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【注目点・感想】入門 Web3とブロックチェーン:山本康正(著)

2022年7月17日

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Web3(ウェブスリー)が企業や政治・社会にどのような影響と可能性をもたらすのかについて、特にブロックチェーン・NFT・DAO・トレーサビリティの視点から解説している本です。

Web3をこれから学ぶビジネスパーソン(特に経営層・管理職)や政治に関わる人(国・地方自治体)、そしてこれらの人にWeb3への理解を促したい人に一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書誌情報

山本 康正(著)PHP研究所(出版社)2022/7/16(発売日)176P(ページ数)

著者紹介

山本 康正(やまもと・やすまさ)

京都大学大学院客員教授。1981年、大阪府生まれ。京都大学で生物学を学び、東京大学で修士号取得。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。修士課程終了後、グーグルに入社し、フィンテックや人工知能による日本企業のデジタル活用を推進。企業の顧問も務める。(著者紹介から引用)

著者が伝えたいこと

著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。

Web3はインターネット領域だけの話ではない点が最大のポイントです。

「ブロックチェーンはさまざまな可能性を秘めていることを理解し、その技術によって未来がどう変化するかを読み解き、いかに自分たちのフィールドに応用していくかを自分事として考えることが、Web3への最も正しい向き合い方といえるのではないでしょうか。」

「表層的な理解だけで、自分たちの価値観や優位性を上げるための単なるキャンペーンの小道具として消費してしまう。」

「この落とし穴に一番落ちやすいのは、若い世代ではなく、むしろ組織のトップを張る経営陣や管理職、ベテラン政治家など、『テクノロジーには疎いが意思決定層である』人々の方です。」

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • はじめに
  • 第1章 Web3で世界は激変する
  • 第2章 「NFT」がデジタルデータに新たな価値を生んだ
  • 第3章 個人の貢献を可視化する「DAO」がシビアな実力主義をもたらす
  • 第4章 すべての企業が避けては通れない「トレーサビリティ」も変革する
  • 特別対談 政治や社会までも変えるWeb3の可能性 山本康正x筒井清輝
  • おわりに

もっとくわしく見たい場合は、本の目次(詳細版)が記事の最後にあります。

注目点

この本を読んで注目した点を3つ、紹介します。

「脱中央集権化」による新たな秩序を目指して

著者は「第1章 Web3で世界は激変する」の中で、「『脱中央集権化』による新たな秩序を目指して」について、以下のように述べています。

「ブロックチェーンを活用して『脱中央集権化』を進めることで、GAFAMが上位を独占するビジネスの領域に新たな秩序をもたらす。」

一部の企業に頼らずに、ブロックチェーンをAPIのように組み込み、認証や決済、各種手続きなどを実装した状態への移行を目指しているのがWeb3の世界と言えるでしょう。

著者は「地図サービス」を例にあげて、Web1.0からWeb3で、使い方がどのように変わっていくのかを以下のように説明しています。

Web1.0は、単に地図の画像をそのまま載せたものでした。

続くWeb2.0は、グーグルマップのように、全地球測位システム(GPS)や消費者の口コミ、様々な予約サービスなどが使える地図サービスです。

Web3では、それらに加えてブロックチェーンを活用することで、決済や土地の登記までも管理者不在でできるようになった地図サービス、とイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

山本 康正. 入門 Web3とブロックチェーン (Japanese Edition) (p.32). Kindle 版.

今ある会社にもDAOを組み込める

著者は「第3章 個人の貢献を可視化する『DAO』がシビアな実力主義をもたらす」の中で「今ある会社にもDAOを組み込める」について、以下のように述べています。

「株式会社という枠組みの中にも、DAOの仕組みを取り入れることが可能です。」

「DAOの特徴の一つはブロックチェーンを活用する中で、スマートコントラクトによってプログラムが自動実行される点にあります。」

出版社の仕事を例にあげて、「販売部数のデータを自動的に正しく取得できるようにプログラムしておけば、売上部数が1万部を突破した時点で、自動的にボーナスが振り込まれます。」といった仕組みを作ることが可能だと説明しています。

このような仕組みを社内に取り入れることができれば、第三者がチェックする手間が省け、評価から報酬までがスムーズにつながります。

場合によっては曖昧で主観的だったかもしれない管理職による評価が、オープンで明快なルールのもとで適用されるからです。

人間関係の余計なしがらみや情が作用していた部分が拭い去られ、合理化される部分が増えるでしょう。

山本 康正. 入門 Web3とブロックチェーン (Japanese Edition) (p.79). Kindle 版.

