Web3.0はどこが画期的なのかといった「Web3.0を知る」ところから、実際にどのようなビジネスが生まれるのかということまで、事例を交えてイラストや図解を使ってわかりやすく解説している本です。
Web3をこれから学ぶ人で、文章だけだと苦手な人でも分かりやすい1冊目の本として、一読をおすすめします。
また、Web3.0について他の人に説明する機会が多い人は、この本を持っていると便利に使えます。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書誌情報
監修者紹介
加藤 直人(かとう・なおと)
クラスター株式会社代表取締役CEO。2017年に大規模バーチャルイベントの開催を可能にするVRプラットフォーム「cluster」を公開。clusterは現在、アバターを用いたコミュニケーションやオンラインゲームの投稿などができるメタバースプラットフォームへと進化している。(監修者紹介より一部引用)
監修者が伝えたいこと
著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。
「これまでインターネットは、現実世界での私たちの生活を補助する存在でした。しかしバーチャルファーストの時代には、いよいよその主従関係が逆転し、多くの人々がインターネットに軸足を置くようになってきます。」
「新しい概念が生まれた激変の時代において、それらをビジネスに活用するためにには『その仕組みを知ること』と『未来予想図を描くこと』、そのどちらも欠かせません。」
「ぜひこの本を通じてその両方をつかみ、Web3.0時代の新しいビジネスを一緒に創造していきましょう。」
本の目次
本の目次を引用して紹介します。
- はじめに
- Web3.0が実現する世界
- Chapter1 Web3.0とは何か?(1)
- Chapter2 Web3.0とは何か?(2)
- Chapter3 ブロックチェーンが生み出した革命
- Chapter4 新しい経済圏を作るNFT
- Chapter5 Web3.0時代に押さえたい!メタバースの世界
- Chapter6 行政も大注目のWeb3.0
- Chapter7 Web3.0時代で勝つための心得
- Chapter8 Web3.0時代の新しいビジネス
- 用語解説
- おわりに
- 主要参考文献
もっとくわしく見たい場合は、本の目次(詳細版)が記事の最後にあります。
注目点
この本を読んで注目した点を3つ紹介します。
DAOで実現する「デジタル国家」とは?
1つ目に注目した点は、「Chapter3 ブロックチェーンが生み出した革命」に書かれている「DAOで実現する『デジタル国家』とは?」です。
著者は、スペインのカタルーニャ州は独自の言語と文化を持ち、スペインからの独立を望んでいる住民も多い土地で、カタルーニャ州を拠点とするカタランDAO(CatalanDAO)はデジタル国家の実現を目指している、という事例を紹介しています。
カタランDAOは2021年9月にスタートしましたが、それ以前からカタルーニャには理想とする仮想国家をデジタル空間に作ろうとする動きかありました。(中略)
カタルーニャ2.0を支えていたのはブロックチェーンで、その技術を活用して難民にIDを発行したり、同性愛者の婚姻届を受理したりしていたのです。
加藤直人(監修). Web3.0ビジネス見るだけノート:P.69
バーチャル世界を社会実験に活用する
2つ目に注目した点は、「Chapter5 Web3.0時代に押さえたい!メタバースの世界」に書かれている「バーチャル世界を社会実験に活用する」です。
著者は、ビットコインなどの暗号資産はオープンソースのプロダクトであるために「ハードフォーク」することが可能という特徴があり、この仕組みや考え方をメタバースに転用することができれば、現実世界では難しいシミュレーションや社会実験が可能になるかもしれない、と述べています。
例えば、導入に向けて世界のあちこちで賛否を生んでいるベーシックインカムです。(中略)
そこでまず、バーチャル世界を使って実験をしてみるという選択が可能になるのです。
どのようなメリットやデメリットがあるのか、メタバースでの結果を見て、その政策を現実世界に取り入れるべきかどうかを決めていけばいいのです。
加藤直人(監修). Web3.0ビジネス見るだけノート:P.127
ゲームが貧しい農村を救った事例とは?
