NFTは、いつどこからやってきて、今どんなブームを起こし、今後どこに向かおうとしているのかについて、ていねいなわかりやすい説明と日本国内の大企業・ベンチャー企業の担当者から聞いた事例で解説している本です。
日本国内でNFTの事業を検討していたり、NFTの事業にたずさわっているビジネス・パーソンに一読をおすすめします。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書誌情報
著者紹介
伊藤 佑介(いとう・ゆうすけ)
2020年に、日本のコンテンツ業界のデジタルトランスフォーメーションを業界横断で加速すべく、一般社団法人ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブを発足し、代表理事として、加盟するコンテンツ企業との共創によりブロックチェーン技術を基点としたオープンイノベーションを推進中。(本書著者紹介から一部引用)
著者が伝えたいこと
著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。
「ブロックチェーンという技術を使ってできた、デジタルコンテンツの保証書データが高額で売買されているというのが、2021年から始まったNFTブームの正体です。」
「本書では、過去、現在、未来の順に、NFTがいつどこからやってきて、今どんなブームを起こし、今後どこに向かおうとしているのかに迫っていきます。」
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- はじめに
- 第1章 ブロックチェーンの新革命「NFT」を知る
- 第2章 ブロックチェーンとは 〜NFTを深く知るために〜
- 第3章 NFTの今「NFT1.0」
- 第4章 「NFT2.0」 〜大企業が見るNFTの未来〜
- 第5章 「NFT2.0」 〜ベンチャー企業が見るNFTの未来〜
- 第6章 NFTマーケットとクリエイター
- おわりに
もっとくわしく見たい場合は、本の目次(詳細版)が記事の最後にあります。
注目点
この本を読んで注目した点を3つ紹介します。
NFTとデジタルコンテンツの違い
1つ目に注目した点は、「第1章 ブロックチェーンの新革命『NFT』を知る」に書かれている「NFTとデジタルコンテンツの違い」です。
著者は、NFTとは、「消去、複製、改ざんができないブロックチェーンシステム上に記録された保証書のデータ」と説明しています。
NFTとデジタルコンテンツを正しく区別できるようにするために、コンテンツ業界団体の一般社団法人ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブが2021年6月1日に公表した「コンテンツを対象とするNFTについての考え方」の中で定義された用語を使って、以下のように説明しています。
Webサーバ上のデジタルコンテンツデータと、それに紐づくブロックチェーンシステム上の保証書データの2つを併せて、「コンテンツNFT」と呼ぶことにします。
こうすると、”コンテンツNFT”と”デジタルコンテンツ”の違いは一目瞭然です。Webサーバ上にデジタルコンテンツを持っていることは共通しているので、シンプルに、ブロックチェーンシステム上にそれに紐づく保証書のデータがあるかないかということです。
伊藤佑介. インターネット以来のパラダイムシフト NFT1.0→2.0:P.19
コンテンツNFTの本質的な価値
2つ目に注目した点は、「第2章 ブロックチェーンとは 〜NFTを深く知るために〜」の「NFTにしかできないこと」に書かれている「コンテンツNFTの本質的な価値」です。
著者は、ブロックチェーンの本質的な価値は「異なる企業のサービスを横断して利用できるデジタルデータによって、企業間連携のエコシステムを構築できる」ことであると述べ、コンテンツNFTの本質的な価値は「異なるコンテンツ企業のサービスを横断して利用できるデジタルコンテンツデータによって、企業間連携のエコシステムを構築できる」ことであると述べています。
このコンテンツNFTの本質的な価値によって、コンテンツ業界はどのようなイノベーションを起こすべきかについて、著者は以下のように述べています。
コンテンツファンが、自分が持っているコンテンツNFTを「異なるコンテンツ企業のサービスを横断して利用できる」ようにすることです。
つまり、コンテンツNFTというひとつのデジタルコンテンツデータを所有していると、それを購入したコンテンツ企業Aのサービスの中だけでなく、他のコンテンツ企業Bのサービスでも利用して楽しめる体験を、ファンに届けるということです。
伊藤佑介. インターネット以来のパラダイムシフト NFT1.0→2.0:P.75
NFTマーケットの使い分け
3つ目に注目した点は、「第6章 NFTマーケットとクリエイター」の「NFTクリエイター『mera takeru』」に書かれている「NFTマーケットの使い分け」です。
著者は、「常に他のNFTクリエイターができていないことを模索して、それに対して自分ができることを思考し、独自性のある作風のポジショニングを練りながらクリプトアートを作り続けている点が、mera takeruがNFTクリエイターとして長く活躍している理由とも言えるでしょう。」と述べています。
著者は、NFTクリエイター「mera takeru」が主に「SuperRare」「KnownOrigin」「MakersPlace」の3つのNFTマーケットを使い分けしており、それぞれの違いと特徴、使い分けのポイントを、以下のように紹介しています。
ひとつ目は、「SuperRare」というNFTマーケットです。
対応できるファイルの容量が50MBまで(中略)
アート活動経歴を提出して、審査が通れば認定アーティストとして登録される審査制の仕組みをとっています。
そのため、NFTクリエイターの間では、登竜門のような位置づけのNFTマーケットになっています。
伊藤佑介. インターネット以来のパラダイムシフト NFT1.0→2.0:P.245
2つ目は、「KnownOrigin」というNFTマーケットです。
75MBまで対応可能(中略)
