「5000日後の世界」というタイトルは、インターネットが一般に使われ始めて約5000日が経った頃ソーシャルメディアがよちよち歩きをはじめ、現在はソーシャルメディアが歩き始めてから約5000日が経ったところであるので、今後の5000日後を予測するという趣旨からきています。
本書の話題一つ目はミラーワールドを中心に新たなテクノロジーによって到来する未来図が描かれており、二つ目は未来に向けて人はどのような思考法を身につけるべきかについて書かれています。
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介します。
本の概要
書誌情報
著者紹介
ケヴィン・ケリーは「ビジョナリー(予見者)」であり、1993年にインターネット黎明期から雑誌「WIRD」創刊編集長を務めるなど多くの企業の盛衰を見たり世界の国々を訪れ、「テクノロジーに耳を傾ければ未来がわかる」という思考法や長期に渡る歴史的思考を基に予測を導き出しています。
本の目次
この本の目次を引用して紹介します。
- はじめに
- 第1章 百万人が協働する未来
- 第2章 進化するデジタル経済の現在地
- 第3章 すべての産業はテクノロジーで生まれ変わる
- 第4章 アジアの世紀とテック地政学
- 第5章 テクノロジーに耳を傾ければ未来がわかる
- 第6章 イノベーションと成功のジレンマ
- 最後に
- あとがきー大野和基
- 楽観主義者であるということ
- 訳者解説ー服部桂
- ケヴィン・ケリーにはなぜ未来が見えるのか?
もっとくわしく見たい場合は、本の目次(詳細版)が記事の最後にあります。
注目点
この本を読んで注目した点を紹介します。
ミラーワールドとは何か?どんなことができるのか?
「ミラーワールド」とは何か?について著者は以下のように述べています。
ミラーワールドとは、イェール大学のデヴィット・ガランダー教授が最初に広めた言葉です。
ミラーワールドの最も基本的な説明は、「現実世界の上に重なった、その場所に関する情報のレイヤーを通して世界を見る方法」というものです。
VR(仮想現実)は外界が見えないゴーグルの中でのバーチャルな世界ですが、ARは、スマートグラスなどを通して現実世界を見ます。すると現実の風景に重なる形で、バーチャルの映像や文字が出現します。
同時に100万人が働くために、現在はまだない新しいツールとして、著者は以下の3つを挙げています。
AR(拡張現実)の機能がついたスマートグラスです。ARは、仕事を相互に行う場合に、物理的な交流を容易にするテクノロジーです。
参加者に協力してもらうために、ある人が出したアイデアを取り入れて進化させ、改良していくためのものが考えられます。(中略)ブロックチェーンのような技術が役に立つでしょう。
リアルタイム自動翻訳の大幅な進化について話さないわけにはいけません。(中略)特に英語に変換してくれる、ほとんどタダ同然の翻訳があれば、これまでにない規模の共同作業が容易になります。
ミラーワールドというAR世界ではどんなことができるのかについて、著者は述べています。
空間に手をかざしてさっと振るようにスワイプするだけで、時間をさかのぼってその場所に以前にあったものを呼び出せる。(中略)反対に、この場所が百年後にどうなるかを、アーティストたちがSFのように描いてくれるのもいいかもしれません。このように、ミラーワールドとはある意味で、三次元空間に時間の要素を加えた4Dの世界であるとも言えるでしょう。
情報には二段階が考えられますね。まずは商品そのものに対する注釈で、もう一つは気づきを与えてくれる情報です。あなたは商品について説明したりタイプしたりする必要はありません。興味を持ったものを見つめるだけで、それがあなたを認識します。あなたはただ、尋ねればいいだけです。
バーチャルな友人や会社の同僚を映し出して、彼らと「会う」こともできます。あなたは自分の部屋の椅子に座っているだけでいい。するといろいろな情報が、あるべき場所に重なって見える。
ミラーワールドを運営する主体は誰になるのか?
著者は、ミラーワールドをビジネスの観点から、ミラーワールドを運営する主体について述べています。
未来においてミラーワールドを運営するのは、少なくとも西側諸国では政府以外ということになるでしょう。
こうしたARの世界での勝者は、GAFAのどの会社でもないと思います。破壊的テクノロジーの歴史を振り返ってみれば、ある分野で支配的だった者が次の時代のプラットフォームとしてそのまま残ることはありませんでした。
ミラーワールドにおいては、成功を収める小さな開発会社がたくさんできると思います。もし将来、ARのミラーワールドの世界で大きく成功した会社があるとすると、こうした環境を支える何万もの小さな勝者が出てきます。
ミラーワールドでの新しい働き方とは?