3つ目に注目した点は、「Chapter8 Web3.0時代の新しいビジネス」に書かれている「ゲームが貧しい農村を救った事例とは?」です。
著者は、ゲームで必要になるNFTの貸し出しを行い、借りた人はゲーム内で稼いだ一部の収益を貸した人に支払う仕組みになっている「YGG(Yield Guild Games)というサービスの事例を紹介しています。
ゲームのプレイヤーは、少しでもゲームに勝利して稼ぐために強いNFTを求めます。それを貸してくれるサービスがYGGでした。
借りる側はゲームで稼ぐことができるようになり、貸す側にとっては保有するNFTの人気度によって価値を高めることができるという、まさに持ちつ持たれつの関係を作ることができたのです。
加藤直人(監修). Web3.0ビジネス見るだけノート:P.203
感想・口コミ・書評記事
感想
参考文献から重要な点を選択し文章を要約して、更に吹き出しつきのイラストと図解で表現しているので、Web3とメタバースをこれから学ぶ人にとってわかりやすい1冊目の本になっています。
この本のタイトルは「Web3.0ビジネス見るだけノート」であるが、読んでみると「メタバース」について書かれている割合が予想以上に多いように感じた。
「メタバース見るだけノート」はすでに出版されているので、DAO・DeFi・GameFiなどの説明や事例がもっと多いと良かった。
見開き2ページで読む形式なので、紙の本、または電子書籍の場合は12インチ以上のディスプレイかiPad Pro 12.9インチを使うのが適しています。
すでにWeb3.0を知っている人は、Web3.0を知らない他の人に説明する場合に、項目が見つけやすく、見開き2ページの文章とイラストで分かりやすく見せられるので便利に使えると思った。
口コミ
Twitter口コミを紹介します。
書評記事
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参考文献
この本の参考文献に記載されている本を紹介します。
メタバース さよならアトムの時代:加藤直人(著)
この本の注目点や感想、目次をブログ記事で紹介していますので参考にしてください。
メタバースとWeb3:國光宏尚(著)
この本の注目点や感想、目次をブログ記事で紹介していますので参考にしてください。
メタバースとは何か〜ネット上の「もう一つの世界」〜:岡嶋裕史(著)
この本の注目点や感想、目次をブログ記事で紹介していますので参考にしてください。
WIRED(ワイアード)VOL.44「Web3 所有と信頼のゆくえ」:コンデナスト・ジャパン(著)
この本に関してブログ記事で紹介していますので参考にしてください。
Web3がわかる本おすすめ
まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
Web3.0はどこが画期的なのかといった「Web3.0を知る」ところから、実際にどのようなビジネスが生まれるのかということまで、事例を交えてイラストや図解を使ってわかりやすく解説している本です。
Web3をこれから学ぶ人で、文章だけだと苦手な人でも分かりやすい1冊目の本として、一読をおすすめします。
また、Web3.0について他の人に説明する機会が多い人は、この本を持っていると便利に使えます。
本の目次(詳細版)
この本の目次をくわしく引用して紹介します。
- はじめに
- Web3.0が実現する世界
- Chapter1 Web3.0とは何か?(1)
- インターネットの「第3段階」が始まった
- これまでのWeb1.0やWeb2.0との違いとは?
- Web3.0の大きな特徴は「Decentralized」
- Web2.0ではビックテックが躍進した
- ビックテックの支配からユーザーが自由になる
- データが一箇所に集まることの何が問題なのか?
- 「格差への不満」がWeb3.0への流れを作った
- バーチャルファーストの時代がやってくる
- Column 01 インターネット偉人伝(1) "Webの父" ティム・バーナーズ=リー
- Chapter2 Web3.0とは何か?(2)
- 各ユーザーが同じデータを参照できる
- Web3.0を動かす「トラストレス」という思想
- Web3.0はなぜ話題になったのか?
- ビックテック創業者からは懐疑的な見方もある
- Web3.0の時代にはどんなデバイスが台頭するのか?
- Web3.0を支えるのは「ブロックチェーン(分散型台帳)」
- Column 02 インターネット偉人伝(2) 日本のインターネットの父 村井純
- Chapter3 ブロックチェーンが生み出した革命
- ブロックチェーンとは何か?
- すべての取引記録を複数のコンピュータに記録する
- 暗号資産には「運営主体」が存在しない
- 「イーサリアム」が新しい経済圏をもたらした
- ブロックチェーン上の新しいアプリ「DApps」
- トークン購入のためにイーサリアムが購入される
- 「スマートコントラクト」で経済活動から中抜きがなくなる
- 新しい組織の形「DAO」とは何か?
