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【注目点・感想】Web3とは何か~NFT、ブロックチェーン、メタバース~:岡嶋裕史(著)

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この本は、Web3の中で特にブロックチェーンとNFT、そしてWeb3とメタバースの関連について、長所と短所を両面からわかりやすく解説し、懸念点など著者の意見をストレートに表現している本です。

これまでWeb3の情報や本を読んだことがあり、これから本格的にWeb3に取り組みたいと考えている人が、Web3について懐疑的な意見を含めた多様な意見を聞いてみたいと思っている場合に一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書籍情報

岡嶋 裕史(著)光文社(出版社)2022/12/14(発売日)384P(ページ数)

著者紹介

岡嶋 裕史(おかじま・ゆうし)

富士総合研究所、関東学院大学経済学部准教授・情報科学センター所長を経て、現在、中央大学国際情報学部教授。

著者が伝えたいこと

著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。

あらかじめ書いておくと、本書の目的はWeb3を礼賛(らいさん)することではない。いまのWeb3の取り上げられ方を見て、「えっ、大丈夫かな」という動機で書いている。

Web3を理解するためには、自分の意見はどうであれ、賞賛する側にいる人、懐疑的な人、両方の立場の書籍や記事に目を通しておくとよいと思う。

本書の主張もあくまで、「ああ、この著者はそう考えているんだな」と捉えて、Web3とどう付き合っていくかは、多様な意見を踏まえた上で自分で決められたらそれが一番だ。

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • プロローグ 新たなバズワード登場?
  • 第1章 ブロックチェーン
  • 第2章 NFT
  • 第3章 メタバース
  • エピローグ 幻想のWeb3

もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。

注目点

この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。

ブロックチェーンのダメなところ

1つ目に注目した点は「第1章 ブロックチェーン」に書かれている「ブロックチェーンのダメなところ」です。

著者は、「ブロックチェーンには様々な美点があるけれども、使いどころが難しい技術だと考えている」と述べています。

ブロックチェーンのダメそうなところ(短所)は、長所の裏返しであるとして、ポイントを3つあげています。

  1. 分散型で単一障害点がないこと
  2. 非中央集権であること
  3. 書き込み専用・改ざん困難であること

3つ目の「書き込み専用・改ざん困難であること」のデメリットについて、以下のように著者は説明しています。

これまでに説明したようなやり方でブロックの連鎖を編み上げていくので、データの変更はきかない。

過去のデータを上書きして更新したい用途には使えない。だから、すべてのシステムがブロックチェーンに取って代わられるような主張には気をつけたほうがいい。原理的に無理である。ブロックチェーンは用途に合わせて普及はしていくだろうけれど、既存システムとのつぎはぎの形になる。

岡嶋 裕史. Web3とは何か~NFT、ブロックチェーン、メタバース~ (Japanese Edition) (p.156). Kindle 版.

ブロックチェーンを使えばアイテムは永続する?

2つ目に注目した点は「第2章 NFT」に書かれている「ブロックチェーンを使えばアイテムは永続する?」です。

著者は「ブロックチェーンは永続する。ゲーム会社が破綻しても、ブロックチェーンが続くならレアカードやアイテムにアクセスし続けることができる。これで安心して大枚をガチャに投じ続けることができる。本当に?」と疑問を投げかけています。

そして、「(ブロックチェーンに参加者が)集まらなければ、そのチェーンは終わりである。運営が止まる。参加者がゼロにならなくとも、過疎地になれば処理結果は信用できなくなり、チェーンの信頼性は損なわれる。」と説明しています。

ブロックチェーンを用いたプラットフォームを生き残らせる方策について、以下のように著者は述べています。

こうした用途で重要なのは、「でかいこと」である。一つ一つのゲームが閉じても、続いていくであろうでかさ。同好の士が容易に出会える土壌としてのでかさ。異なるゲームの愛好者同士でもアイテムの交換ができるでかさ。いままでの流通市場はゲーム単位で用意されてきた、頑張っても企業単位だった。

それを超えて「ゲーム業界単位」や「コンテンツ産業単位」にすればしばらく続きそうだし、交換相手も見つけられるかもしれない。

岡嶋 裕史. Web3とは何か~NFT、ブロックチェーン、メタバース~ (Japanese Edition) (p.266). Kindle 版.