著者は、ミラーワールドでの共同作業が進むことで、会社と呼ばれる組織や働き方にどのような変化が起きるのかについて述べています。
自分のやりたいことに合わせた、会社とは別の形態としての選択肢になるでしょう。そして様々な組織とは別の、非常にゆるいネット組織になっていき、営利だったり非営利だったりの非常にフラットなものになるのです。
新しいテクノロジーを使えば、チームの誰もが同じ情報を共有して共同作業ができるのです。情報はフラットになり上司に頼らなくてもよくなる。全員がスマートグラスで同じ情報を直ちに得られるのです。各人が自分の責任において共同作業を遂行できるようになり、それは労働形態を問いません。
暗号通貨やブロックチェーンなどの新しいテクノロジーは、こうした共同作業の場における支払いを容易にするツールとなる可能性があります。ある人が仕事をしてくれた場合、それがシステムの中に埋もれたり、すり抜けたりした場合でも、ブロックチェーンを使えば誰のものだか確認できるようになるのです。
長期的な観点からは仕事と遊びの区別がなくなるということです。この二つはまったく重なり合っていて、テクノロジーや富の区別はできなくなり、それが仕事であるかどうかを区別するのが難しくなります。それこそがゴールであり、そこを目指すべきなんです。
感想・口コミ・書評記事
感想
2022年1月26日の5000日後は、「2035年10月6日」です。
約13年後はどのような世界になっているのでしょうか?とても楽しみです。
本書を読んでミラーワールドを実現するツールについてとても興味を覚えました。
これからも関連する情報やツールの調査を続けていきます。
注目点を短くまとめると、以下の言葉になります。
ミラーワールドの運営は、政府以外でGAFAではないプラットフォーマーで、成功する多くの小さな会社や何万もの小さな勝者で支える。
ミラーワールドは、現実世界のその場所に関する情報のレイヤーを通して世界を見る方法で、AR(拡張現実)スマートグラス、ブロックチェーン、自動翻訳がツールとなり、三次元空間に時間の要素を加えた4Dの世界で、興味を持ったものにただ尋ねれば良い世界になる。
ミラーワールドの運営は、政府以外でGAFAではないプラットフォーマーで、成功する多くの小さな会社や何万もの小さな勝者で支える。
口コミ
書評記事
ケヴィン・ケリー,5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる,書評 | 起業家・経営者のためのビジネス書評ブログ!
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参考文献
Web記事
ミラーワールド:ARが生み出す次の巨大プラットフォーム | WIRED.jp
ともに闘うか、死か:「ミラーワールド」を提唱した男、Facebookが支配する世界にブロックチェーンで挑む | WIRED.jp
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まとめ
本の概要、注目点、感想・口コミ・書評記事、参考文献、を紹介しました。
「5000日後の世界」というタイトルは、インターネットが一般に使われ始めて約5000日が経った頃ソーシャルメディアがよちよち歩きをはじめ、現在はソーシャルメディアが歩き始めてから約5000日が経ったところであるので、今後の5000日後を予測するという趣旨からきています。
本書の話題一つ目はミラーワールドを中心に新たなテクノロジーによって到来する未来図が描かれており、二つ目は未来に向けて人はどのような思考法を身につけるべきかについて書かれています。
本の目次(詳細版)
この本の目次をくわしく引用して紹介します。
- はじめに
- 第1章 百万人が協働する未来
- ミラーワールドが起こす大変化
- ミラーワールドは新たな力と富を生み出す
- まったく新しい働き方が到来する
- 仕事と遊びが融合する時代
- 第2章 進化するデジタル経済の現在地
- AI化という新たな産業革命がもたらすもの
- GAFA後の世界
- 第3章 すべての産業はテクノロジーで生まれ変わる
- 食の未来
- 移動の未来
- お金の未来
- エネルギーの未来
- 教育の未来
- 第4章 アジアの世紀とテック地政学
- アジアの世紀が到来する
- 都市がますます勃興する
- 第5章 テクノロジーに耳を傾ければ未来がわかる
- 変化が加速する時代に
- 結局のところ、未来を作るのは楽観主義者だ
- 第6章 イノベーションと成功のジレンマ
- 偉大な起業家たちとの対話で得た結論
- 思考を止めないために
- 最後に
- あとがきー大野和基
- 楽観主義者であるということ
- 訳者解説ー服部桂
- ケヴィン・ケリーにはなぜ未来が見えるのか?