- すべてのメンバーにインセンティブを与える
- DAOで実現する「デジタル国家」とは?
- 「個人の時代」と相性のいいDAO
- 金融を非中央集権化するDeFiの仕組み
- DeFiの事例「Compound(コンパウンド)」
- Column 3 インターネット偉人伝(3) 正体不明のブロックチェーン発明者 サトシ・ナカモト
- Chapter4 新しい経済圏を作るNFT
- NFTの仕組みを理解する
- なぜ今NFTが話題なのか?
- 3億円で売れた「Twitterのつぶやき」とは?
- 「本物のデジタルデータ」に価値を付ける
- 「コピーされやすいデジタル」の常識が変わる
- Web2.0では作品たちがプラットフォーマーに管理されてきた
- 二次流通でも収益獲得?クリエイターを救うNFT
- Web3.0がもたらす「オーナーシップエコノミー」
- NFTで売るべきものとそうでないもの
- ゲームのアイテムが資産になりうる「GameFi」
- 無料で見られるデジタルデータになぜお金を払うのか?
- NFT市場で販売できるのはどんなもの?
- Column 4 インターネット偉人伝(4) イーサリアムの考案者 ヴィタリック・ブテリン
- Chapter5 Web3.0時代に押さえたい!メタバースの世界
- メタバースは一過性のブームではない
- フェイスブック、マイクロソフトが相次いで参入
- メタバースは普及までに3つのステップを踏む
- 「右脳」に訴えかけるメタバースの魅力
- 複数のコミュニティを選ぶことができる
- 「多様な自分」を持つことができる
- メタバースで叶える「リアルを超える」体験
- メタバース市場は「コンテンツ」「デバイス」「空間」に大別できる
- 教育に革命をもたらすメタバース
- バーチャル世界を社会実験に活用する
- リアルの街をもとに作られる「バーチャルシティ」
- NFT取引に特化したメタバースも存在する
- 日本初のアバター統一規格「VRM」とは?
- メタバースとWeb3.0で多様性のある社会を作る
- コロナ禍による行動変容は大きなビジネスチャンス
- Column 5 インターネット偉人伝(5) 電子メールの生みの親 レイ・トムリンソン
- Chapter6 行政も大注目のWeb3.0
- 「NFT政策検討プロジェクトチーム」が発足
- 「新しい資本主義」にWeb3.0を活用する
- Web3.0がクールジャパンに新たな価値を付ける
- 世界から遅れをとる日本の暗号資産税制
- いきなり世界市場を目指せるWeb3.0
- 地方創生の切り札になるNFTの活用法とは?
- より豊かな生き方を実現する「ムーンショット目標」
- Column 6 インターネット偉人伝(6) Google創設者 ラリー・ペイジ
- Chapter7 Web3.0時代で勝つための心得
- コミュニティは承認欲求型から共感型に変わる
- 共感してくれる「ファン」を集める
- 初期から応援してくれるファンを大切にする
- 「VR酔い」の防止などデバイスに慣れる必要性も
- リアルとは異なる人間関係を求めるユーザーが増える
- Web3.0では誰もがクリエイターになる
- メタバースでサステナビリティを実現する
- 新しいビジネスで最も重要なのはタイミング
- Column 7 インターネット偉人伝(7) ウィキペディア創設者 ジミー・ウェールズ
- Chapter8 Web3.0時代の新しいビジネス
- 勝つのはWeb3.0の特徴を捉えたビジネス
- メタバース上のビジネスも産業分類ができる
- ライブイベントがリアルの臨場感を超える
- バーチャル空間で生まれるアパレルの需要
- メタバースで期待される「新しい広告」の形とは?
- 現実的な制約にとらわれない「メタバース旅行」
- チームの成長で価格上昇も「クラブトークン」とは?
- ネット検索で暗号資産がもらえるブラウザ
- VR空間のユーザー体験を追求する「VR演出家」
- 遊びがビジネスになる「Play to Earn」
- 睡眠や運動など「◯◯ to Earn」で多様な稼ぎ方
- ゲームが貧しい農村を救った事例とは?
- Web3.0やメタバースには巨大資本が集まっている
- デジタル経済圏では誰にでも平等にチャンスがある
- Column 8 インターネット偉人伝(8) メタバースプラットフォームcluster創業者 加藤直人
- 用語解説
- おわりに
- 主要参考文献