ブロックチェーンとトレーサビリティはなぜ好相性か

著者は「第4章 すべての企業が避けては通れない『トレーサビリティ』も変革する」の中で「ブロックチェーンとトレーサビリティはなぜ好相性か」について、以下のように述べています。

「原材料がどのようにして消費者の手に届くのか。その一連のプロセスの情報を開示し、透明性を確保することは、企業にとって、もはや避けられない義務であり責務なのです。」

「そのための手段として有効な技術として注目されているのが、ブロックチェーン技術です。」

著者は、トレーサビリティを従来のデジタルデータで管理するようになってからも、その情報が改ざんされていないかを確かめるためにコストが発生する課題をあげて、ブロックチェーンを使う解決策について以下のように述べています。

ブロックチェーンを使ったトレーサビリティ・システムを運用することによって、これらの課題の多くは解決できるようになります。

ブロックチェーンが本来備えている特長、つまり、記録された情報の改竄が難しく、その情報を多くの人が参照できる透明性が、まさにトレーサビリティ・システムに求められているものと重なっているからです。

山本 康正. 入門 Web3とブロックチェーン (Japanese Edition) (p.95). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

著者は特に、企業組織の経営陣や管理職でテクノロジーに疎い意思決定層の人に向けて、Web3をインターネット領域だけの話と表層的な理解をして単なるキャンペーンのように消費して終わらせないように、Web3への興味を喚起する身近な話題を題材にして説明し、この本を読んだ後には実際に手を動かしてみることを促しています。

また著者は、企業組織だけでなく政治家に向けて、ブロックチェーンとDAOによって、政府の人件費や運営費の削減、投票制度が変わる可能性を述べ、さらに「特別対談」では人権や民主主義といった社会や政治にWeb3テクノロジーが与える可能性を専門家との対話により浮かび上がらせています。

この本が発売される前日(2022年7月15日)に経済産業省が「省内横断組織として『大臣官房Web3.0政策推進室』を設置しました」というニュースリリースを発表しており、今後さらにWeb3がビジネスや政治の中で話題になることが多くなると思われます。

Web3をこれから学ぶビジネスパーソンや政治家にとって、もっとも適したWeb3の入門書であると感じました。

山本 康正(著)PHP研究所(出版社)2022/7/16(発売日)176P(ページ数)

口コミ

Twitterの口コミを紹介します。

書評記事

入門 Web3とブロックチェーン/山本 康正: J-HASEの書評BLOG

参考文献

この本の参考文献や関連する本を紹介します。

人権と国家 理念の力と国際政治の現実:筒井清輝(著)

「特別対談 政治や社会までも変えるWeb3の可能性 山本康正x筒井清輝」の中で引用されています。

著者は、「『人権と国家』で『人権力』という言葉を用いて、これまでは政治家や官僚に任せておけばいいとされていた人権の問題を一人ひとりが引き受け、主体的に思考する重要性について述べられている」と紹介して、「この方向性は『分散性』という特性を持つブロックチェーンが社会の基盤技術になるかもしれない現状とも無関係ではないように思う」と述べています。

筒井 清輝(著)岩波書店(出版社)2022/2/18(発売日)210P(ページ数)

浸食される民主主義(上)(下):ラリー・ダイアモンド

「特別対談 政治や社会までも変えるWeb3の可能性 山本康正x筒井清輝」の中で引用されています。

対談の中で筒井氏は「彼のグループが行った研究によると、支持政党の違う人々であっても、10〜15人ほどの規模で同じ部屋でじっくり話し合えば、お互いの意見をある程度理解し合えるし、相手の背景や立場も見えて落としどころが見つかるそうなんですね。ところが、ネット空間だと、顔も知らない同士が極端な主張をして攻撃し合うだけ、ということがわかったんです。」と述べています。

ラリー・ダイアモンド(著)市原 麻衣子(監修)勁草書房(出版社)2022/2/19(発売日)256P(ページ数)
ラリー・ダイアモンド(著)市原 麻衣子(監修)勁草書房(出版社)2022/2/19(発売日)256P(ページ数)

いちばんやさしいブロックチェーンの教本 人気講師が教えるビットコインを支える仕組み:杉井 靖典(著)

Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)

Web3というインターネットの転換点と、その背景にあるDAOという新しいコミュニティについて、概要・本質・哲学を、インターネットの歴史を振り返りながら解説している本です。

この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。

亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)けんぞう, 田所 未雪(ナレーション)かんき出版(出版社)2022/7/6(発売日)240P(ページ数)

Web3がわかる本おすすめ

ブロックチェーンがわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

Web3(ウェブスリー)が企業や政治・社会にどのような影響と可能性をもたらすのかについて、特にブロックチェーン・NFT・DAO・トレーサビリティの視点から解説している本です。

Web3をこれから学ぶビジネスパーソン(特に経営層・管理職)や政治に関わる人(国・地方自治体)、そしてこれらの人にWeb3への理解を促したい人に一読をおすすめします。

山本 康正(著)PHP研究所(出版社)2022/7/16(発売日)176P(ページ数)

本の目次(詳細版)

