日本で2022年初めから「DAO」という言葉が、大手メディアで取り上げられるようになりました。Yahoo!ニュース記事例
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略称で、「ダオ」とか「ディー・エイ・オー」と読まれていて、日本語では「自律分散型組織」と訳されています。
DAOという新しい組織形態は海外ではすでに広まり始めており、日本でも今後数年をかけて広まっていくと考えられています。
しかし、初心者がDAOの概要を理解しようと上記リンク先の記事を読んでみても、なかなか分かりにくかったかと思います。
そこで、初心者でもDAOについて概要を理解しやすい電子書籍(Kindle版)を見つけましたので紹介します。
この本は、Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)という読み放題サービスの対象です。
本の概要
書誌情報
著者紹介
著者は「Ninja DAO」という日本で最大級のキャラクタービジネスのDAOを運営しています。
著者はまえがきで「DAOというのは、株式会社よりもイケてる可能性がある、新しい組織のスタイル、です。(中略)近い将来、DAOはぼくらの働き方を変えるかもしれません。だからこそ、今学ぶことには大きな価値があるのです。」と述べています。
注目点
DAOの定義と特徴
「第1章 DAOの定義と特徴」から引用して紹介します。
「自律分散型組織」とは、誰にも支配・制約されずに、同時に、自動的に発展していく組織と言えるのです。
特徴の1つ目は、会社と違い、絶対的な権力を持つリーダーがいないことが挙げられます。
DAOにおいては、特定の誰かが他のメンバーに指示を出すのではなく、参加者が自ら、やりたい仕事を提案することが一般的です。
特徴の2つ目は、投票トークン(ガバナンストークン)で意思決定をすることです。
DAOには株主が存在しません。DAOにおいては、株式の代わりに議決権として「ガバナンストークン」が使われます。
特徴の3つ目は、匿名で参加可能な点です。
DAOにおいては、そもそも誰も、あなたの性別など把握していません。Ninja DAOにおいても、年齢、性別、国籍などは、誰も気にしていません。
DAOにまつわる課題
「第3章 DAOにまつわる課題」から引用して紹介します。
自律分散化を妨げる要因の1つ目は、経済的なインセンティブの効力がつづかないこと。
自律分散化を妨げる要因の2つ目は、プロジェクトそのものが、持続的な成長を描けないことです。
課題の3つ目は、特定のプレーヤーに権力が集中してしまうことです。
自律分散化を妨げる要因の4つ目は、ガバナンスがうまく機能しないこと。ブロックチェーンを活用した投票で何か決めようとすると、予想以上に色々な問題が生じます。
自律分散化を妨げる要因の5つ目は、DAOの運営ツールが未整備であること。
自律分散化を妨げる要因の6つ目は、参加者のリテラシーが求められること。特にクリプトに対するリテラシーは必須です。
法律・税務的に整備されていないことも、DAOを運営する上での大きな課題になります。
一部のDAOでは、収益分配や意思決定のガバナンス機能にスマートコントラクトを使用しています。これらにバグが起こると、DAOそのものが崩壊することもありえます。
DAOの未来
「第4章 DAOの未来」から引用して紹介します。
DAOが十分に増えた未来では、「会社」ではなく「DAO」で働く選択肢が一般化するでしょう。
DAOで働く場合、一般的に、仕事の報酬は法定通貨ではなく、トークン(仮想通貨)になると思われます。
DAOが増えた未来では、複数のDAOで働くことも普通になるでしょう。
感想
2022年3月14日時点で、DAOについて解説している日本語の本はこの本と数冊しかなく、この本はポイントを押さえて全体を簡潔に書かれていたので一番分かりやすかった。
DAOの特徴と未来を読んでみて、DAOという自律分散型組織の形態に将来の大きな可能性と自分も参加してみたい運営してみたいとを感じました。DAOの目的に向かって参加者が自発的に参加し持続的に発展していく、それぞれの貢献に応じてトークンが自動的に発行される、年齢・性別・国籍に関係なく参加できることに共感したからです。たとえば現在のコミュニティやボランティアでの活動をDAOで運営することでより自発的、広範囲、持続的なものにすることが考えられます。
先日読んだ書籍「日本人が知らない世界標準の働き方:谷本真由美(著)(Amazonリンク)」の中で述べられていた「生き残りたければ『自分商店』目指せ!」はまさにDAOの方向性と一致する考え方だと気がついた。
また先日読んだ書籍「Humankind 希望の歴史:ルトガー・ブレグマン(著)(Amazonリンク)」が主張している「ほとんどの人は、本質的に善良だ」という考えをベースにした場合に、将来の組織形態としてDAOは親和性が高いと気がついた。
日本ではDAOにまつわる課題も多く、広がるには5年、10年かかるかもしれないが、先進的な人達の中からはじまっていくので、これからDAOについて引き続き情報収集を続けていきます。(と書いてからTwitterを見たら日本の先進事例を見つけた。デジタル村民のススメ / 限界集落とNFTとDAO|山古志住民会議|note)
参考文献
さらに詳しくDAOを学ぶのに参考になるWeb記事へのリンクや雑誌を紹介します。
Web記事
以下リンク先記事では、世界の代表的なDAOの事例やDAOの運営ツールの情報も掲載されています。
- はじめてのDAO【前編】|基本概念とその歴史と現状 | HashHub Research
- はじめてのDAO【後編】|DAOの類型とつくり方 | HashHub Research
- 【DAOとは何か徹底解説】私達は企業の労働者からDAOへの貢献者へ、メタバース時代の働き方はトークンエコノミーと共にある|shinichiro kinjo|note
WIRED(ワイアード)VOL.44
DAOの図解入り解説やDAOの上位概念であるWeb3の解説があるのでオススメです。
この雑誌を読んだ後に参考になる情報をブログ記事で紹介しています。
Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)
Web3というインターネットの転換点と、その背景にあるDAOという新しいコミュニティについて、概要・本質・哲学を、インターネットの歴史を振り返りながら解説している本です。
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
DAOがわかる本おすすめ
まとめ
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略称で、「ダオ」とか「ディー・エイ・オー」と読まれていて、日本語では「自律分散型組織」と訳されています。
DAOという新しい組織形態は海外ではすでに広まり始めており、日本でも今後数年をかけて広まっていくと考えられています。