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【注目点・感想】ビットコイン、強気にならずにはいられない理由:Vijay Boyapati(著)練木照子(翻訳)

本「ビットコイン、強気にならずにはいられない理由」アイキャッチ画像

ビットコインという史上初のデジタル貨幣ネットワークの重要性と本質について、貨幣論、従来通貨とビットコインの比較、文明社会に与える影響、ビットコインに特有のリスク分析など、客観的な視点から平易な言葉で解説している本です。

初めてビットコインや暗号資産について知りたい人、ビットコインを購入してみたけれど価値や本質がわからなくなってしまった人、ビットコインやブロックチェーンの技術解説書はすでに読んだことがある人、などに一読をおすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介します。

本の概要

書籍情報

日本語版

Vijay Boyapati, Michael J Saylor(著)練木照子(翻訳)2022/9/24(発売日)122P(ページ数)
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原著(英語版)

Vijay Boyapati(著)Michael J Saylor(はしがき)2021/8/16(発売日)156P(ページ数)
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著者紹介

Vijay Boyapati

2000年にGoogleに就職し、機械学習の知識を活かして、Googleニュースのランキングアルゴリズムの改善に数年間を費やし、2007年に退社。

ビットコインとの出会いは2011年。コモディティの裏付けも、政府の保証もない新たな形態のインターネット貨幣に、いかにして経済的価値が付くのか解明を試みるうちに、有名なビットコインの底なし沼にハマっていった。

オーストリア経済学の素養を生かして、普通の人がビットコインを理解するのに役立つ経済学のフレームワークを提供すべく、2017年に長編記事として"The bullish Case for Bitcoin"(ビットコイン、強気にならずにはいられない理由)を執筆。

(以上、この本の著者紹介より一部引用)

序文より

序文にて、MicroStrategy会長兼最高経営責任者Michael J. Saylorは、以下のようにこの本を紹介しています。

(序文より一部引用)

ブログ記事として公開されたThe Bullish Case for Bitcon(ビットコイン、強気にならずにはいられない理由)は、数学、コンピュータサイエンス、経済学、哲学、政治、技術に精通した博学者にしか書けない、優雅で洞察力に溢れる知的傑作だ。

論文はビットコインの仕組み、その金本位制と法定通貨制度に対する優位性や文明社会に与える影響だけでなく、貨幣論に至るまで明快かつ簡潔に解説する。

貨幣に進化する途上にある資産の経路依存性と軌跡を、普通の人にもわかる平易な言葉で説明した上で、ビットコインという史上初のデジタル貨幣ネットワークの重要性と本質を理解できずにいる人がしばしば指摘するリスクを丁寧に分析している。

本書はBoyapatiが2018年に公開した論文で提示した見解を、その後の出来事を踏まえて更新するとともに、大幅に加筆修正したものである。

本の目次

本の目次を引用して紹介します。

  • 序文
  • 序章
  • 第1章 創世記と貨幣の起源
  • 第2章 優れた価値貯蔵手段の要件
  • 第3章 貨幣の進化
  • 第4章 新たなマネタリーベース
  • エピローグ
  • 謝辞
  • 免責事項
  • 著者紹介
  • 訳者あとがき
  • 索引

もっとくわしく見たい場合は記事の最後に、本の目次(詳細版)があります。

注目点

この本はどのようなことが書かれているのか?読んでみて注目した点を3つ紹介します。

財の特徴に関するビットコイン、金、法定通貨の評価

1つ目に注目した点は「第2章 優れた価値貯蔵手段の要件」に書かれている「財の特徴に関するビットコイン、金、法定通貨の評価」です。

著者は、優れた価値貯蔵手段、すなわち時間の経過とともに需要が拡大し価値が上昇する財は、耐久性、携帯性、代替性、検証性、可分性、希少性、実績、検閲耐性、という8つの特徴がある、と述べています。

価値の貯蔵手段としての財の特徴に関するビットコイン、金、法定通貨の評価を以下のような表にまとめています。

特徴ビットコイン法定通貨
耐久性BA+C
携帯性A+DB
代替性BAB
検証性A+BB
可分性A+CB
希少性A+AF
実績DA+C
検閲耐性ACD
Vijay Boyapati. The Bullish Case for Bitcoin (Japanese Edition) (p.30). Nakamoto Publishing LLC. Kindle 版.

