コンテンツマーケティングと間違ったSEOについて、最近(2021年12月)出版された本を読みました。
これまでSEO関連の本やブログ記事を読んでいましたが、その中では書かれていない内容があり学びが多かったので紹介します。
著者の渡辺隆広(わたなべ・たかひろ)さんは、現在、株式会社アイレップSEM(サーチエンジンマーケティング)総合研究所所長で、1997年大学在学時に日本で初めてSEOサービスを提供開始された方です。
間違ったSEO情報
著者は本書「はじめに」において、Google検索エンジンがAIの導入により進化しているにもかかわらず、日本ではいまだに2010年以前のSEO情報(間違ったSEO情報)を掲載した書籍やWebサイトが溢れている、と述べており、大きく2つの間違いを指摘しています。
・1つ目の間違いは、日本において「コンテンツマーケティングは検索流入を得るために検索エンジンを意識したコンテンツを量産する手法」と解釈されたことです。正しくは「コンテンツマーケティングで扱うコンテンツの1つがWebサイトであり、そのWebサイトの情報をユーザーに届けるための手法の1つがSEOです」
・2つ目の間違いは、SEOのためのWebコンテンツ作成方法として、いまだに「(1)対策キーワードを選定しましょう、(2)キーワードごとにコンテンツを作りましょう、(3)キーワードをコンテンツの適切な位置に挿入しましょう、(4)内部リンクと外部リンクを張りましょう」という方法をすすめていることです。この方法は2011年以前は有効でしたが、GoogleのアルゴリズムがAIベースに進化した現在においては、もう通用しない方法です。
本書を読むまでは、まさにに2つの間違いをしていました
ここが間違っているコンテンツマーケティング
本書の「第2章 ここが間違っているコンテンツマーケティング」において、検索キーワード調査ツールから抽出したキーワードでリストを作り、それをもとにしてコンテンツの方向性を決めるという手法では、コンテンツマーケティングの観点で適切なコンテンツを作るのは難しい、と述べています。
・第三者が見てよい文章の要件の1つは、特定の課題を抱えるオーディエンスに確実に届くコンテンツです。キーワードを起点に考えるより、特定のオーディエンスのインサイトを、キーワードデータ「も」使いつつ、他の調査やマーケティングデータを参照しながら考えるほうがきっと近道です。
・キーワードデータを起点にコンテンツを作成していくと、検索チャネル向けのコンテンツは充実する一方、検索以外のチャネルで接触する可能性があるコンテンツがおろそかになってしまう。
・検索キーワード調査ツールは不完全なものであり、それに依存して計画を立てても、実は間違った施策を選択する可能性が決して小さくない。(Googleキーワードプランナーは、広告主が広告を効率よく出稿できるように、データの一部を除外あるいは加工して提供している)
検索キーワードの特性を理解して活用しないといけないのですね
キーワードデータを活用するための思考法
本書の「第3章 キーワードデータを活用するための思考法」において、キーワードデータを意味あるものとして活用するために必要な考え方を述べています。
・優れたコンテンツを制作するためには、読者を深く理解し、誰が(Who)、いつ(When)、どんな場面で(Where)、何を(What)、なぜ(Why)、情報を求めているのか。同時に、その情報をどのように活用(How)し、最終的に何がしたいのか(Goal)を明らかにすることで、コンテンツの要件をある程度固められます。
・「検索キーワードデータを見る前に、十二分な仮説を構築すること」、これが基本原則です。
・その分野について相応の知識と情報を持っていなければ仮説は作れません。そこで2つ目に重要なことは「リサーチをする」です。
・社会情勢や、オフラインまたはオンラインの流行、関心ごとを把握することも、キーワードデータを活用するうえでは欠かせません。
・検索語句から意図を分析する目的は、その文脈や背景から、最終的に検索者が何をしたいのかを探り当てることが目的です。最終的に実現したいことを把握して、はじめてコンテンツの要件設計ができます。
想定する読者(検索者)が最終的に何をしたいのかについて仮説を立てることからはじめましょう
コンテンツデザインの手法
本書の「第4章 コンテンツデザインの手法」において、フレームワークを用いて、事例を交えながらコンテンツデザインの具体的な手法を紹介していますので、その内容については、本書をご覧ください。
Googleコアアップデートの参考書籍
Google検索アルゴリズムは、2011年頃までは「重み付け調整によるランキング」で、2012年頃からは「機械学習によるランキング」に変わりました。
このGoogle検索エンジンのアップデート(コアアップデート)については、本書の著者が解説している本が出版されていますので、あわせてご覧ください。