求められるのは理念ではなく、利便性と安心感

3つ目に注目した点は「第3章 メタバース」に書かれている「求められるのは理念ではなく、利便性と安心感」です。

著者は「ブロックチェーンやNFTはメタバースを構成する必須技術ではない。Web3の中にメタバースを入れ込むことも、不適切だと思う。」と述べています。

これに対して「メタバースそのものの基盤に向いていないとしても、メタバース内で使われる通貨やアイテムをやり取りするための基盤として、ブロックチェーンやNFTを使うのはどうか?そういう意見は出てくると思う。」と述べ、回答を以下のように説明しています。

ブロックチェーンはやはり使いにくいと思う。メタバースの中でアイテムを買ったり売ったりするときに求められる即時性や柔軟さをブロックチェーンを基盤とする通貨システムで作り込んでいくのは骨が折れる。素直に従来型のアーキテクチャでメタバース内通貨やメタバース内アイテムを作り込んだほうが、楽にいいものを作れるだろう。

岡嶋 裕史. Web3とは何か~NFT、ブロックチェーン、メタバース~ (Japanese Edition) (p.322). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

この本は以前読んだ「メタバースとは何か」の著者が書いた本であり、Kindle版「無料サンプル」で目次を見たところ、Web3に対して中立した立場で書かれているようだったので読んでみました。

読んでみて全体的な感想は、これまでWeb3関連の本を読んでいるときにモヤモヤと疑問に感じていたことが、スッキリ言語化された上で著者の考え方が述べられているので、参考になることが多くありました。

たとえば、永続性について「ブロックチェーンに参加者が集まらなければ、そのチェーンは終わりである。」とキッパリ書かれている点です。

ブロックチェーンの仕組みの説明が、興味をひくように分かりやすい表現がされていることが印象的で、よりイメージがつかみやすかったです。

たとえば、ブロックチェーンの「違うデータから同じハッシュ値になることは稀」の説明では、「地獄のようなハッシュ値の連鎖ができあがる。こんなに絡まり合っていては、『偶然シノニムを見つけて、そこからもとのデータを都合よく改ざんして何か不正を・・・・』といった試みは事実上不可能だ。」というような表現です。

これまでのWebと違うWeb3の特徴と言われていることに対して、疑問を投げかけ、例をあげてわかりやすく考察してしているので、これまでとは違う視点からWeb3をとらえることができました。

これまでにWeb3の情報や本を読んだことがある人が、現状のWeb3の長所、そして短所を含めてさらに理解し、今後のWeb3技術の進化と社会での実現形態を考える上で役立つ内容になっています。

岡嶋 裕史(著)光文社(出版社)2022/12/14(発売日)384P(ページ数)

口コミ

書評記事

Coming Soon...

参考文献

この本の参考文献に記載されている本や関連する本を紹介します。

メタバースとは何か~ネット上の「もう一つの世界」~:岡嶋裕史(著)

「第3章 メタバース」の中で引用されています。

この本の注目点や感想、目次についてブログ記事で紹介しています。

岡嶋裕史(著)角田 雄二郎(ナレーション)光文社(出版社)2021/12/24(発売日)248P(ページ数)

Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)

Web3についてさらに知りたい人におすすめする本です。

この本の注目点や感想、目次についてブログ記事で紹介しています。

亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)けんぞう, 田所 未雪(ナレーション)かんき出版(出版社)2022/7/6(発売日)240P(ページ数)

メタバースとWeb3:國光宏尚(著)

Web3とメタバースの関連について知りたい人におすすめする本です。

この本の注目点や感想、目次についてブログ記事で紹介しています。

國光宏尚(著)MdN(出版社)2022/3/30(発売日)200P(ページ数)

Web3がわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

この本はWeb3の中で特にブロックチェーンとNFT、そしてWeb3とメタバースの関連について、長所と短所を両面からわかりやすく解説し、懸念点など著者の意見をストレートに表現している本です。

これまでWeb3の情報や本を読んだことがあり、これから本格的にWeb3に取り組みたいと考えている人が、Web3について懐疑的な意見を含めた多様な意見を聞いてみたいと思っている場合に一読をおすすめします。

岡嶋 裕史(著)光文社(出版社)2022/12/14(発売日)384P(ページ数)

本の目次(詳細版)

