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【注目点・感想】ジェネレーティブAIの衝撃:馬渕 邦美(著)

2023年6月25日

本「ジェネレーティブAIの衝撃」アイキャッチ画像

ジェネレーティブAI(生成AI)の技術・ビジネス/投資・倫理、ホワイトカラーの仕事の変化、そして未来予測について、論文・レポート・インタビューを豊富に引用しながら、この一冊でジェネレーティブAIの全貌を把握できるように解説している本です。

ジェネレーティブAIについて、企業内での導入、新規事業・スタートアップの企画、政府・行政での政策立案、などに取り組むことを考えている人に一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書籍情報

馬渕 邦美(著)日経BP(出版社)2023/6/23(発売日)288P(ページ数)
タイトルジェネレーティブAIの衝撃
著者馬渕 邦美
出版社日経BP
発売日2023/6/23
単行本ページ数288

著者紹介

馬渕 邦美(まぶち・くにみ)

LLM-X

グローバル コンサルティングファーム パートナー 執行役員
一般社団法人Metaverse Japan共同代表理事
一般社団法人人工知能学会正会員

4社のCEOを歴任し、デジタルマーケティング業界で20年に及ぶトップマネジメントを経験。その後、米国ソーシャルプラットフォーマーのシニアマネジメント職を経て現職。経営、マーケティング、エマージングテクノロジーを専門とする。

(著者紹介より一部引用)

著者が伝えたいこと

著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。「はじめに」より一部引用。

Generative AIはデジタルテクノロジーであり、世界的なトレンドになっているデジタル化(Digital Transformation:DX)にも大きな影響を与えます。日本企業の実情を見れば、デジタル化で大きく遅れをとっている企業の多くはさらなるデジタル戦略の見直しが必要になると思います。

こうした状況にあってChatGPTのようなGenerative AIの登場は、日本にチャンスをもたらしてくれます。Generative AIはIT技術者のような人材が社内にいなくても利用可能で、これまでのデジタル化の遅れを一気に取り返し、逆転できる可能性があるのです。

皆様が本書を通じて、自身の働き方の見直しやGenerative AIの活用によるスキルアップの可能性、企業におけるGenerative AIの導入とその生産性向上や新規事業創出のインパクトを探る参考になれば、これほどうれしいことはありません。

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • はじめに
  • 第1章 Generative AIの基本概念
  • 第2章 Generative AI技術とその応用
  • 第3章 Generative AIのビジネス・投資の現状分析
  • 第4章 Generative AIが変えるホワイトカラーの仕事
  • 第5章 Generative AIの倫理
  • 第6章 Generative AIの未来
  • 第7章 まとめ
  • おわりに

もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。

注目点

この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。

最も評価額の高いGenerative AI企業

1つ目に注目した点は「第3章 Generative AIのビジネス・投資の現状分析」の「Generative AI関連の投資とスタートアップの成長」に書かれている「最も評価額の高いGenerative AI企業」です。

著者は、「どの分野のスタートアップ企業がどのようなステージにあり、ベンチャーキャピタルなどがどこに投資しているかを分析することは、今後のGenerative AIの成長分野、成長の方向性を見極めるのに役立ちます」と述べ、CB Insightsが2023年第一四半期段階で調査したレポート※を紹介しています。

※CB Insights,2023.,"the state of generative AI in 7 charts." (https://www.cbinsights.com/research/generative-ai-funding-top-startups-investors/)

