新型コロナウィルスによって新しい仕事や生活スタイルに変化したことで起きつつある「3つの二極化」、つまり「ビジネスの二極化」「働き方の二極化」「人材の二極化」を説明し、生き残るためのヒントを考えていく本です。
日本のビジネス・パーソンに向けて現状に当てはめると数十年先の将来までも先取りしたアドバイスが、読みやすい文体で書かれており一読をおすすめします。
本の概要、注目点と感想、口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書籍情報
著者紹介
中島 聡(なかじま・さとし)
エンジニア・起業家・エンジェル投資家。工学修士(早稲田大学)・MBA(ワシントン大学)。
1989年に渡米し、ソフトウェア・アーキテクトとしてMicrosoft本社で Windows 95 と Internet Explorer 3.0/4.0 を開発。2000年に UIEvolution を起業、2004年にスクエニに売却($56 million)。2007年に MBO で買い戻したのち、車載機向けのソフトウェア会社と成功させ 2019年に Lear に売却($320 million)。
(以上、amazon.co.jp著者情報より引用)
著者が伝えたいこと
著者は「はじめに」の中で、「3つの二極化が起こりつつある」と述べ、以下の3つを挙げています。
- ロックダウン(およびその後の人々のライフスタイルの変化)の影響を直に受ける業種と、そうでない業種の二極化
- リモートワークに必要なツールを使いこなせる人と、そうでない人の二極化
- リモートワークによって一人ひとりの能力や生産性が可視化されるため、会社に必要な人と、実はいなくてもなんとかなってしまう人、という二極化
そんな時代に生き残っていくためには、どうすればいいのか?について、著者は以下のように述べています。
- リモートでも効率的にビジネスができる業種・職種を選ぶ
- リモートワークに必須のツールを使いこなす
- 長時間労働や労力ではなく、生産性と結果で勝負する人になる
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- はじめに ”二極化が加速する”ポストコロナの働き方
- 第1章 この「進化圧」に乗るか、淘汰されるか【ビジネスの二極化】
- 第2章 武器になる「ツール」を手に入れる【働き方の二極化】
- 第3章 こんな個人が「ニュー・エリート」になる【人材の二極化】
- 第4章 「偏執的な個人」が活躍する社会への道
- おわりに 資産バブル、格差の拡大、資本主義の危機、テクノロジーと生産性
もっとくわしく見たい場合は、本の目次(詳細版)が記事の最後にあります。
注目点と感想
この本を読んで注目した点と感想を紹介します。
リモートでも効率的にビジネスができる業種・職種を選ぶ
著者は、第1章の節「会社に『オフィス』は本当に必要なのか』で理由を述べています。
コロナ後に活躍できるのは、オフィス・スペースを最小限にとどめ、世界中から優秀な人材を雇い(しかし、移住や移動は不要)様々なオンライン・ツールを最大限に活用して、従来型の企業よりもはるかに生産性の高い仕事をする筋肉質な企業だけ、ということになります。
そんな企業で働く人たちは、通勤が不要になって「満員電車」や「渋滞」から解放されるだけでなく、人口密度が高く地価の高いに住む必要すらなくなるため、ライフスタイルに合わせた好き勝手な場所で暮らしながら働くことが可能になります。
引用元:中島聡(2021). ニュー・エリートの時代 株式会社KADOKAWA pp.33-34
【感想】いままでは仕事先を考えるときに、通勤手段や通勤時間を考えていましたが、リモートワークできる業種・職種を選べば、将来に渡って自分の好みのライフスタイルにあった場所に住むことも可能になりますし、住居を変えずに日本全国や世界中の人たちと仕事することも可能になります。そして、リモートワークをしているか否かで将来に渡って成長する企業かどうかが判別することもできそうです。
リモートワークに必須のツールを使いこなす
著者は、第2章の節「『非同期コミュニケーション』という必須スキル」で理由を述べています。
ミーティングの目的は、ほとんどの場合、情報の共有と意見交換ですが、これだけ多様なコミュニケーション・ツールが揃っている時代に、そもそも「ミーティングすること」が本当に最適な手段なのか、ということを今一度見直すべきだと私は考えています。
(中略)
「意見交換」も、ほとんどの場合、非同期に意見の交換が進むSlackのほうがはるかに効率的だし、全員に発言の機会を与えることができます。
ミーティング(オンライン・ミーティングを含む)のように、発言の機会を窺う必要もないし、文字で書くので、より正確な情報も伝えられます。
引用元:中島聡(2021). ニュー・エリートの時代 株式会社KADOKAWA pp.73-74
【感想】これまで、コミュニケーション・ツールを使ってミーティングのスケジュール調整をして、対面やZoomでミーティングすることが主だったので、この「Slackを使って非同期コミュニケーション」が必須スキルとして挙げられていたのは、とても衝撃でした。このスキルを磨くには、自分が考えていること伝えたいことの言語化の能力やキーボード入力の速度を鍛えないといけないですね。
長時間労働や労力ではなく、生産性と結果で勝負する人になる
著者は、第3章の節「イノベーションを起こす基本(3)『当事者意識を持て』」で理由を述べています。
日本は先進国の中でも、労働生産性の低い国です。
そしてそれがいつまでたっても改善されない理由の一つが、無駄だと思いながらも、それが、「昔からのやり方だ」とか「上司から命じられた」という理由だけで深く考えることなく従ってしまう、当事者意識の欠如にあります。
常に「最小限の労力で最大の効果を得る」という姿勢で仕事に取り組んでください。
引用元:中島聡(2021). ニュー・エリートの時代 株式会社KADOKAWA pp.131-132
【感想】振り返ると今まで、当事者意識を持つように心掛けているつもりでも、自分の与えられた勤務時間内を仕事で埋めるような意識になっていたように思います。これからは「最小限の労力で最大の効果を得る」という姿勢を常に意識し、仕事だけでなく家事などについても考えていきたいです。
口コミ・書評記事
口コミ
書評記事
中島聡氏のニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える | 起業家・経営者のためのビジネス書評ブログ!
『ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える』今,本当に読んでおきたい一冊 | USE COMPANY
【読書ノート】NEW ELITEの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える|井上かつお|note
参考文献
著者の本、その他関連する本を紹介します。
シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか
この本の注目点や感想、目次などをブログ記事で紹介しています。
中学生にも分かるWeb3 中学生にも分かるシリーズ:中島 聡(著)
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である:中島 聡(著)
ライフハック大全 プリンシプルズ:堀 正岳(著)
この本の概要、注目点、感想などをブログ記事で紹介しています。
LIFE SHIFT2: 100年時代の行動戦略:アンドリュー・スコット(著)リンダ・グラットン(著)
この本の概要、注目点、感想などをブログ記事で紹介しています。
リスキリングがわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点と感想、口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
新型コロナウィルスによって新しい仕事や生活スタイルに変化したことで起きつつある「3つの二極化」、つまり「ビジネスの二極化」「働き方の二極化」「人材の二極化」を説明し、生き残るためのヒントを考えていく本です。
日本のビジネス・パーソンに向けて現状に当てはめると数十年先の将来までも先取りしたアドバイスが、読みやすい文体で書かれており一読をおすすめします。
本の目次(詳細版)
この本の目次をくわしく引用して紹介します。
- はじめに ”二極化が加速する”ポストコロナの働き方
- 第1章 この「進化圧」に乗るか、淘汰されるか【ビジネスの二極化】
- 本当のDXは「業界の外」から起こる
- 新型コロナウィルスがもたらす「進化圧」
- 新しいライフスタイルを捉えたビジネス・アイデア
- 解雇規制の壁と、日本の生産性
- 経営者に残された四つの道
- 会社に「オフィス」は本当に必要なのか
- 大きな変化の始まり
- 生き残る「筋肉質な企業」
- 予想される「シリコンバレーの不動産価値下落」
- 「コロナ後もリモートワークを続けるべき」理由
- 「進化せざるを得ない」というチャンス
- IT投資ができる飲食店、できない飲食店
- 多様性確保のためにできることーーOwnPlateプロジェクト
- 「プロトタイプを作る」スピード感
- 思考実験ーー新しい形の飲食業
- フルスタック・スタートアップという提案
- 本当のDXは「業界の外」から起こる
- 第2章 武器になる「ツール」を手に入れる【働き方の二極化】
- リモートワーク時代は「ツールの選択」で生産性に差がつく
- 電話もメールもなしで、ハワイのコンドミニアムを購入
- ツールを使って、10時間かかる仕事を3時間に
- 「非同期コミュニケーション」という必須スキル
- 「オンライン・ツールを使えばいい」わけではない
- リモートワークを「監視するツール」を導入する愚
- 重要コミュニケーション・ツール「Slack」の超基本
- テレビ会議を圧倒的に快適にする「二つのコツ」
- 知っておいたほうがいい「ビデオプレゼン・ツール」mmhmm
- 体に負担をかけない「作業環境」の整え方
- 情報収集に「特別なツール」は必要ない
- 「メール」の有効活用法
- リモートワーク時代は「ツールの選択」で生産性に差がつく
- 第3章 こんな個人が「ニュー・エリート」になる【人材の二極化】
- ポストコロナに生まれる「ニュー・エリート」の共通点
- イノベーションを起こすのは、いつだって「個人」だ
- 会社組織にできること
- イノベーションを起こす基本(1)「手を動かせ」
- エンジニアの役割
- プログラミングの勉強も「手を動かす」
- イノベーションを起こす基本(2)「プロトタイプを作れ」
- 会議で発言できなくても、プロトタイプは作れる
- 気がついたら、2000人を前にプレゼン
- イノベーションは会議室から生まれない
- イノベーションを起こす基本(3)「当事者意識を持て」
- 最小限の労力で最大の効果を得る
- 何が会社にとって重要なのかを見極める
- 当事者意識の欠如が問題
- 「楽観的」な姿勢で、「まっしぐら」に進むーーmmhmmへの投資
- リモートのチーム運営に必要な「呼吸」の話
- チーム・メンバーとのコミュニケーション
- キャリアの考え方ーー「ベクトルが一致する職場」を探す
- プログラミングが三度の飯より好き
- 非効率さに我慢ができず転職
- 時代と企業と個人、その必要とするものが一致した
- ベクトルを合わせる
- ビジネスに必要な「当事者意識」
- 「次のチャンスはどこにあるか」を常に意識
- 「イノベーションを起こす暇がない」?
- 経営者に迎合する「罪」
- 「経営者を選ぶ」という意識
- 第4章 「偏執的な個人」が活躍する社会への道
- コロナ後の「組織」「社会」を考える
- 大企業病との戦い(1)「その会議に意味はあるか」
- 大企業病との戦い(2)「偏執狂が生き残る」
- 大企業病との戦い(3)「現場迎合主義を回避せよ」
- IT業界のバグをなくす一つの提案ーーオープン・ソースでの開発
- 「仕様書」より大事な「世の中の役に立つこと」
- 何を大事にしてビジネスを行うのか
- ポストコロナの「教育」を考える
- オンライン・エデュケーションの可能性
- プログラミング教育への期待と課題
- 「掛け算の順序」より大切なこと
- 「読解力と論理的思考」を身に付ける
- おわりに 資産バブル、格差の拡大、資本主義の危機、テクノロジーと生産性