この本の目次をくわしく引用して紹介します。

  • はじめに
    • なぜ今、「Web3」が話題になっているのか?
    • 投資マネーがブロックチェーンに流れ込んでいる
    • キャンペーンの道具として消費しない目を養おう
  • 第1章 Web3で世界は激変する
    • 「閲覧するだけ」だったWeb1.0
    • 双方向のアクションが実現したWeb2.0
    • なぜ国産SNSはWeb2.0で負けたのか
    • Web3の核となる技術はブロックチェーン
    • 2020年以降の暗号資産の盛り上がり
    • ビットコインを法定通貨にする国も登場
    • 「リーフフロッグ現象」を起こす可能性も
    • 管理者不在でお金の回転速度が上昇する「DeFi」
    • DeFiはいわば「ウィキペディアの金融版」
    • 「脱中央集権化」による新たな秩序を目指して
    • 駅前の銀行支店が消えていく
    • 1人1票の時代が変わる?
    • Web3は本質的に既存の国家の枠組みと相性が悪い
  • 第2章 「NFT」がデジタルデータに新たな価値を生んだ
    • NFTの最大の特徴は希少性を作ること
    • 猫ゲームがきっかけでNFTブームが到来
    • NBAのプレイシーンに2270万円の価値が!
    • 数千万円が動くスポーツコレクタブルの世界
    • 日本のプロ野球でも公式デジタルトレカが誕生
    • スポーツに特化したNFTマーケットプレイスも
    • 現実には履けないバーチャルスニーカーが人気に
    • SNSのアイコンをNFTにすることも
    • 「移動や遊びで稼ぐ」の要注意
    • 75億円のNFTアートが世界に与えたインパクト
    • マッチポンプだった側面を差し引くと?
    • ハイブランドxNFTの異色コラボも
    • 音楽を1音ずつ切り離してマネタイズすることも可能に
    • マンガの世界にもNFTの波が到来
    • このまま盛り上がるか?バブルで終わるのか?
    • ブロックチェーンゲームが国内でも増加の兆し
    • NFTは「月の土地」とよく似ている
    • ファンビジネスはコンテンツを作り出せる企業が有利
    • ファンビジネスの先の可能性は?
  • 第3章 個人の貢献を可視化する「DAO」がシビアな実力主義をもたらす
    • ピラミッド型ではない、全員が主体的に動く組織
    • ブロックチェーン技術がDAOを可能にした
    • ビットコインはDAOに似た形から生まれた
    • インターネット接続できる人ならほぼ誰でも参加できる
    • ロシアのウクライナ侵攻でDAOにも注目が集まった
    • イーロン・マスク氏の実弟も慈善活動のDAOを設立
    • 新しい組織形態であるDAOの5つのメリット
    • DAOのデメリットや懸念点は?
    • 最大のハードルは暗号資産の所有率
    • DAOを「法人」として認定する国も登場
    • 今ある会社にもDAOを組み込める
    • 出身大学のランクよりも純粋に「実力」が評価される
    • フリーライダー問題の解消にも有効
    • 「できる人」と「できない人」の格差はさらに広がる
    • 「ブロックチェーンに紐付ける価値はあるのか」も問うべき
    • もしも国家がDAO化したら?
    • 株式会社や国家が「最適解」とは限らない
    • DAOが投げかける問いを私たちはどう受け止めていくか
  • 第4章 すべての企業が避けては通れない「トレーサビリティ」も変革する
    • 生産から消費までを追跡する「トレーサビリティ」
    • SDGsやESGの登場でトレーサビリティ意識が高まった
    • 多次元な視点からサステナブルを求める時代へ
    • ブロックチェーンとトレーサビリティはなぜ好相性か
    • いち早くブロックチェーンを採用したウォールマート
    • アップルによるトレーサビリティ向上の取り組み
    • サステナブルな社会を実現する技術として
    • モノの流れを可視化できない企業は淘汰される
    • 「点」のフェアトレードから「線」のトレーサビリティへ
    • 100%倫理的に調達されたコーヒーもブロックチェーンで
    • 信頼性の判断を小売店などに任せなくてよくなった
    • ブロックチェーンの利用はマストではない
  • 特別対談 政治や社会までも変えるWeb3の可能性 山本康正x筒井清輝
    • ブロックチェーンのトレーサビリティは人権にも貢献する
    • 本当に「1人1票」が最適なのか?
    • ブロックチェーンで選挙不正はなくせるのか?
    • SNSの民主化でフェイクニュースを減らせる
    • マイナンバーカードはなぜ普及しないのか
    • 新しいテクノロジーは必ずエラーが起きる
    • 「真ん中」の人たちがネット社会から消えている
    • スマートコントラクトで民主主義の質を上げられる?
    • Web3の社会で影響力を持つのは誰か
    • 他者への共感と進化したツールが人権意識を生んだ
    • わずか3日の遅れで批判されたユニクロ
    • 「わからない」から素直に始めよう
  • おわりに
    • ブロックチェーンの価値を体感するためには
    • 「怪しそう」と先入観だけで新しい技術を敬遠していないか
    • NFTの入り口を広げたアドビの例
    • なぜ上場企業が続々と早期退職者を募集するのか
    • 個を磨くことが新時代の活路になる

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