隆博(おざわ・たかひろ)
Bewish Co., Ltd. 代表取締役、Reiwa Marketing Solutions Co., Ltd. 代表取締役
今話題のDAO、暗号資産、NFT、メタバース、DeFiなど、Web3系の近未来ビジネスについて学び、稼ぐことを目指すグループ「Web3総合ビジネスサロン」を主宰。
著者が伝えたいこと
著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。
「とりわけDAOで失敗しないためには、DAOによって『どのように価値が生まれているのか』『今後どのような価値が生まれてくるのか』を分析することが重要になってきます。」
「『みんなが本当に作りたい世界のために、自分の力で動いていく』という、近い将来必ず来る『未来の組織』を知ることに、本書がお役に立てることを願っています。」
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- はじめに
- Chapter1 今注目の「DAO」とは何か
- Chapter2 DAOを可能にするテクノロジー
- Chapter3 DAOの代表例
- Chapter4 DAOへの参加方法
- Chapter5 DAOの作り方と運営方法
- Chapter6 DAOのメリットとリスク
- Chapter7 DAOのさらなる可能性
- おわりに
- DAO早わかりQ&A集
- DAO関連用語集
もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。
注目点
この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。
DAOを作る際の6つの注意点
1つ目に注目した点は「Chapter2 DAOを可能にするテクノロジー 」の「07 DAOは誰にでも作れる」に書かれている「DAOを作る際の6つの注意点」です。
著者は、DAOを立ち上げから運用まで軌道に乗せるために、押さえるポイントとして以下の6つをあげています。
- シンプルにする
- 明確なビジョンを掲げる
- 早く立ち上げる
- 報酬システムを設計する
- 参加者の役割整理
- 「行動指針」を示す
著者は「プロジェクトとして大切にしたい考え方や、一人ひとりに求める望ましい行動をしたものが『行動指針』です。」と述べて、DAOで行動指針が必要になる理由を3つあげています。
まず1つ目が、「判断基準の明確化」です。行動指針があることで、プロジェクトを進める上で必要な判断をより的確に、さらに迅速に行うことができます。
2つ目が「コミュニケーションの円滑化」です。行動指針が決まると、その言葉を積極的に活用することでメンバー間の意思疎通が円滑になります。
そして3つ目が「チームの文化づくり」です。行動指針はチームとして大切にしたいことが詰め込まれているので、行動指針を運用することがそのDAOの文化作りにもなります。
小澤 隆博. DAO(分散型自律組織)の衝撃 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.578-580). Kindle 版.
海外のユニークなDAO、Usebraintrust(ユースブレイントラスト)
2つ目に注目した点は「Chapter3 DAOの代表例」の「11 海外のユニークなDAO」に書かれている「(11) Usebraintrust(ユースブレイントラスト)」です。
著者は、DAOはどのような種類や目的でも設立できる、と述べ、海外ですでに立ち上がっている、ユニークなDAOとして以下の15個をあげています。
- Fries DAO、City DAO、Constitution DAO、Bankless DAO、Odyssey DAO、Beets DAO、YAP DAO、FreeRoss DAO、Obscura DAO、Emanate、Usebraintrust、Pleasr DAO、Miror DAO、Rook Perfumes、Ukraine DAO
この中のひとつ、「Usebraintrust(ユースブレイントラスト)」は、クラウドソーシング運用しているDAOです。
著者は、現在のクラウドソーシングは仕事を獲得するために安売りの価格競争が行われて適切な相場にならないという問題がある、と述べ、Usebraintrustについて、以下のように説明しています。
Usebraintrustでは、所属するメンバーは賃金の20%をDAOに還元するシステムになっています。ですので、各々が給料を稼ぐためには価格を上げなければならないので、結果フリーランスの低賃金労働から解放するメリットがあります。
今までの雇用するためのプロセスから仲介業者を排除することで、労働者と発注側の、両方にメリットがある仕組みができています。
小澤 隆博. DAO(分散型自律組織)の衝撃 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.909-913). Kindle 版.
「Usebraintrust」でネット検索してみたところ、「Braintrust」という名称に変更されたようです。公式Webサイト
リスク(2)意思決定に時間がかかる
3つ目に注目した点は「Chapter6 DAOのメリットとリスク」の「25 DAOのリスク」に書かれている「リスク(2)意思決定に時間がかかる」です。
著者は、DAOのメリットとは反対に、気にするべきリスクとして大きく4つのリスクを取り上げています。
- リスク(1) ハッキングされる可能性
- リスク(2) 意思決定に時間がかかる
- リスク(3) 法整備が未発達
- リスク(4) 意思決定の内容が正しいとは限らない
著者は、2つ目のリスクである「意思決定に時間がかかる」について以下のように説明しています。
メリットとして、参加者全員が意思決定に関われるということがありました。全員で意思決定するということは、組織全体から投票が必要になるために、逆に時間がかかってしまうということです。(中略)
DAOは、公平というメリットがある一方で、ハッキングやシステムの欠陥などの緊急性が高く、すぐに対応したいことであっても、投票で決める必要があるため、結果として対応が遅れてしまうリスクがあります。
小澤 隆博. DAO(分散型自律組織)の衝撃 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1471-1476). Kindle 版.
