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【注目点・感想】ザ・メタバース 世界を創り変えしもの:マシュー・ボール(著)

本「ザ・メタバース 世界を創り変えしもの」アイキャッチ画像

少なくとも5年から10年先に到来する、理想のメタバースを定義し、メタバースの創り方をネットワーク・コンピューティング・仮想世界のエンジン・相互運用性・ハードウェア・ペイメントレール・ブロックチェーンの観点から解き明かし、暮らしやビジネスがどう変わるのかを解説している本です。

理想のメタバースとは何なのか、将来のインターネットがどのようなものなのかに興味がある人、既存のIT技術では解決できない課題を抱えている人に、一読をおすすめする、メタバースを語る上で必読の一冊です。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、などを紹介します。

本の概要

書籍情報

日本語訳版

マシュー・ボール(著)井口 耕二(翻訳)飛鳥新社(出版社)2022/11/8(発売日)424P(ページ数)

原著(英語版)

Matthew Ball(著)Liveright Pub Corp(出版社)2022/7/19(発売日)336P(ページ数)

著者紹介

マシュー・ボール(Matthew Ball)

元アマゾンスタジオ戦略部門のグローバル統括責任者で、現在はエピリオン社CEO。ニューヨークタイムズ紙、エコノミスト誌、ブルームバーグ誌に寄稿もしている。メタバースをテーマに書いたブログが大きな評判となり、エピックゲームズのティム・スウィーニーやフェイスブック(メタ)のマーク・ザッカーバーグなどテック界のトップにもよく引用されている。(amazon.co.jpより引用)

著者が伝えたいこと

著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。

「ここまでメタバースがもてはやされるのは、今後、メタバースがコンピューティングとネットワークのプラットフォームになっていくとみんなが考えているからだ。」

「本書は、私がメタバースについて書き綴ってきたものを集大成し、加筆修正を加えたものである。一番の目的は、いまだ不完全なメタバースという概念を包括的に定義することだ。

「本書が、メタバースの実現にはなにが必要なのか、世代を問わず全人類がだんだんとメタバースに移住していくのはなぜなのか、日々の暮らしや仕事、我々の考え方などがどう変わっていくのかなどをみなさんが理解する一助になれば私にとって望外の喜びと言える。」

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • はじめに
  • Part Ⅰ メタバースとは?
    • Chapter01 未来を概観する
    • Chapter02 混乱、不透明
    • Chapter03 ひとつの定義(やっとかい)
    • Chapter04 次なるインターネット
  • Part Ⅱ メタバースの創り方
    • Chapter05 ネットワーク
    • Chapter06 コンピューティング
    • Chapter07 仮想世界のエンジン
    • Chapter08 相互運用性
    • Chapter09 ハードウェア
    • Chapter10 ペイメントレール
    • Chapter11 ブロックチェーン
  • Part Ⅲ メタバースですべてが変わる
    • Chapter12 メタバース時代はいつ来るのか
    • Chapter13 メタビジネス
    • Chapter14 メタバースの勝ち組と負け組
    • Chapter15 メタバースにおける存在の問題
  • 結論 誰もが傍観者

もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。

注目点

この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。

メタバースの定義

1つ目に注目した点は「Part Ⅰ メタバースとは?」の「Chapter03 ひとつの定義(やっとかい)」に書かれている「メタバースの定義」です。

著者は、「世の中ではいろいろ言われていて混乱の極みという感じだが、メタバースの歴史が始まったばかりと言えるいまの状況でも、包括的で有用な定義を明確に定義できると私は思っている。」と述べ、メタバースを以下のように定義しています。

リアルタイムにレンダリングされた3D仮想世界をいくつもつなぎ、相互に連携できるようにした大規模ネットワークで、永続的に同期体験ができるもの。

ユーザー数は実質無制限であり、かつ、ユーザーは一人ひとり、個としてそこに存在している感覚(センス・オブ・プレゼンス)を有する。

また、アイデンティティ、歴史、各種権利、オブジェクト、コミュニケーション、決済などのデータに連続性がある。

マシュー・ボール. ザ・メタバース (Japanese Edition) (p.53). Kindle 版.

ゲームも終わらなくなれば、みんなもっとお金を使う

2つ目に注目した点は「Part Ⅱ メタバースの創り方」の「Chapter08 相互運用性」に書かれている「ゲームも終わらなくなれば、みんなもっとお金を使う」です。

著者は、メタバースの相互運用性は可か非かというものではなく、いくつの仮想世界が共有するのか、どこまで共有するのか、いつ、どこで共有するのか、その費用はいくらなのか、そういう問題なのだ、と述べています。

メタバースが成立すると楽観的に見ている理由は「経済」であり、課金について具体的な例をあげて説明しています。

たとえばダース・ベイダーのコスチュームやロサンゼルス・レイカーズのジャージ、プラダのハンドバッグとかならいろいろな世界で使いたいと思う人がいるのはまちがいない。特に、あっちでもこっちでもくり返し同じモノを買いたいと思わないのもまちがいない。

2026年にもなれば、あれこれプレイしてきたゲームのあっちにもこっちにも同じアウトフィットを抱えていて、同じものをまた買うのに抵抗を感じる人が山のようにいるはずだ。購入品を購入場所から解放すれば、ユーザーはもっと買うようになるし、値段も上げることができる

マシュー・ボール. ザ・メタバース (Japanese Edition) (p.190). Kindle 版.