ビットコインは大半の要件で、金、法定通貨よりも評価が高い。

古代からの貨幣財と現代の貨幣財、両者に優っているのだ。

この事実はビットコインの普及を大きく後押しするだろう。

特に絶対希少性と検閲耐性を併せ持つことは、富裕層にとって大きな魅力であり、資産の一部を新しい資産クラスに配分する動きの原動力となっている。

Vijay Boyapati. The Bullish Case for Bitcoin (Japanese Edition) (pp.37-38). Nakamoto Publishing LLC. Kindle 版.

財の貨幣化プロセス

2つ目に注目した点は「第3章 貨幣の進化」に書かれている「財の貨幣化プロセス」です。

著者は、貨幣には価値貯蔵手段、交換手段、価値尺度という3つの機能があり、財の貨幣化プロセスは以下の4段階からなる、と述べています。

  1. コレクションアイテム
  2. 価値貯蔵手段
  3. 交換手段
  4. 価値尺度

著者は、「現代経済学は貨幣の交換手段機能ばかり強調する傾向がある。20世紀に貨幣発行権を独占した国家は、価値貯蔵手段機能を継続的に低下させると同時に、貨幣の主要機能は交換手段であるという誤った考えを広めた。」と述べています。

著者は、貨幣化プロセスにおけるビットコインの状況について以下のように述べています。

現在、ビットコインは貨幣化プロセスの第1段階であるコレクションアイテムから第2段階の価値貯蔵手段に進化する途上にある。

ビットコインが価値貯蔵手段として普及し、交換手段として機能するようになるのは、まだ数年先の話だ。

しかも、その過程には大きなリスクと不確実性が伴う。

金は価値貯蔵手段から交換手段に進化するまでに数世紀を要した。

今生きている人の中に、財の貨幣化をリアルタイムで目にした者はいない。

ビットコインの貨幣化プロセスに立ち会えるのは、非常に貴重な体験なのである。

Vijay Boyapati. The Bullish Case for Bitcoin (Japanese Edition) (pp.42-43). Nakamoto Publishing LLC. Kindle 版.

ビットコインは高すぎる?

3つ目に注目した点は「第5章 新たなマネタリーベース」の「ビットコインに関するよくある誤解」に書かれている「ビットコインは高すぎる?」です。

著者は、初めてビットコインへの投資を検討する人から聞かれる不満の一つとして、ビットコインは高すぎるというものがある、と述べています。

著者は、その不満に対して以下のように説明しています。

  • ビットコインは1枚単位でしか購入できないと誤解しているのだろう
  • ビットコインは可分性が高く、非常に少額、例えば、1ドル相当から購入できる
  • 1ビットコインを所有したいと思うのは、単位バイアスという認知バイアスの一種のせいだ
  • 単位バイアスとは、何かを行う際に単位を指標に完遂したいと思うことだ

0.006ビットコインではなく、1ビットコインを所有したいと思う単位バイアスのせいで、多くの投資家が1枚当たりの価格がビットコインよりも安いアルトコインの方が手頃で買いやすいと誤解する。

しかし、アルトコインの1枚当たりの価格がビットコインよりも安いのは、アルトコインの供給量がビットコインよりも多いからだ。

1枚当たりの価格はコインの価値指標ではない。

投資家が着目すべきは、コインの1枚当たりの価格ではなく、時価総額と流動性だ。

Vijay Boyapati. The Bullish Case for Bitcoin (Japanese Edition) (p.67). Nakamoto Publishing LLC. Kindle 版.

感想・口コミ・書評記事

感想

ビットコインの本『ビットコインの歩き方:世界の今を知るとビットコインが見えてくる』(ブログ記事)を読んだあと、翻訳者が同じで、本の長さが122ページと短かったので、読んでみました。

序文で、マイクロスロラテジー社の共同創設者マイケル・セイラーが、インフレが急速に進行する時代には、「これまでと同じ事業のやり方を続ければ、数千人の社員が時間と労力を費やして創造する付加価値が、紙幣増刷という中央銀行の数人が下す決定によって、みるみる希釈されてしまう。(中略)バランスシートの現金と国債を置き換えるための資産を探し始めた。その過程でビットコイン、そしてVijay Boyapatiの素晴らしい論文に出会った。」とビットコイン、そしてこの本の元になった論文との出会いを述べている。

マイクロストラテジー社のビットコインに関するWeb記事を見るたびに、なぜビットコインを保有しているのだろう?と疑問に思っていたが、この序文、そしてこの本を読んでみて、通貨インフレに影響されない価値貯蔵手段としてビットコインを選択しているのだと理解できた。