そして、最も評価額の高いGenerative AI企業として、10億ドル以上の企業価値を有するユニコーン企業13社、を著者は説明しています。

  • OpenAI(ChatGPTを開発)
  • Anthropic(OpenAIの元メンバーによって設立され、言語モデルを開発)
  • Cohere(元Google研究者によって設立され、自然言語処理を行うカナダの企業)
  • Hugging Face(機械学習アプリケーションを作成するためのツールを開発)
  • Lightricks(動画および画像編集のモバイルアプリを開発)
  • Runway Research(単語と画像を使用、既存ビデオからビデオ生成)
  • Jasper(マーケティング向けAIライティングツールを提供)
  • Replit(チャット形式でのエラー文解析、ブラウザーでのプログラミング環境構築)
  • Inflection AI(パーソナルな対話型AI、チャットボットの開発)
  • Adept(OpenAI元メンバー設立、テキストコマンドをアクションに変換)
  • Character.AI(カスタマイズ可能なAI人格を生成できる対話型AIの開発)
  • Stability AI(画像生成AIの「Stable Diffusion」を開発)
  • Glean(企業向けWeb検索プラットフォームを提供)
馬渕 邦美. ジェネレーティブAIの衝撃 (pp.117-118). Kindle 版.

Generative AIによる生成性向上に関する研究

2つ目に注目した点は「第4章 Generative AIが変えるホワイトカラーの仕事」の「Generative AIによる雇用への影響」に書かれている「Generative AIによる生成性向上に関する研究」です。

著者は、「実際の仕事の現場にGenerative AIを導入した効果、仕事や生産性に与える影響をミクロレベルのデータを用いて実証的に研究している論文が既に発表されています。」と述べ、スタンフォード大学が2023年4月に発表した論文を以下のように紹介しています。

スタンフォード大学のErik Brynjolfsson(エリック・ブリニョルフソン)教授らが、2023年4月に発表した論文※で、エンタープライズソフトウエア会社の5,179人のカスタマーサポートのパフォーマンスを追跡し、顧客の問題をどれだけ早く、うまく解決できたかといった主要な指標について調査しています。

その結果、AIツールの導入により、解決率は6.5%、時間当たりの解決率は13.8%増加しましたが、新規採用者やスキルの低い労働者の問題解決と顧客満足度が大幅に上昇した、とされています。

※Erik Brynjolfsson,Danielle Li,Lindsey R.Raymond,”GENERATIVE AI ATWORK”(https://www.nber.org/system/files/working_papers/w31161/w31161.pdf

馬渕 邦美. ジェネレーティブAIの衝撃 (pp.167-168). Kindle 版.

Generative AIの持つ言語能力

3つ目に注目した点は「第6章 Generative AIの未来」の「インタビュー:金出武雄氏」に書かれている「Generative AIの持つ言語能力」です。

著者は、GPT-3からGPT-4になってGenerative AIの性能が指数関数的に上がってきた中、このようなテクノロジーと人間がどのように付き合ったらいいのかを、金出武雄氏にインタビューしています。

インタビューの中で金出武雄氏は、人間とディープニューラルネットの仕組み、AIの歴史について以下のように述べています。

我々人間は「これは猫だ」ということを、恐らく2つの方法で上手にやっています。一つは、猫は4足で、ひげがあって、目がだいたいこんな色などと記述的表現をします。もう一つは、ディープニューラルネットと同じ仕組みかどうかは別として、脳の神経網のある部分の発火という形で認識していく仕組み(表現)も使っていると思われます。人はその両方を使って行ったり来たりできるから、明らかに柔軟なんですね。

AIの歴史を考えると面白くて、最初記述的な方法をずいぶん追求したがなかなかうまくいかなかったので、次に、認識問題をニューラルネット、特にディープニューラルネットによって何か模糊とした分散的表現方法を作ったらうまくいったんです。そのニューラルネットで言語モデルを作ると、面白いことに言語で会話という最も記述的な分野で人との通信が一応成立しているようになったわけです。

馬渕 邦美. ジェネレーティブAIの衝撃 (p.271). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

この本は、現時点(2023年6月)でのジェネレーティブAI(生成AI)の技術・ビジネス/投資・倫理、ホワイトカラーの仕事の変化、そして未来予測について、論文・レポート・インタビューも豊富に引用しながら、これからジェネレーティブAIに取り組む人がこの一冊で全貌を把握できるようになっています。

