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【注目点・感想】万物創生をはじめよう--私的VR事始:ジャロン・ラニアー(著)

本「万物創生をはじめよう」アイキャッチ画像

「VRの父」と呼ばれており「バーチャル・リアリティ」という言葉を作ったジャロン・ラニアーが自身の幼少期からVRスタートアップVPL社を起業し退任するまでのVR研究開発の経緯と経験を通じて「VRとは何か」を探求する過程を記述した本です。

どのようにVR(Virtual Reality、バーチャル・リアリティ)という言葉や概念は生まれたのか、VRテクノロジーはどのように進化してきたのか、VR生みの親が考えるVRの思想はどのようなものであるか、について知りたい人におすすめします。

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考情報、を紹介します。

本の概要

書誌情報

日本語版

ジャロン・ラニアー(著)谷垣暁美(翻訳)みすず書房(出版社)2020/6/16(発売日)496P(ページ数)
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原著(英語版)

Jaron Lanier(著)Vintage Digital(出版社)2017/11/16(発売日)
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著者紹介

著者のジャロン・ラニアー(Jaron Lanier)は、科学者、エンジニア、ミュージシャン、作家。1980年代にVRテクノロジーのスタートアップであるVPLリサーチ社を創業。その功績から「VRの父」とも呼ばれている。2009年よりマイクロソフト・リサーチ所属。

著者は「はじめに」で、VRとは何か、を語っている。

VRは私たちの時代の科学・哲学・技術におけるフロンティアだ。VRは、実際と異なる場所にいる――突飛なほどに異質な環境かもしれないし、あなたの体はヒトとはかけ離れたものになっているかもしれない――という包括的な幻想を創造する手段である。そして、認知と感覚という面から人間とは何かを追求する最先端の道具でもある。

ジャロン・ラニアー. 万物創生をはじめよう――私的VR事始 (p.13). Kindle 版.

本の目次

この本の目次を引用して紹介します。

この本は著者が子どもだった1960年代半ばにはじまり、1992年に著者がVPL社を去ったところで終わる物語を語っている。

その合間に「〜についての」と書かれている章には、VRのさまざまな側面を説明したり、基本的な入門知識や意見、本筋から逸れた逸話も含まれている。

  • 前書きーバーチャルリアリティの新時代がはじまる
  • はじめに
  • 第1章 1960年代 ーーエデンで起こった恐ろしい出来事
  • 第2章 救難宇宙船
  • 第3章 バッチ処理
  • 第4章 私がVRを大好きなわけ(基本的な事柄について)
  • 第5章 システム中のバグ(VRの暗黒面について)
  • 第6章 旅路
  • 第7章 西海岸
  • 第8章 酔狂の谷
  • 第9章 エイリアンとの遭遇
  • 第10章 没入感
  • 第11章 新しい万物を身にまとい(ハプティクスについて、そしてアバターについても少々)
  • 第12章 日の出前
  • 第13章 六つの自由度(センサとVRデータについて少々)
  • 第14章 見出される
  • 第15章 あなたのピラミッドのてっぺんにあるもの(VR用ビジュアルディスプレイについて)
  • 第16章 VPL体験
  • 第17章 内側から見たり聞いたりするためのさまざまな球(「映像」と音響について少々)
  • 第18章 シーン
  • 第19章 私たちはいかにして未来に希望を託すに至ったか
  • 第20章 1992年、外へ
  • 第21章 コーダ ーーリアリティの挫折
  • 結び
  • 謝辞

注目点

この本を読んで注目した点を3つ紹介します。

自分自身への気づきをもたらすテクノロジー

1つ目の注目点は、「自分自身への気づきをもたらすテクノロジー」です。

私にとってVRの最大の価値は、「お口直し効果」――口中の後味を消して味覚をリセットする飲食物がもたらすのと似た効果だ。

誰しも人生の根本にあるさまざまな経験や自分の世界に慣れ、それらを当然のものとみなしている。だが、いったんバーチャル世界に適応したあとで戻ってくると、いわば生まれ直したような感じがする。(中略)

経験する自分の芯は、体が変化し、世界の他の部分がすべて変化しても残っている。VRは果物の皮をむくように、現象をはぎとっていき、意識が残ること、そしてそれが本物であることを明らかにする。VRはあなたをあなた自身にさらけ出すテクノロジーなのだ。

ジャロン・ラニアー. 万物創生をはじめよう――私的VR事始 (p.96). Kindle 版.

自分自身で当たり前になっていることを認識することは難しい。バーチャル世界に行き体験することで、自分自身の当たり前に気づくことができるようになるという話は印象に残った。同じような気づきを得られることに旅行があるが、時間やお金の制約がありそれほど多く旅行に行くことはできない。バーチャル世界では普段いる場所とは違うところに何度も行けるだけでなく、自分の外見を変えて(他人からの見え方を変えて)体験することができる。変えられるものを変えて体験を重ねていくと変わらない自分に気がつくことができるようになるようだ。

現実・複合現実感・バーチャルリアリティの三連画

2つ目の注目点は「現実・複合現実感・バーチャルリアリティの三連画」です。

ヤングと私は協同で三連画を描いた。この三つの絵はそれぞれ、ありのままの、あるいは「ストレート」な現実(ヤング作)、複合現実感(ヤング作)、そして全開のバーチャルリアリティ(拙作)を描きだしている。

私たちの絵では、同じカップルがそれぞれのフレームの中で、心を通わせ、触れあっている。これはのちに、私が最初のVR会社を投資家に売りこむのに用いたコンセプト図である。(中略)

ミックストリアリティが真ん中だったのはなぜか?当時、ミックストリアリティは急進的な度合が少ない、中間的な方法だと考えられていた。急進的で、変革的なものは全開のバーチャルリアリティ、すなわち最後のフレームだということになっていた。しかし、ミックストリアリティは達成がより困難なものであり、何十年も経ってから、ようやく実現した。そのため、今では、私たちはミックストリアリティを、より急進的で未来的なバリアントであると考えている。

ジャロン・ラニアー. 万物創生をはじめよう――私的VR事始 (p.205). Kindle 版.

