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【注目点・感想】図解ポケット 次世代分散型自律組織 DAOがよくわかる本:松村雄太(著)

2022年10月31日

本「DAOがよくわかる本」アイキャッチ画像

DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)について、基礎的な知識からDAOの具体的な事例、将来の可能性、課題とリスクまで、初心者でもわかりやすいようにステップを踏んで解説している本です。

はじめてDAOについて学びたい人、さまざまなDAOの事例を知りたい人、将来DAOが活きるイメージをつかみたい人などに一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書籍情報

松村 雄太(著)秀和システム(出版社)2022/10/27(発売日)152P(ページ数)

著者紹介

松村 雄太(まつむら・ゆうた)

「Web3総合研究所」https://crypto-ari.com の創業者、編集長。

日本の大手企業向けにスタートアップやテクノロジートレンドのリサーチを担当。

著者が伝えたいこと

著者はこの本を通じて伝えたいことを以下のように述べています。

「本書は、今後私たちの生活や生き方そのもの大きな影響を与える可能性のあるDAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)について、全くの初心者の方でも基礎的な知識を身につけられる入門書となっています。」

「DAOはあくまで、みなさん一人一人がより良く生きるための手段です。あなたのDAOライフの第一歩として本書をご活用いただき、本書で得た知見があなたの夢や目標を叶えるきっかけとなれば幸いです!」

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • はじめに
  • 著者からのお知らせ
  • Chapter1 DAOとは?
  • Chapter2 DAOとWeb3
  • Chapter3 DAOと暗号資産
  • Chapter4 DAOとNFT
  • Chapter5 DAOとGameFi・メタバース
  • Chapter6 DAOとDeFi
  • Chapter7 DAOと行政・政治
  • Chapter8 SDGs的な観点から見たDAO
  • Chapter9 DAOの課題とリスク
  • おわりに
  • 用語解説
  • 索引

もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。

注目点

この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。

Nouns DAO 資金とガバナンス

1つ目に注目した点は「Chapter4 DAOとNFT」の「Nouns DAO 資金とガバナンス」です。

著者は、NFT保有が参加条件であるDAOの中でも注目されている「Nouns DAO」(ナウンズ・ダオ)を紹介しています。

「『Nouns』はオンチェーンでミント(鋳造、発行)される、ドット絵のキャラクターをモチーフにしたNFTのシリーズ作品で、所有者はNouns DAOのメンバーとなり、提案や投票を行う権利を持ちます。」

Nouns DAOの資金がどのように運営されているのかを以下のように説明しています。

Nounsの売上金は全額、Nouns DAOの「トレジャリー・ウォレット」(共同口座)に自動的に振り込まれ、使い道はNouns DAOでの提案と投票によって決められます。

売り上げた際の手数料や創業者への還元はありません。ただし、10人の創業者たちに10日1回(10体に1体)、NounsのNFTが無料で配布されます。

Nouns DAOが注目を集めればもらえるNFTの価値が上がるため、このNFTが株式会社でいうストックオプションのような役割を担っているのです!

松村 雄太. 図解ポケット 次世代分散型自律組織 DAOがよくわかる本 (Japanese Edition) (p.66). Kindle 版.

科学の進歩を担う DeSci

2つ目に注目した点は「Chapter8 SDGs的な観点から見たDAO」の「科学の進歩を担う DeSci」です。

著者は「現在、研究者は(中略)本当に必要な研究か否かよりも、補助金が通りやすい研究を選ぶことが多くなってしまうという問題があります。」と述べ、DeSci(Decentralized Science、分散型科学)を紹介しています。

「DeSciでは、科学者やITエンジニアがDAOを作り、トークンを発行して投資家から資金を募り、有望なテーマを提示した研究者に資金を提供しています。このDAOは研究助成機関や学術出版社としての役割を担っているのです。」

DeSciプロジェクトの例として以下をあげています。

VitaDAO長寿研究への投資を実施
LabDAOライフサイエンス研究のためのオープンツールの開発コミュニティ
PsyDAOメンタルヘルス研究が対象
FlemingDAO患者主導のヘルスケアデータ管理を実現
MoleculeDAO新規治療薬開発をサポート
松村 雄太. 図解ポケット 次世代分散型自律組織 DAOがよくわかる本 (Japanese Edition) (p.115). Kindle 版.より引用

教育分野で活躍するDAO

2つ目の注目した点は「Chapter8 SDGs的な観点から見たDAO」の「教育分野で活躍するDAO」です。

著者は、教育分野においてDAOがどのような働きをするかについて、量子コンピューターとブロックチェーンをテーマにした国際ワークショップ「Table Unstable 〜KYOTO SCIENCE OUTREACH〜(TU京都)」を例にあげて以下のように紹介しています。

中学生から大学院生までの参加者に”SDGs目標4「質の高い教育」受講トークン”を発行し、ワークショップの受講履歴や講師と生徒の関係性、生徒同士の関係性などを証明できる仕組みを実装しました。

サマースクールでは、右図に見えるブロックチェーンアプリ「dPass」も取り入れられています。

松村 雄太. 図解ポケット 次世代分散型自律組織 DAOがよくわかる本 (Japanese Edition) (p.116). Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

この本は「DAO」がタイトルに含まれていて、目次を見たところDAOの具体的な仕組みから応用まで書かれているようだっだので、読んでみました。

全部読み終えてみて、いちばん興味深く読んだところは「Chapter8 SDGs的な観点から見たDAO」でした。

このChapterに書かれている事例をみて、SDGs(持続可能な開発目標)を達成するために様々なステークホルダーを組織化する手段として、DAOのコンセプトはとても相性が良いことがわかりました。