引用している論文やレポートからポイントとなる図表や要約が本文に書かれているので要旨は把握することができ、さらにくわしく知りたい場合は、引用元のURLも併記されているので簡単にアクセスすることができました。

論文やレポートにはなっていないことが、各章の最後のインタビューで語られており、先行してジェネレーティブAIを活用している人たちの考え方や使い方を知ることができたり、AIの有識者がジェネレーティブAIの現状と未来をどのように考えているかを知ることがきて興味深く読むことができました。

短時間でジェネレーティブAIの全貌を把握したい人は、「第7章 まとめ」を読むだけでも要点がつかめるように工夫されている。第7章をひと通り読んでから、関心がある章を開いて読むとよりくわしく理解できるようになっています。

ただし、ジェネレーティブAI(ChatGPT, Midjourneyなど)の具体的な使い方やシーンについては書かれていません。

ジェネレーティブAIについて、企業内での導入、新規事業・スタートアップの企画、政府・行政での政策立案、などに取り組むことを考えている人に一読をおすすめします。

馬渕 邦美(著)日経BP(出版社)2023/6/23(発売日)288P(ページ数)

口コミ

書評記事

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参考文献

この本には参考文献(書籍)の記載はありませんでした。

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まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

ジェネレーティブAI(生成AI)の技術・ビジネス/投資・倫理、ホワイトカラーの仕事の変化、そして未来予測について、論文・レポート・インタビューを豊富に引用しながら、この一冊でジェネレーティブAIの全貌を把握できるように解説している本です。

ジェネレーティブAIについて、企業内での導入、新規事業・スタートアップの企画、政府・行政での政策立案、などに取り組むことを考えている人に一読をおすすめします。

馬渕 邦美(著)日経BP(出版社)2023/6/23(発売日)288P(ページ数)

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本ブログサイトでは、以下のような記事も紹介しています。

本の目次(詳細版)

この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。

  • はじめに
  • 第1章 Generative AIの基本概念
    • Generative AIの基本概念
    • Generative AIに関する最近の動向と用途
    • Generative AIの「自社業務への適用」と「ビジネス・事業への拡大」
    • インタビュー:伊藤穣一氏 デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフ・アーキテクト
  • 第2章 Generative AI技術とその応用
    • Generative AI技術の概要
    • Generative AIによるシンギュラリティの到来の可能性
    • Generative AI技術を使う応用展開
    • インタビュー:松尾豊氏 東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 教授
  • 第3章 Generative AIのビジネス・投資の現状分析
    • Generative AIのビジネス
    • Generative AI関連の投資とスタートアップの成長
    • アウトプット類型別参入企業の特徴
    • Generative AI関連のMicrosoftの取り組み
    • インタビュー:小田健太郎氏 日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 AI GTM マネージャー
  • 第4章 Generative AIが変えるホワイトカラーの仕事
    • パナソニックグループの導入事例
    • Generative AIによる雇用への影響
    • ホワイトカラーの仕事に影響を与えるGenerative AI
    • インタビュー:樋口泰行氏 パナソニックコネクト 代表取締役 執行役員プレジデント 兼 CEO
  • 第5章 Generative AIの倫理
    • Generative AIの倫理的問題
    • Generative AIを利用する際の注意点
    • インタビュー:杉山恒太郎氏 ライトパブリシティ 代表取締役
    • インタビュー:さわえみか(澤江美香)氏 HIKKY 取締役COO/CQO
  • 第6章 Generative AIの未来
    • Generative AIの将来の展望
    • Generative AIによって生まれる新しいビジネス機会とホワイトカラーの仕事
    • インタビュー:金出武雄氏 カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授/京都大学高等研究員招聘特別教授/産業技術総合研究所名誉フェロー
  • 第7章 まとめ
    • 各章の要約と今後のポイント
    • 今後に残された重要な論点
  • おわりに

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