複数のNFTクリエイターでコラボレーションして、ひとつのクリプトアートを共創できる機能があるのが特徴です。
その際、得られた収益を、共創したNFTクリエイターの各ウォレットに配分して送金することもできます。
伊藤佑介. インターネット以来のパラダイムシフト NFT1.0→2.0:P.246
3つ目が、「MakersPlace」というNFTマーケットです。
200MBまで対応可能(中略)
画像だけでなく、ショートムービーを出品しているNFTクリエイターも多くいます。
より芸術性の高い作品が多く出品されています。
伊藤佑介. インターネット以来のパラダイムシフト NFT1.0→2.0:P.247
感想・口コミ・書評記事
感想
「第1章 ブロックチェーンの新革命『NFTを知る』」の中で、著者はNFTを「替えがきかない保証書」と定義して、時計の保証書を例にあげて、購入者の住所・氏名を保証書に記入するようにNFTに所有者情報を書き込む記入欄があり所有証明ができることなどを説明しており、わかりやすい説明であった。
「第2章 ブロックチェーンとは 〜NFTを深く知るために〜」では、ブロックチェーンという言葉をはじめて聞いた人にもわかるように、ブロックチェーンの目的からブロックチェーンの仕組みまでを説明しているので、ブロックチェーンを知らずにNFTに興味を持ってこの本を読んだ人も理解が深められるようになっている。
「第3章 NFTの今『NFT1.0』」では、アート・ゲーム・音楽・トレカとNFTの相性と課題や、NFTが私たちの生活にどう関わってくるのか、問題点と課題が説明されており、現在のNFTの状況について網羅的に理解できる内容になっている。
第4章の大企業、第5章のベンチャー企業、第6章のNFTマーケットといった日本国内のNFT事例は、他の本には書かれていない内容だったので、新しく知識を得ることができた。
第4章から第6章までは中級者向けの内容になっており、NFTに関する事業にたずさわっているビジネス・パーソンにとって有益な情報がまとまって記述されているのでとても役に立つと思う。
残念な点は、Kindle版の電子書籍が固定フォーマットであるため、文字列のハイライト機能が使えないことであり、本にアンダーラインを引きたい人は紙の本を購入した方が良いと思う。
口コミ
書評記事
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参考文献
この本では参考文献の記載がありませんでした。この本に関連する本を紹介します。
Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)
Web3というインターネットの転換点と、その背景にあるDAOという新しいコミュニティについて、概要・本質・哲学を、インターネットの歴史を振り返りながら解説している本です。
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
世界2.0 メタバースの歩き方と創り方:佐藤航陽(著)
この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。
NFTがわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
NFTは、いつどこからやってきて、今どんなブームを起こし、今後どこに向かおうとしているのかについて、ていねいなわかりやすい説明と日本国内の大企業・ベンチャー企業の担当者から聞いた事例で解説している本です。
日本国内でNFTの事業を検討していたり、NFTの事業にたずさわっているビジネス・パーソンに一読をおすすめします。
本の目次(詳細版)
この本の目次をくわしく引用して紹介します。
- はじめに
- 第1章 ブロックチェーンの新革命「NFT」を知る
- NFTとはそもそも
- NFTとデジタルコンテンツの違い
- NFTがなぜ注目されだしたのか
- なぜ高額で売買されているのか
- NFTを販売しているマーケット
- 第2章 ブロックチェーンとは 〜NFTを深く知るために〜
- いまさら聞けない!「ブロックチェーン」
- ブロックチェーンでできること
- ブロックチェーンの仕組み
- ブロックチェーンの生みの親「ビットコイン」 〜価値がついたワケ〜
- NFTにしかできないこと 〜ブロックチェーンの本質的な価値を生かして〜
- コラム:コンテンツ関連企業34社が集う「一般社団法人JCBI」発足の経緯
- 第3章 NFTの今「NFT1.0」
- NFTとアート
- NFTとゲーム
- NFTと音楽
- NFTとトレカ
- NFTHA私たちの生活にどう関わってくるのか
- これからのNFT活用における問題点と課題
- コラム:分散型自律組織「DAO」として運営されている一般社団法人JCBI
- 第4章 「NFT2.0」 〜大企業が見るNFTの未来〜
- NFT×分散型ID「電通グループ」
- NFT×コミック「凸版印刷」
- NFT×デジタル・アセット「エイベックス・テクノロジーズ」
- NFT×著作権保護「博報堂」
- コラム:一般社団法人JCBIによるコンテンツ業界主導のNFT市場育成に向けた活動
- 第5章 「NFT2.0」 〜ベンチャー企業が見るNFTの未来〜
- NFT×メタバース「PocketRD」
- NFT×エンタメ「SingulaNet」
- NFT×スポーツ「セプテーニグループ」
- NFT×リーガルテック「NFT印鑑」
- NFT×Web3.0「HashPallette」
- コラム:消費者を守るために一般社団法人JCBIが行う正規品NFT認定事業
- 第6章 NFTマーケットとクリエイター
- LINEグループ「LINE NFT」
- GMOインターネットグループ「Adam byGMO」
- UUUMグループ「HABET」
- 楽天グループ「Rakuten NFT」
- SBIグループ「SBINFT」
- NFTクリエイター「mera takeru」
- コラム:グローバルオープンソースプロジェクトのパブリックブロックチェーン「Content-Ethereum」で一般社団法人JCBIが実現を目指すNFT2.0
- おわりに