感想・口コミ・書評記事
感想
この本は「DAO」がタイトルになっていて、目次を見たところ、DAOの代表例やDAOの作り方と運営方法まで、書かれているようだったので読んでみました。
DAOとか何か?から、世界や日本の代表的なDAO、DAOへの参加方法、DAOの作り方・注意点と運営方法、DAOのメリットとリスクまで書かれていて、DAOについて、この一冊でより一層理解が深まりました。
現在あるDAOには、著者が「DAOのABCタイプ」と読んでいる、「Autonomaous DAO(自律的DAO)」「Bureaucratic DAO(官僚的DAO)」「CEO DAO(最高責任者存在型DAO)」があり、完全に自律的とは呼べないケースが多く、実際は設立者や旗振り役、意思決定者が存在して、DAOを引っ張っている人がいる、ということが新たに分かりました。
代表的なDAOを12のタイプに分類して、全部で31個のDAOの要点を紹介していて参考になります。もう一度振り返ってみて興味があるDAOについて更に調べてみようと思いました。
1つ目の注目点に上げた「DAOを作る際の6つの注意点」には、これからDAOを作る人にとって、抑えておくべきポイントが書かれているので、とても参考になります。
「DAOを立ち上げる5ステップ」では、投票を実際に使っていくためのDAO投票システムで代表的な「Snapshot」や、簡単な操作で使えるDAOのフレームワークである「Aragon」の紹介があり、使い方がYouTubeチャンネルで公開されていたり、テスト用のDAOが作れるようなので、今度試してみたいです。
ネット記事などでDAOのことを知って、DAOに興味・関心を持った人が、DAOについて一通りの知識を得て、実践に向けて一歩を踏み出すために最適な本だと感じました。
口コミ
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書評記事
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参考文献
DAOやWeb3について、もっと知りたい人におすすめする本を紹介します。
僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた:落合 渉悟
Web3で社会がどう変わるのかに関心がある人、DAOに興味ある人、既存の民主主義に疑問を感じている人におすすめです。
この本の注目点や感想、目次などをブログ記事で紹介しています。
Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井聡彦, 鈴木雄大, 赤澤直樹
Web3やDAOに興味をもった人、いまWeb3やDAOをはじめる理由が知りたい人、インターネットや社会がどう変わるのかを知りたい人におすすめです。
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア:馬渕邦美,絢斗優, 藤本真衣
すでに1冊以上Web3本を読んだ人・Web3プロジェクトに関わっている人・日本のWeb3を推進する人が、Web3の今を感じてこれから実践するためにおすすめする本です。
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
DAOがわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献を紹介しました。
DAO(分散型自律組織)の基本的な概念や、世界や日本の代表的なDAOの事例、そしてDAOへの参加方法、DAOを立ち上げる上でのポイント・注意点・ツール、DAOのメリット・リスクについて、ひと通り解説している本です。
ネット記事などでDAOのことを知って、さらにDAOについて知識を学びたい人、DAOに参加したりDAOを立ち上げてみたいと考えている人に一読をおすすめします。
本の目次(詳細版)
この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。
- はじめに
- Chapter1 今注目の「DAO」とは何か
- 01 「DAO」の3つの特徴
- 02 「Web3」とは何か
- 03 DAOが成り立つ技術とシステム
- Chapter2 DAOを可能にするテクノロジー
- 04 DAOで会社組織がなくなるワケ
- 05 NFTやメタバースとの関係
- 06 DeFi市場拡大による需要増加
- 07 DAOは誰でも作れる
- 08 「ガバナンストークン」の価値上昇
- Chapter3 DAOの代表例
- 09 DAOをタイプ別に理解する
- 10 世界初のDAOとは
- 11 海外のユニークなDAO
- 12 人気のDAO3選
- 13 国内で話題のDAO6選
- Chapter4 DAOへの参加方法
- 14 自分に合ったDAOの探し方
- 15 取引所の口座を開設しよう
- 16 暗号資産を購入しよう
- 17 ウォレットを作ろう
- 18 ディスコードアカウントを作ろう
- 19 コミュニティに参加しよう
- Chapter5 DAOの作り方と運営方法
- 20 DAOを立ち上げる5ステップ
- 21 仕組みを提供するサービス
- 22 お勧めのツールは「Aragon」
- 23 テスト用DAOを作ってみよう
- Chapter6 DAOのメリットとリスク
- 24 DAOのメリット
- 25 DAOのリスク
- Chapter7 DAOのさらなる可能性
- 26 投資家がDAOに注目するワケ
- 27 地方創生×DAOの可能性
- 28 多くの業種で増加するDAO
- 29 自走する組織と変わる働き方
- 30 DAOの未来
- おわりに
- DAO早わかりQ&A集
- DAO関連用語集