次なる成長の原動力

3つ目に注目した点は「Part Ⅲ メタバースですべてが変わる」の「Chapter12 メタバース時代はいつ来るのか」に書かれている「次なる成長の原動力」です。

著者は、メタバース収益やメタバース採用を後押しする原動力として可能性が高いと思われることを3つ述べています。

ひとつめは、メタバースを支える各種技術が年々よくなっていること、ふたつめは、いま進んでいる世代的変化、そして三つめの原動力は、ひとつめとふたつめが組み合わさった結果である、と述べて以下のように説明しています。

メタバースは体験を通じて広がっていくものだ。

スマートフォンにGPU、4Gさえあれば、どこからともなく、リアルタイムレンダリングによるダイナミックな仮想世界が生まれるわけではない。

ディベロッパーと彼らの想像力が必要だ。

そして、この部分についても、「iPadネイティブ」世代が成長するに伴い、単なる消費者から趣味で仮想世界を創るアマチュアになり、さらにはプロのディベロッパーや経営者になっていくことを忘れてはならないだろう。

マシュー・ボール. ザ・メタバース (Japanese Edition) (pp.359-360). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

この本はメタバース関連の本でたびたび引用されている、メタバースの定義を述べたマシュー・ボールの執筆本ということで、アマゾンで見つけてから発売を楽しみにしていた本です。

424ページにわたる大作で読み終えるのに数日かかりましたが、最初から最後まで読みごたえがあり興味深く読みました。

著者は少なくとも5年から10年先に到来するメタバースという未来の姿を「Part Ⅰ メタバースとは?」で定義し、いまのインターネットとどう違うのか、実現するにはなにが必要なのか、いつごろ実現されるのかなどを「Part Ⅱ メタバースの創り方」で解き明かしていき、いつ現実になるのか、各業界がどう変わるかを「Part Ⅲ メタバースですべてが変わる」で取り上げている。

将来のメタバースを予測する上で、随所にインターネットやモバイル・クラウド・ゲームの歴史をひも解きながら解説しており、たとえば、1970年代から1990年代にかけ、ネットワーキング規格が乱立していてそれがひとつにまとまるなど考えられない状況だったが、経済が重視されて標準化が進み、相互運用性が高められたということから、メタバースにおいても将来は同様なことが起こると予測している。

Web3・ブロックチェーンについて、随所でメタバースとの関連も記述されており、特に「Chapter 11 ブロックチェーン」では「ブロックチェーンとメタバースについてどう考えればいいのか」について、5通りの考え方(「無駄な技術であり、詐欺や流行の域を出ない」から「これなしのメタバースなど考えられない」まで)が複数の考え方が示されていて参考になった。

理想のメタバースとは何なのか、将来のインターネットがどのようなものなのかに興味がある人、既存のIT技術では解決できない課題を抱えている人に一読をおすすめする本です。

マシュー・ボール(著)井口 耕二(翻訳)飛鳥新社(出版社)2022/11/8(発売日)424P(ページ数)

口コミ

書評記事

Coming Soon...

参考文献

この本に関連する本を紹介します。

メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方:動く城のフィオ

現在の技術でメタバースがどこまで実現されているのかを知りたい人におすすめする一冊です。

この本の注目点や感想などをブログ記事で紹介しています。

動く城のフィオ(著)扶桑社(出版社)2022/9/18(発売日)224P(ページ数)

メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤:久保田 瞬, 石村尚也

メタバースをビジネスとして企画し提案したい人、自分ができることを探したい人におすすめする一冊です。

この本の注目点や感想をブログ記事で紹介しています。

久保田 瞬, 石村尚也(著)日経BP(出版社)2022/6/16(発売日)304P(ページ数)

メタバースがわかる本おすすめ

VRがわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、などを紹介しました。

少なくとも5年から10年先に到来する、理想のメタバースを定義し、メタバースの創り方をネットワーク・コンピューティング・仮想世界のエンジン・相互運用性・ハードウェア・ペイメントレール・ブロックチェーンの観点から解き明かし、暮らしやビジネスがどう変わるのかを解説している本です。

理想のメタバースとは何なのか、将来のインターネットがどのようなものなのかに興味がある人、既存のIT技術では解決できない課題を抱えている人に、一読をおすすめする、メタバースを語る上で必読の一冊です。

マシュー・ボール(著)井口 耕二(翻訳)飛鳥新社(出版社)2022/11/8(発売日)424P(ページ数)

本の目次(詳細版)