著者らがバーチャルリアリティを考え出した当初からバーチャルリアリティのコンセプト図だけでなく、複合現実感(ミックストリアリティ)のコンセプト図も描いていたということが印象に残った。

この本を読むまでは、著者が現在マイクロソフト・リサーチに所属している理由が分からなかったが、VR製品が市販されている現在では、より達成が困難な複合現実感の研究に取り組んでいることは著者にとって以前からの方向性であることが理解できた。(複合現実感をスタートアップではなく大企業で研究している理由も、この本で語られているVRスタートアップでの苦労から理解できる。)

VRにおけるハプティクス

3つ目の注目点は「VRにおけるハプティクス」です。

「ハプティクス」とは皮膚・筋肉・腱の感覚細胞から来る感覚を意味している。

手をのばしてバーチャル世界に触れ、それに対して何かすることができないなら、あなたはその世界の二級市民にすぎない。そこにあるほかのすべてが、その世界の組織に結びつき、組みこまれているのに、あなただけは孤立している。(中略)

バーチャル世界とインタラクトできず、インパクトを与えられない場合、大抵の人は最初の目新しさが薄れると、VRにわくわくしなくなる。単に手を前に出し、アバターの手を見るという赤ちゃんの第一歩のような単純な行為でも、アバターの手はあなただし、あなたの動きにすぐ応じて、生き生きとしている――それは心躍る経験だ。私は決して飽きない。

ジャロン・ラニアー. 万物創生をはじめよう――私的VR事始 (p.225). Kindle 版.

Meta QuestなどのVR製品を「VRゴーグル」とか「VRヘッドセット」と呼んでいることもあり「VR=視覚デバイス」のように捉えてしまいハプティクスへの関心が薄かったので印象に残った。

確かにQuestでのVR体験を思い出してみると、YouTube VRで360度のビデオを観る場合は傍観者としての自分であり最初の目新しさを過ぎるとテレビを観る体験とあまり変わらない。一方、Questのチュートリアルアプリでバーチャル世界の物体をアバターの手で持ち上げたり壊したりする体験はVRならでは初めての体験でワクワクした。これからはハプティクス・デバイスについても興味を持って注目したい。

感想・口コミ・書評記事

感想

1960年代から1990年代まで約30年間での著者の経験を通じて、当時の米国東海岸や西海岸の情景や名前を聞いたことがある企業(サンマイクロシステム、シリコングラフィックスなど)や人物(マービン・ミンスキーなど)が登場したり、起きたことが詳細に描写されて写真もあるので、当時のことが分かって面白かった。(昔のことをこれほど覚えているのが不思議ではあるが)

パーソナルコンピュータが開発されるのと同時期にさらに困難なバーチャルリアリティ技術に当初から取り組んでいて、世界中からデモの引き合いがあり装置が大掛かりだったので依頼主が費用を負担してトラックで輸送していた話は驚きだった。(マイケル・ジャクソンにもデモしたようだ)

VRだけでなく、1990年代初めのWWW(ワールドワイドウェブ)が一方向のリンクになってしまったことへの後悔やAI信者への警笛などの話も興味深く、人間中心の著者の考え方をもっと知りたいと思った。

ジャロン・ラニアー(著)谷垣暁美(翻訳)みすず書房(出版社)2020/6/16(発売日)496P(ページ数)
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口コミ

書評記事

VRの父と呼ばれるジャロン・ラニアーによる、激動の半生とVRについて──『万物創生をはじめよう──私的VR事始』 - HONZ

『万物創生をはじめよう――私的VR事始』 | 【Amelia】在宅でできる翻訳の求人・仕事探しはアメリア

参考文献

著者について

Jaron Lanier ウェブサイト http://www.jaronlanier.com/

「VRの父」ジャロン・ラニアーが考える、「リアルとしてのVR」と「フェイクとしてのAI」 | WIRED.jp

Microsoft Research – Emerging Technology, Computer, and Software Research

今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由:ジャロン・ラニアー(著)

ジャロン・ラニアー(著)大沢章子(翻訳)亜紀書房(出版社)2019/4/25(発売日)
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VRがわかる本おすすめ

まとめ

本の概要注目点感想・口コミ・書評記事参考文献、を紹介しました。

「VRの父」と呼ばれており「バーチャル・リアリティ」という言葉を作ったジャロン・ラニアーが自身の幼少期からVRスタートアップVPL社を起業し退任するまでのVR研究開発の経緯と経験を通じて「VRとは何か」を探求する過程を記述した本です。

どのようにVR(Virtual Reality、バーチャル・リアリティ)という言葉や概念は生まれたのか、VRテクノロジーはどのように進化してきたのか、VR生みの親が考えるVRの思想はどのようなものであるか、について知りたい人におすすめします。

ジャロン・ラニアー(著)谷垣暁美(翻訳)みすず書房(出版社)2020/6/16(発売日)496P(ページ数)
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