「序章」には、2008年10月31日にサトシ・ナカモトがビットコイン・ホワイトペーパーを投稿する前後の暗号学者による、非中央集権型なデジタル貨幣への取り組みが書かれていて、リアルタイムにはビットコインの存在を知らなかったので興味深く読んだ。

「第5章 新たなマネタリーベース」には「ビットコインに関するよくある誤解」について書かれていて、『ビットコインの歩き方:世界の今を知るとビットコインが見えてくる』の内容が重なる部分があるが、より詳しくページをさいて解説がされていて、不明瞭な部分について参考になりました。

「第5章 新たなマネタリーベース」の「ビットコインの真のリスク」に書かれている中で特に、「国家からの攻撃リスク」「中央銀行の金融政策リスク」には、過去の歴史(国家が国民の財産権を侵害した前例、短期金利を20%の大幅引き上げ、など)からの考察が説明されていて、より詳しく理解できた。

「エピローグ」の、サトシ・ナカモトがビットコインを世に送り出してから数年後におきた、コミュニティの分裂と結末のストーリー(ビットコインの主機能を交換手段とするか、価値貯蔵手段とするかの派閥争い)は、この本の最後を締めくくるにふさわしい(この本の内容を振り返る)内容で面白く興味深かった。

この本を読み終えてみて、「第3章 貨幣の進化」に書かれている「ビットコインの貨幣化プロセスに立ち会えるのは、非常に貴重な体験なのである。」という言葉が頭に残った。約1年目に知ったビットコインの10年後、20年後にどうなっているかを楽しみに、その間ビットコインに注目していきたいと思った。

Vijay Boyapati, Michael J Saylor(著)練木照子(翻訳)2022/9/24(発売日)122P(ページ数)
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口コミ

書評記事

Coming Soon...

参考文献

この本の参考文献に記載されている本や関連する本を紹介します。

『The Bullish Case for Bitcoin』(2018年2月26日公開)の翻訳記事

ビットコイン、強気にならずにはいられない理由 | ロストイン・ビットコイン

デジタル・ゴールド--ビットコイン、その知られざる物語:ナサニエル・ポッパー(著)

「第3章 貨幣の進化」の中で引用されています。

ナサニエル・ポッパー(著)土方 奈美(翻訳)日経BP(出版社)2016/9/23(発売日)441P(ページ数)
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ビットコインがわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

ビットコインという史上初のデジタル貨幣ネットワークの重要性と本質について、貨幣論、従来通貨とビットコインの比較、文明社会に与える影響、ビットコインに特有のリスク分析など、客観的な視点から平易な言葉で解説している本です。

初めてビットコインや暗号資産について知りたい人、ビットコインを購入してみたけれど価値や本質がわからなくなってしまった人、ビットコインやブロックチェーンの技術解説書はすでに読んだことがある人、などに一読をおすすめします。

Vijay Boyapati, Michael J Saylor(著)練木照子(翻訳)2022/9/24(発売日)122P(ページ数)
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本の目次(詳細版)

この本の目次(詳細版)を引用して紹介します。

  • 序文
  • 序章
    • プロメテウス
    • ゴルディアスの結び目
    • 突破口
  • 第1章 創世記と貨幣の起源
    • 創世記
    • 貨幣の起源
  • 第2章 優れた価値貯蔵手段の要件
    • 耐久性
    • 携帯性
    • 代替性
    • 検証性
    • 可分性
    • 希少性
    • 実績
    • 検閲耐性
  • 第3章 貨幣の進化
    • 経路依存
    • ハイプサイクル
    • ハイプサイクルの参加者
    • 半減期の影響
    • 国家の参入
    • 交換手段への進化
  • 第4章 新たなマネタリーベース
    • ビットコインに関するよくある誤解
      • ビットコインは価値貯蔵手段としては価格変動が激しすぎる?
      • ビットコインは高すぎる?
      • ビットコインの送金手数料は高すぎる?
      • ビットコインは大量の電力を消費する?
      • ビットコインは競合する暗号資産に負ける?
      • フォークコインはビットコインにとって脅威?
      • ビットコインは本当に希少?
    • ビットコインの真のリスク
      • プロトコルに関するリスク
      • 国家からの攻撃リスク
      • マイナーの中央集権化リスク
      • カストディアル・リスク(保管機関リスク)
      • 中央銀行の金融政策リスク
      • 再担保リスク
      • 代替性の低下リスク
    • 結論
  • エピローグ
    • 大いなる議論
    • プロトコルの不変性
    • 分裂
    • 結末
  • 謝辞
  • 免責事項
  • 著者紹介
  • 訳者あとがき
  • 索引

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