この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。

  • プロローグ 新たなバズワード登場?
    • 「巨大IT企業(ビックテック)の支配はいやだ」という思想
    • 本書の目的
    • インターネットとは
    • Webとは
    • HTMLとはーー3つの中核技術(1)
    • HTTPとはーー3つの中核技術(2)
    • URIとはーー3つの中核技術(3)
    • 覚えていますか? Web2.0
    • 本質は「キラキラした空気感」
    • 結局、力を持ったのはプラットフォーマー
    • オープンソースの限界ーーLog4j事件
    • 儲けるのは種銭を多く持つ者
    • 個人には荷が重い
    • 本題に入る前に、Web3の要素技術の短い紹介
    • ブロックチェーンーー仮想通貨の中核技術
    • 不特定多数の参加者がいることが必要条件
    • NFTーー「同じものはいっぱいあるけれど、これが本物」とするしくみ
    • NFTとアート
    • 取引所の不正防止には効力がない
    • 日本の法律ではデジタルデータに所有権はつかない
    • 社会インフラとブロックチェーンは相性が悪い
    • インフラを握る者に富は集中する
    • 無理やりWeb3に入れられたメタバース
    • ブロックチェーンとメタバース
    • ブロックチェーンじゃなくてもできること
    • (1)価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化
    • (2)権利証明行為の非中央集権化の実現
    • (3)遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現
    • (4)オープン・・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現
    • (5)プロセス・取引の全自動化・効率化の実現
    • Web3は世界をどう変えるか? 人類にとっての福音となるか?
  • 第1章 ブロックチェーン
    • もはやイデオロギーか?
    • (1)分散型で単一障害点がないこと
    • 冗長化
    • 分散型は昔からあった
    • (2)非中央集権であること
    • 意思決定の方法
    • ビットコインの例
    • 10分おきに検証が繰り返される
    • ビットコインの採掘者はクイズを解き続ける
    • 熟議が済んだ状態
    • 人の善意に期待しないしくみ作り
    • ビザンチン将軍問題
    • DAOーー分散型自律組織
    • (3)書き込み専用・改ざん困難であること
    • ハッシュ関数
    • ハッシュ関数のかんたんな解説
    • (3)もとのデータがちょっとでも変わると、似ても似つかないようなハッシュ値になる
    • (4)ハッシュ値からもとのデータを復元することはできない
    • (5)違うデータから同じハッシュ値になることは稀
    • ブロックチェーンのダメなところ
    • 「分散型」「非中央集権」であるがゆえの短所
    • プライベートチェーンとパブリックチェーン
    • コンソーシアムチェーン
    • 消滅問題
    • インセンティブの設計
    • 柔軟性の欠如
    • 手数料の高騰
    • チェーンの分離
    • 消費電力の問題
    • 書き込み専用・改ざん困難のデメリット
    • ビットコインの将来
    • 取引所は安全の外にある
    • 失敗しても自己責任
    • 利用者は面倒なことはしない
    • 結論 ブロックチェーンは使いにくいシステム
    • 本来の目的からずれた軽量ノード
    • マルチチェーンとイーサリアム
    • オフチェーン・スケーリング
    • サイドチェーン・スケーリング
    • シャーディング
    • イーサリアム2.0
    • ブロックチェーンはただの一技術
  • 第2章 NFT
    • デジタルデータで唯一性を証明したい
    • NFTとデジタル署名との違い
    • 共通鍵暗号
    • 公開鍵暗号
    • 公開鍵暗号を応用したデジタル署名
    • デジタル署名はオリジナルとコピーを判別しない
    • ステガノグラフィや電子透かしもダメ
    • コピーが本物になる時代
    • 作家にとっての2つの道
    • デジタルデータなのに一品もの
    • 「所有より共有へ」の本質
    • ぴったりはまったブロックチェーン
    • NFTの基本的な説明
    • NFTとイーサリアム
    • ビットコインvsイーサリアム
    • スマートコントラクトに先鞭をつけたイーサリアム
    • DAO(分散型自律組織)とは
    • ふつうのアプリとの違い
    • 様々な形態のDAO
    • アート分野のDAOがNFT
    • NFTはアーティストにとって魅力的
    • イーサリアムに人と金が集まるのは必然
    • ERC20、ERC721とは
    • 唯一性が怪しいーーNFTの懸念点(1)
    • ICOブーム
    • NFTはICOと同じ轍を踏む?
    • ブロックチェーンが何かを証明してくれるのは、そのチェーンの中だけ
    • 「アートをNFT化する」に対する誤解ーーNFTの懸念点(2)
    • トークンに入っているのはURL
    • IPFSーー惑星間ファイルシステム
    • コントロールのしにくさ
    • NFTアートの資産価値ーーNFTの懸念点(3)
    • ブロックチェーンである必要はない
    • Nifty Gateway事件
    • Twitterのプロフィール画像とNFTアート
    • 楽天によるNFTの”民主化”
    • 開発現場の”事情”
    • ゲームプラットフォームSteamの対応
    • ブロックチェーンを使えばアイテムは永続する?
    • ブロックチェーンは客寄せパンダ
    • システムとして不健全
    • 結局、取引所が必要
    • 結局、Web3は怪しいーー民主的であることの難しさ
    • 民主制の範囲
    • 権力による介入
    • ブロックチェーンの限界に引きずられるNFT
    • 自由からの逃走
    • 大多数の利用者が望むこと
    • 高邁な理想
  • 第3章 メタバース
    • Web3とメタバース
    • メタバースはDXそのもの
    • ビックテックしか勝負できない世界
    • 王様はプラットフォーム企業
    • 個人が活躍できる世界ではない
    • 拡大するメタバース
    • メタバースの中核にブロックチェーン、NFTは存在しない
    • 「〇〇をすると、必ずお金が儲かる」しくみはない
    • 幻想としてのブロックチェーン、NFT
    • 求められるのは理念ではなく、利便性と安心感
  • エピローグ 幻想のWeb3
    • 期待されるポジティブな発言
    • 歴史の書き換え
    • 違和感のある言説
    • システムが実現できることの拡大解釈
    • 「考えて決めること」は人間の本質
    • 正しい意味でのDXが必要
    • Web3はあまりうまくいかない
    • ギャビン・ウッドへの回答

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