本の中で、DAOの事例についてすべてくわしく解説はされていませんが、著者が運営しているWebサイト「Web3総合研究所」を見たところ、VitaDAOなど解説記事が掲載されているものもあったので、本とWebサイトを併用すると更に良いようです。

本を読みながら興味がある箇所にアンダーラインを引きたかったのですが、Kindle版ではアンダーラインを引くことができないことは不満な点でした。

はじめてDAOについて学びたい人、さまざまなDAOの事例を知りたい人、将来DAOが活きるイメージをつかみたい人などに一読をおすすめします。

松村 雄太(著)秀和システム(出版社)2022/10/27(発売日)152P(ページ数)

口コミ

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書評記事

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参考文献

DAOについて、もっとくわしく知りたい人におすすめする本を紹介します。

Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」:亀井聡彦, 鈴木雄大, 赤澤直樹

この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。

亀井 聡彦, 鈴木 雄大, 赤澤 直樹(著)けんぞう, 田所 未雪(ナレーション)かんき出版(出版社)2022/7/6(発売日)240P(ページ数)

Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア:馬渕邦美, 絢斗優, 藤本真衣

この本の注目点や感想、本の目次などをブログ記事で紹介しています。

馬渕 邦美(著, 監修)絢斗 優, 藤本 真衣(著)日経BP(出版社)2022/7/21(発売日)248P(ページ数)

僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた:落合 渉悟

この本の注目点や感想、目次などをブログ記事で紹介しています。

落合 渉悟(著)フォレスト出版(出版社)2022/5/21(発売日)272P(ページ数)

DAOがわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献次のステップ、を紹介しました。

DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)について、基礎的な知識からDAOの具体的な事例、将来の可能性、課題とリスクまで、初心者でもわかりやすいようにステップを踏んで解説している本です。

はじめてDAOについて学びたい人、さまざまなDAOの事例を知りたい人、将来DAOが活きるイメージをつかみたい人などに一読をおすすめします。

松村 雄太(著)秀和システム(出版社)2022/10/27(発売日)152P(ページ数)

本の目次(詳細版)

この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。

  • はじめに
  • 著者からのお知らせ
  • Chapter1 DAOとは?
    • DAOのイメージ
    • DAOを実現するブロックチェーン
    • DAOで重要なスマートコントラクト
    • DAOは透明性が高く誰にでもオープンな組織
    • DAOは誰でもいつでも作れる
    • 「DAO」という言葉を細分化
    • DAとDAOの比較
    • DOとDAOの比較
    • コラム 理解は曖昧でもとりあえずOK
  • Chapter2 DAOとWeb3
    • Web1.0は一方通行のWeb
    • Web2.0は双方向のWeb
    • Web3は分散型のWeb
    • Web1.0、Web2.0、Web3の関係性
    • DAOはWeb3の重要な要素
    • コラム 自己投資は裏切らない!
  • Chapter3 DAOと暗号資産
    • 暗号資産(仮想通貨)とは?
    • ガバナンストークンとは?
    • 暗号資産で給与をもらう未来
    • DAOと共に成長するトークンエコノミー
    • 現在の主流はイーサリアム
    • 台頭するイーサリアムキラー
    • イーサリアムキラーによるDAO
    • コラム 世界は分断化していくのか
  • Chapter4 DAOとNFT
    • NFTとは?
    • 電通が手がける川崎の環境DAO「つながループ」
    • Nouns DAO(1) 概要
    • Nouns DAO(2) フルオンチェーンのNFT
    • Nouns DAO(3) 実際の活動
    • Nouns DAO(4) 資金とガバナンス
    • ウクライナDAO
    • NFT担保融資のBendDAO
    • コラム 「横領」という言葉が死語になるかも
  • Chapter5 DAOとGameFi・メタバース
    • GameFiとは?
    • メタバースとは?
    • 人々の生活を変えるGameFiのDAO
    • OMA3というDAOが目指す未来
    • コラム ゲームで稼ぐのは楽か?
  • Chapter6 DAOとDeFi
    • DeFiとは?
    • 著名なDEXであるUniswap
    • Uniswapのガバナンス
    • MakerDAO(1) 分散型ステーブルコインを発行
    • MakerDAO(2) MKRの役割
    • Mean DAO
    • 地球を再生させようとするReFiとは?
    • コラム お金の流れはさらに管理され得る
  • Chapter7 DAOと行政・政治
    • DAOは民主主義の理想を実現するか
    • 山古志村DAO 限界集落から生まれたDAO
    • 未来の自治体の形
    • DAOによる観光振興
    • コラム やっぱり先行者利益は大きい
  • Chapter8 SDGs的な観点から見たDAO
    • SDGs達成に向けたDAOの意義
    • DAOを活用した貧困や飢餓の撲滅
    • 科学の進歩を担うDeSci
    • 教育分野で活躍するDAO
    • DAOがダイバーシティを促進
    • エコな生活でエネルギーも効率化
    • DAOは自分らしく働ける場所
    • 持続可能な産業と活動拠点
    • DAOで世界は一つの方向へ
    • コラム SDGs視点で考えると時代の流れが見えてくる
  • Chapter9 DAOの課題とリスク
    • 暗号資産に関する知識が必要
    • トークン保有量の差が生む発言力の格差
    • プログラムの脆弱性
    • スマートコントラクトは変更が困難
    • 日本でも容易ではないDAOの運用
    • 結局Web2.5が落とし所か
    • コラム 日本は遅れているのか
  • おわりに
  • 用語解説
  • 索引

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