この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。

  • はじめに
  • Part Ⅰ メタバースとは?
    • Chapter01 未来を概観する
      • 小説の世界でVRゴーグルは1935年に登場
      • プログラムはペンよりも楽観的
      • シリコンバレーで広がるきっかけになった『セカンドライフ』の特異点
      • 「億単位」が熱狂する世界の誕生
      • メタバース(そしてユーザー)をコントロールする戦いが始まる
      • メタバースは「企業インターネット」
    • Chapter02 混乱、不透明
      • 業界人もなにがメタバースかわかっていない
      • 「インターネットがなにか」も当初はだれもわからなかった
      • マイクロソフトもフェイスブックも未来を読み違えてきた
      • 確信は変容のくり返しで起きる
    • Chapter03 ひとつの定義(やっとかい)
      • 仮想世界
      • 3D
      • リアルタイムレンダリング
      • 相互運用可能なネットワーク
      • 大規模
      • 永続性
      • 同期性
      • 無限のユーザーおよび個別プレゼンス
      • この定義に欠けているもの
    • Chapter04 次なるインターネット
      • 「次世代インターネット」としてのメタバース
      • なぜビデオゲームが次なるインターネットを推進するのか
      • 「気候や新薬開発では市場が小さすぎて投資できません」
  • Part Ⅱ メタバースの創り方
    • Chapter05 ネットワーク
      • いま最強の仮想世界は『フライトシミュレーター』
      • オンラインゲームは実は「ほとんどオフライン」
      • 帯域とレイテンシー
      • メタバースの前に立ちはだかる「最大の障害」
    • Chapter06 コンピューティング
      • アイデアは昔からあったが技術がなかった
      • バトルロイヤルは制限との戦い
      • 同じ問題の裏表
      • レンダリングの正解は?
      • 分散型コンピューティングという夢
    • Chapter07 仮想世界のエンジン
      • ゲームエンジン
      • 統合仮想世界プラットフォーム
      • バーチャル系の巨人ロブロックス社のお金の使い方を分析してみる
      • バーチャルのプラットフォームやエンジンは増えているが、メタバースはまだ
      • 新たな市場リーダーはだれだ?
      • メタバースのプラットフォームがひとつになってはならない
    • Chapter08 相互運用性
      • 相互運用性はグラデーション
      • ゲームも終わらなくなれば、みんなもっとお金を使う
      • ソニーの方針変更が意味するもの
      • 共通3D形式と取引方法の確立
      • 「フェイスブックでログイン」の企業側メリット
    • Chapter09 ハードウェア
      • AR・VRは当代随一と言えるほど技術的に難しい
      • iPhoneは「ホームボタン」が革命だった
      • ヘッドセットの先にあるもの
      • 世の中に出回っているハードウェア
      • スマホは永久に
      • ゲートウェイとしてのハードウェア
    • Chapter10 ペイメントレール
      • いま主流のペイメントレール
      • 30%ルールの呪い
      • スチームの台頭
      • エピックゲームズの賭け
      • パックマンからiPodまで
      • 「アップルのせいでメタバースはなりたたなくなっている」
      • コストはかさむのに利益は持っていかれる
      • 制約が多い仮想世界プラットフォームの利益率
      • 破壊的技術の足を引っぱる
      • 排除されるクラウドゲーム
      • ブロックチェーンをブロックする
      • デジタルファーストにしたければ物理ファーストが必要
      • 新たなペイメントレール
    • Chapter11 ブロックチェーン
      • ブロックチェーン、ビットコイン、イーサリアム
      • トラストレスでパーミッションレス
      • アンドロイド物語
      • DApp
      • NFT
      • ブロックチェーンのゲーム
      • 分散型自律組織
      • ブロックチェーンの障害
      • ブロックチェーンとメタバースについてどう考えればいいのか
  • Part Ⅲ メタバースですべてが変わる
    • Chapter12 メタバース時代はいつ来るのか
      • 2008年にiPhone12を発売できたか
      • 事態が動くのに十分な量のパズルピース
      • 次なる成長の原動力
    • Chapter13 メタビジネス
      • 教育
      • ライフスタイルビジネス
      • 映画やテレビ
      • スポーツやギャンブル
      • セックスとセックスワーク
      • ファッションと広告
      • 産業界
    • Chapter14 メタバースの勝ち組と負け組
      • メタバースの経済的価値
      • GAFAMから勝ち組は出るのか
      • 「中間」にいるアマゾン
      • 注目すべきはアップルよりマイクロソフト
      • GAFAM以外の注目株はソニー
      • まだ影も形もない企業が歴史に名を残す
      • 集中化と分散化は両輪
      • これからは信頼が鍵を握るであろう理由
      • 本当に信じてよいのか?
    • Chapter15 メタバースにおける存在の問題
      • デマ、ハラスメント、差別の助長ーー闇の部分
      • メタバースに関する規制
      • ユーザーの「所有」無くしてメタバースなし
      • なにが許されてなにが許されないのか
      • 中国のメタバースは西側諸国とは異なる
  • 結論 誰もが傍観者

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